6月に入って早くも5日.名実とも初夏.
関東地方の今年の梅雨入りは早くて6月10日.それでも平年より遅い.と先ほどのニュースが告げていました.
街を少し歩けば,アジサイに出会います.わが家の直ぐ近くの小径はアジサイ通りになっていて,めざとく見つけた観光客のちょっとした撮影スポットになっています.
この十日間ほどのブログ書きでは,ジャガイモ料理に夢中になって過ごし,この間に出会った花たちは,「Mac写真」に収められたまま.
何枚かは取り出してあげようと思いたち---
今日は,一週間ほど前に出かけた江の島サムエル・コッキング苑の花たちをとりあげます.
https://www.google.com/maps/place/江の島サムエル・コッキング
2003年に,江の島植物園から現在の名称(造成者サムエル・コッキングの名前を冠した)にして以来,若者の集まる場所に.
ちなみに,旧江の島展望灯台は江の島シーキャンドルという名前になっています.
https://www.fujisawa-kanko.jp/spot/enoshima/11.html
園内の花の種類は,それほど多くありませんが,丁寧に配置された花は,見応えがあります.
5月下旬でしたが,フレンチラベンダーは満開.
以前来たときには,他の種類のラベンダーも沢山植えられていて,さながらラベンダー園でした.これからさらに植えられていく?
一年草のサルビアも咲きそろっていました.こちらは夏過ぎまで楽しめる花です.
私は,きちんと見たのは初めてのフランネルフラワー.オーストラリア原産だそうです.
この植物園の象徴のような気もするカナリーヤシの大木と大きなアオノリュウゼツラン.
出かけた日は,バラがちょうど見頃で,来園者を大いに楽しませていました.
今季の最後の花を,けんめいに,美しく咲かせていたのはアネモネ.
アネモネは,花姿も花の名前も大好きです.
愛と美・性の女神アプロディーテー(ヴィーナス)が,心から愛したアドニスの死を悲しんで,変身させたと伝えられる花.この物語も気に入っています.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/06/28/235724
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https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/07/01/235638
File:Poussin - Vénus pleurant Adonis - musée de Caen.jpg - Wikimedia Commons
(オウィディウス 転身物語 田中秀央・前田敬作訳 人文書院)
----女神は,若者の血の上に芳醇な神酒(ネクタル)をそそぎかけた.
血は神酒にふれると,ちょうど褐色の泥沼の底から透明な気泡がたちのぼってくるように,ふくらんだ.やがて一時間もたたないうちに,その血からおなじ色の花が咲きでた.それは,かたい外皮の下に種を隠している柘榴(ざくろ)の花に似ている.
しかし,この花をながいあいだ愛でることはできない.というのは,この花はくっつき方がよわくて,あまりにも華奢なのでおちやすく,その名のもとになった風に散らされてしまうからである.
アネモネを詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
アネモネの薄むらさきの花びらに軽くただよふ夕づく日かな 金子薫園 覚めたる歌
アネモネは春さく花といひしかど冬の光に咲くもかなしも 斎藤茂吉 寒雲
アネモネの花の花蕊(しべ)くれなゐにほほけて春はすぎにけるらし 鹿児島寿蔵 潮汐
子を生みてうつろなひとみアネモネの紫色より更に恋しき 加藤克巳 エスプリの花
アネモネの美しくして妻と居るを光りなき夜夜の内部とす 浜田至 架橋