一ヶ月前のブログの続きになります.
yachikusakusaki.hatenablog.com
(最後の再録部分は,次の通り)
「----居ずまいがとても,そこに居るっていうことがストンと出来ている人だと思うんですよね.いいなあと,ステキだなと思いますけどね」
柳楽「ありがとうございます」
ムロ「すごい」
「ねえ」「居ずまいがステキだと」
柳楽「嬉しいです.
わりと映画の現場が多くって,いろいろな監督に,そこに居るように,まあ,居ないんですけど,カメラとかあるんですけど.
極力できる範囲内で,相手と自分がそこに,この世界で生きてるんだということを意識しろって.
強くいわれてたんで,それが残ってるんですかね.それを気づいて言っていただけてるのはホントに嬉しいです」
「火鉢に足を乗せても動じないなーって,高橋さん,おっしゃってましたけど」
柳楽「だけど,乗せるんだ,って思いました」
「そういう風に思ったんですね」
柳楽「多分,ぼくが割と態度の大きいキャラクターで作っていったから,多分イン(クランクイン)の日だったんです.僕の.だからやって来たのかなって」
(笑い)
以下,この続きです.
「なんとなく,心で思っていたんですね」
「ムロさんはどうですか?近くで見てて.柳楽さん,すてきだな.とか」
ムロさん「でも,それはすごく思います.あの〜,結局,ただ立つとか,普通に立つとか,一番難しいと思いますね.お芝居というのは.
それがいつも,そばにいて,すごいと,やっぱり思っちゃいますね.くやしいな〜と.盗みたいな〜と.
ぼく,普通に立とうとすると,何か余計なことをやってしまいます」
(笑い)
「色々クセがありますからね」
「見てて楽しいなとおもうけど.また少し違いますもんね.お二人はね」
「このタイミングで,お茶を飲むんですね?」
ムロさん「これが柳楽でございます」
「何か聞いたところによりますと,高橋一生さんのことが,憧れだと,柳楽さんは?」
柳楽さん「それこそなんですけど.やっぱ,一生さんがいるシーンとか,映ってるモニターとかを見ると,それこそ本当に---.多分それを意識してないと思うんですけど,ちゃんとその世界にいる感じが,すごいいいバランスで,居れているだな〜というのを見ると,ほんと,僕の目標としていることをやられているので.そういう面で尊敬しています」
「尊敬している方にああやって言われると,嬉しいですね?」
柳楽さん「そうですね」
「柳楽さんの居ずまいに高橋さんだけじゃないんですよ.魅せられてる方たちは.また,この方もこういう風におっしゃってました.どうぞ」
井伊家家臣奥山六左衛門役
田中美央 (@Mio_T_Haiyuza) | Twitter
田中美央さん「そうですね.龍雲党はいつもギュッと結束しているような.それを,羨ましいなって思い,入りたいなって思ったりしたこともあります.それぐらい,その,求心力というか,人を惹きつける方だなっていうふうに思いますよね.
龍雲党,はじめは10人ぐらいいたんですけど,それがどんどん増えていくんですけど.新しく増えた龍雲党の方も,即座に頭だと意識できるカリスマ性というか,なんて言うんだろう,頼れる存在というのを,演技の中で出していらっしゃるので.
それは,休憩室でもそういった雰囲気がやっぱりあって,自然と柳楽さんの周りに人が集まってくるというのは,いいなあと.思いながらいつも見てるんですけど.はい」
ムロさん「すごい」
柳楽さん「ありがとうございます」
「仲いいんですね.やっぱり」
柳楽さん「とくに,僕,頭って呼ばれるぐらいなので,マキタスポーツさんとか,真壁さんとか,カジ役の吉田君とか,マエダマエダの前田君とか,他にもエキストラと呼ばれる方がいっぱいいたんですけど,十人ぐらい.まあ,しっかりと,トップ,一応トップという立場なんで,コミュニケーションとろうかなって,やりました.はい」
「撮影以外にも,一緒に行動することってけっこうあったりするんですか?」
柳楽さん「そうですね.ロケとかの,ロケで撮影の時は,ご飯,みんなで行ったりとか」
「え〜」
「龍雲党のみんなでいったりしてんでしょう?」
柳楽さん「行きました.行きました.連絡頻繁にとったりとか」
「連絡を頻繁に取るんですか?グループで?」
「何してんの?みたいな?」
(うなずく)
ムロさん「今日現場,空いている〜」
(笑い)
「女子のグループみたい.ほんとに仲いいんですね」
「それは柳楽さんから呼び掛けて---」
柳楽さん「一応,自分から積極的にやりましたけど.皆さん優しい方ばかりだったので,それが本当に助かりました」
ムロさん「マキタスポーツさんのこと,スポッって言ってましたもん」
「かわいいですね」
ムロさん「マキタさんじゃねえか?って.スポッティって.ねえスポッティ」
「あんまりいないですね」
柳楽さん「年齢がやっぱり一番上だし,このスポーツさんから崩していかないと」
「スポーツさん?」(笑い)
柳楽さん「トップから仲良くできるような.スポッティさん.スポッティー---.(カメラに向かって)すみませんでした」
「その,柳楽さんがやられている,龍雲丸という人物は架空の人物じゃないですか.どういう風に役作りをされたんですか」
柳楽さん「やっぱ,あの〜.すごい緊張もしましたし,いない--,居たであろうと信じてやるんですけど,その中に,殿との,大河らしくない,恋愛っぽい要素もあるし.その中で結構,的を得たことを言ったりもするし.
なんだろうな.意識したのは,やっぱりこの〜,あんまこの〜,なんていうんだろ.ずれすぎた方向に.ビジュアルは派手だけど,ずれすぎた方向には行きたくないな.しっかり,筋通ったことは言ってるっていう.一応,一本通った男っていうのは意識してやってましたけどね」
「すごいかっこいいです.髪の毛の青とか赤入って,時代的にはまだ--。新しいですもんね」
「今日,直美さんはいろんな色入ってますけどね」
「はい,意識して---」
(笑い)
「意識しすぎだな〜」
「赤とか青は入っていない」
「ということで,続いてはムロさんの素顔に迫っていきたいと思います」
(中略)
「ここからですね,お二人の俳優人生の原点に迫っていきたいと思うんですが.まず柳楽さんから伺っていきたいと思います.
俳優人生のスタートは14歳の時でした」
『誰も知らない 監督是枝裕和』 映像
映画“誰も知らない”の舞台は,母子家庭.柳楽優弥さんは長男・明を演じました.
ある日母親が突然居なくなり,子ども四人だけの生活が始まります.
明「ゆき,うるさい」ゆき「おにいちゃん,オシッコ」明「なんで,さっき,公園行ったときやらなかったんだよ.ふろばでやり」「やだ」
(拍手)
「いきなり,映画の主演だったと言うことで」
「はい」
「どうでしたか.戸惑いとかありませんでしたか?」
柳楽さん「いや,やっぱり,そういう映画とか,ドラマとか,映像に出たくて,入ってたわけです.オーディション受かったときは,嬉しかったですね.初めてのオーディションだったので.嬉しかったですね」
ムロさん「初めての,オーディションだった?」
柳楽さん「はい」
「すごいですね.それで,主演で,ドキドキとかはありましたか?」
柳楽さん「そうですね.ドキドキ,もちろんしましたけど,この誰も知らないの是枝監督が,演技をできる子役ではなくて,あえて,演技出来ない子たちを選んで,あの〜,あまり演技っぽいものを求めてなかった.と思うので.そういう面では確かに,事務所に入って一ヶ月目とかで,ラッキーだったな」
「一ヶ月目で」
「そもそも,俳優になろうと思った,なにかきっかけとかってあったんですか?」
柳楽さん「なんか,その時の友人が,中学生ですけど.なんかドラマに出ていて,それを皆な,友人5-6人で視て,出てるドラマを.それでみんな大爆笑になってたんですね.友だちがテレビに出てるのってちょっと照れちゃうでしょ?『こんなステキなことしたい』みたいな.『人笑わせたい』っていうのがスタートだったんですけど.こんなトーンで話してるんで,なかなか皆笑ってくれない」
(大爆笑)
「だから--」
「最初は人を笑わせたいと思う---から始まって---」
柳楽さん「そうなんです.なかなか笑えない作品でデビューをする---」
「雰囲気のある映画でしたけれど---」
「でも,このデビュー作でカンヌ国際映画祭の最も優れた男優に送られる賞を受賞されるじゃないですか.どうでしたか,その時のお気持ちは?」
柳楽さん「いや.何ですかね.その,カンヌ国際映画祭っていうものが,まず,分からなかったし,年を重ねていくことで,なんか,自分の中で,少しずつ把握していくというか,映画見ていく中で,あっ,この人もこういう賞をとってるんだとか.自分の中で,ちょっと,知識つけてったていうのはあります」
「当時は分からず---」
柳楽さん「当時は分からなかったです」
「授賞式の時にいらっしゃらなかったんですよね.カンヌに」
柳楽さん「期末試験か,中間試験とかで,先に帰りなさいって言われてて」
「うん〜」「えっ〜」
柳楽さん「まさか,僕がとるとは,皆思わないし.そうですよね.監督は残ってたんですけど.僕は帰りました」
「それは,テストの勉強をするため?」
柳楽さん「勉強,全然できなかったんですけど」「はい」
柳楽さん「だから,居たかったな〜,って」
「賞もらう瞬間居たかったよね」
柳楽さん「ちょっと,また,行けるかな.がんばります」
「デビュー作,誰も知らないの是枝裕和監督にも,お話しを伺ってきたので,こちらをご覧下さい」
https://twitter.com/waseda_ENPAKU/status/869079601107976192
是枝監督「会議室入った瞬間に,『この子だな』と思ったんですよね.しゃべる前に.入ってきた瞬間に.『あっ.彼だ』と思いました」
「一番目についたのはどこでしょう」
是枝監督「目.目つき.うん.目の鋭さ.
あと,その,色気って言うとちょっと年齢が若いから.違うニュアンスで受け取られるかもしれないけども.ちょっとした表情の中に,やっぱり,色気があったというのが大きいと思います」
字幕:当時は苦しかった
是枝監督「(柳楽君は)真面目なんだよね.ほんとに.真面目すぎるぐらい真面目だから,役と向き合って,ただ,その,いわゆるスキルがあるわけじゃなかったから,当時はね.
そっからスタートして,多分,テレビもやったり,お芝居もやったり,舞台もやったり,というふうになってたときに,おそらく,スキルを要求される.それは,発声だったりとかね.わかりやすく感情を説明できるようなテクニックというものも,多分,テレビとかでは要求されるだろうし.
そういうものと,自分が最初に映画に関わって評価された部分のギャップみたいなものが,多分,当時は苦しかったんじゃないですか?
いま,もうそこは,乗り越えて,すごく,いろんなタイプの役とか,いろんなタイプの演技を楽しめる余裕が出てきたから,見てて,すごく,あの,楽しみに彼の出演作は見てますけども」
字幕:柳楽さんへのメッセージ
是枝監督「もう,好きにいろんなことやって欲しい.自分がやりたい役をどんどんやってって欲しいなと思いますし.もう,主役のオファーも沢山来てると思うけれども.
もっと,ここで30代を迎える前に,本当にうまい役者と組んで,一世代二世代上の役者とね.役所広司とかね.そういう方たちとやって,もっとこう,成長して欲しいなと思う」
「監督,おっしゃってましたけど,デビュー作の後,ちょっと悩まれたんじゃないか,と」
柳楽さん「悩みません?さっき言ったように,特殊な形での撮影方法だったりしたので,スキルがない状態での.
ただ,その後,やっぱり,授賞できたことによって,いろいろなオファーがきたんですけど,その中で,演じるキャラクターって言うのは,もちろん,スキルが求められるし.
そういうのを乗り越えられたきっかけが,僕の中にはあって.
その一つは,5年前ぐらいかな.舞台だと,蜷川幸雄さんの『海辺のカフカ』っていう,村上春樹さんの小説を.その時初舞台だったんですけど,その時色々,怒鳴られたり,怒られたりしたんですけど.本当に,怒られることを求めていたので.全く怒られなかったので.演技とかそういう事に関して.
あと,映画で言うと,李相日(イ・サンイル/りそうじつ)監督.『許されざる者』という映画で,お世話になった監督で.
そういう方々に出会えたおかげで,少しずつスキルを上げることができて,今こうやって,また,大河にも出させて頂けてるなと思うと感謝しかありません」
「でも,もっとね.監督が30歳に向けて,いろんな方とやって欲しいって,なんか,おっしゃってましたね」
柳楽さん「そうですね.あの〜,本当今,是枝監督おっしゃった,役所広司さん,とご一緒したいです(カメラに向かってお辞儀)」
(笑い)
「カメラに向かって」
「公共の電波にのせておけば,ねー」
ムロさん「この前お酒一緒に飲んでるときにさ,是枝さんと,ムロさんとで一緒にやりたいねって」
「あれ?」
ムロさん「それはさ,言わなきゃ駄目じゃない.」
(笑い)
柳楽さん「それ,今,とっといたんです」
「とっといた?」
ムロさん「ごめん」
柳楽さん「とっといたんですよ」
ムロさん「言わないと思ったので」
柳楽さん「絶対に,僕は思います.是枝監督の作品に,ムロさん,絶対すごい,合っちゃう気がぼくはしちゃうんで,その時に.主演で僕を使って下さい」
(大爆笑)
「さりげなく,自分も」
ムロさん「そうだね.それはね」
「続いては----」
(以下略)
ムロツヨシさんの部分は、あまりに長くなるのでカットしました.しかし,とても面白いお話が聞けました.また,柳楽さんがかなりリラックスして話せたのは,司会の渡辺さん,足立さんの力もありますが,ムロさんが一緒に出演したことも大きかったように思います.