東南アジアの新型コロナ感染拡大が続き,世界の自動車産業への影響が深刻になっています.マレーシアを除いて,人口当たりの1日感染者の数字は驚くほどのものではありませんが,余りの急激な感染拡大,そしておそらく医療体制の不備もあって,厳しい制限の長期化を余儀なくされています. そしてこれらの国々の多くはワクチン接種が遅れたことも感染拡大と死亡者増加に歯止めがかからなくない大きな要因の一つと考えられています.

トヨタ,9月に世界で4割減産へ 東南アジアからの部品供給が不足」

これは,2021年8月20日付けBBCニュースの見出しです.

https://www.bbc.com/japanese/58277673

東南アジアからの部品供給不足の原因は,新型コロナウイルスデルタ変異株の急速な感染拡大.

 

同様のニュースは,メディアが一斉に報道していたので,多くの方は目にしていることと思います.

その中で日経新聞は緊急ルポの形で4回シリーズで報道していましたが,かなり力が入った記事.(2021.8.31〜2021.9.3

デルタ型猛威の東南ア1 トヨタも逆らえず: 日本経済新聞

デルタ型猛威の東南ア2 世界に見放された?: 日本経済新聞

デルタ型猛威の東南ア3 接種したくば寄付を: 日本経済新聞

デルタ型猛威の東南ア4 ワクチンでなく催涙弾: 日本経済新聞

取り上げられた国は,タイ,ベトナム,マレーシア,ミャンマーインドネシア,フィリピン.

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本ブログでは,この6カ国を中心に下蘭に感染状況をまとめてみました.

マレーシアを除いて,人口当たりの1日感染者の数字は驚くほどのものではありませんが(例えば1日の感染者/100万人 は日本の第5波ピークの2倍以内に収まっているー日本も高いという見方もできますが),余りの急激な感染拡大,そしておそらく医療体制の不備もあって,厳しい制限の長期化を余儀なくされています

そしてこれらの国々の多くはワクチン接種が遅れたことも感染拡大と死亡者増加に歯止めがかからなくない大きな要因の一つと考えられています.

 

なお,ワクチンについてはマレーシアのようにワクチン接種量が日本と同等になっている国もあります. 

マレーシアもワクチンのみでは感染が抑制できなかったというのが実情でしょう.より効果の高い米英製のワクチンでも一度拡大した感染を止める力はないのですから.

(この地域の国々は中国製ワクチンが主流で,デルタ株に対するその効果が疑われていました.ただし,最近,その効果は従来株の59%であると報告がありました.

中国製は対デルタ株の有効性59% 中国専門家が公表|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト

China's inactivated vaccines effective against Delta variant: study - Xinhua

https://news.abs-cbn.com/overseas/08/24/21/china-vaccine-studies-show-effect-vs-delta-variant

 

ワクチン不足は政治問題にも発展して各国は苦慮しているようです.ワクチンに関する記事だけ日経新聞の記事を引用させて頂きます.

 

基金に協力した組織は優先的にワクチンを入手できるように調整せよ」.ベトナム首相のファム・ミン・チンは7月下旬,保健省に対しこんな指示を出した.同国は官民拠出の新型コロナウイルスワクチン基金を6月に新設.財源は全体の約4割に当たる9兆ドン(約430億円)を国内外の企業や個人の寄付などで賄う計画を立てた.

政府は当初,外資系企業に善意の寄付を依頼したが,金額が伸び悩むと手のひらを返したように説明を変えた.ある外交筋は「寄付額が多い組織が優先される実態がある」と打ち明ける.「いつ接種できるのか」.日系企業の焦りは募る一方だ.

東南アジアの多くの国のワクチン接種完了率は世界平均(約27%)を下回る.ベトナムでは3%にも満たない.インドネシアでは政府が8月にモールなどの商業施設の利用者に接種証明の提示を義務付けた.「俺を先に打たせろ」――.全国各地で接種を急ぐ住民が接種会場に殺到し,国軍が出動する事態も生じている.

 

政情不安が続くミャンマーでは,インドで生産された英アストラゼネカ製のワクチン「コビシールド」が1回130万~200万チャット(約8万~13万円)という法外な価格で闇市場で売られている.

 

ワクチン調達の遅れに各国の首脳たちは焦りを強める.「なぜ私が(米国との軍事協定延長で)合意したか公にしよう.ワクチンのためだ」.8月16日夜,フィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテは政権幹部を集めた会合でこう明かした.

同国で調達したワクチンは中国製が過半を占め,インド型(デルタ型)の感染予防効果が高い米国製は全体の2割程度にすぎない.米側が求めた軍事協定の延長はドゥテルテにとって貴重な外交カードだったが,7月の米国防長官オースティンの訪問時に浮上した協定延長とワクチン調達への協力のセットを断る選択肢はなかった.

 

一方,別世界が広がるのはシンガポールだ.「外食解禁後に何度も飲みに行っているわ」.中心部のバーの屋外席.シャンティニ(27)は夜風を受けながら同僚とカクテルを傾けていた.同国のワクチン接種完了率は人口の8割を超えた.8月10日から接種者には外食が解禁され,レストランは活気を取り戻しつつある.経済力で先進国化した同国と,域内の他の新興国との格差はワクチン調達でも鮮明になっている.

 

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