アプロディーテー(ウェヌス/ ビーナス)とマートル(ギンバイカ)1.   Theoi projectのサイトから マートル:捧げる対象はアプロディーテ.結婚式の日、花嫁はマートルガーランドを身につけ,マートルの香りの水を浴びます. 神話:ミルラはシプリアの王女で,父親に恋をして,変装して父親を誘惑しようと企てた.父が彼女の罪を知ると,彼女は父の怒りから逃れ,マートルの木に姿を変えられた.後にその幹から少年アドニスが生まれたという.

マートル(ギンバイカ)は,美と愛の女神アプロディーテーウェヌス/ ビーナス)の神木として知られ,現在でも,イギリス王室のローヤルウェディングブーケに用いられています.

 

昨日,イギリス王室の「ローヤルマートル」を取り上げましたが,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/06/18/235741

今日からはアプロディーテーとマートルについて,Theoi projectのサイトに記載されている内容を中心に取り上げてみたいと思います.

 

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APHRODITE - Greek Goddess of Love & Beauty (Roman Venus)

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Aphrodite riding goose, with son Eros holding myrtle wreaths. Date unknown.

  

はじめに,Plants in Greek mythにある記述を引用します.

 

マートル MYRTLE

PLANTS & FLOWERS OF GREEK MYTH 2

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ギリシャ語:Myrsinê、myrrinê、myrtos
学名:Myrtus communis

説明 : 常緑小高木で、葉は芳香性があり、スパイシーな味がする。春から夏にかけて甘い香りのする白い花を咲かせ、食用になる青黒い実をつける。

 

捧げる対象はアプロディーテ

 結婚式の日、花嫁はマートルガーランドを身につけ,マートルの香りの水を浴びます.


神話 : 変身するミルラMyrrha。

 ミルラはシプリアの王女で,父親に恋をして,変装して父親を誘惑しようと企てた.父が彼女の罪を知ると,彼女は父の怒りから逃れ,マートルの木に姿を変えられた.後にその幹から少年アドニスが生まれたという.

同じような話が,ミルラ(スミルナ)と没薬(もつやく)の木についても語られている.

(出典:パウサニアス)

 

 

 この記述にあるパウサニアスは2世紀後半のギリシャの旅行家.

ありし日のギリシアの町々や神域を彷彿させるとして評価の名高い「ギリシア案内記」を著しています.

パウサニアスとは - コトバンク

 

この「ギリシア案内記」にアプロディーテーとマートルについての記述があります.

 

パウサニアス「ギリシア案内記」(C2nd A.D.) 

Pausanias, Description of Greece 6. 24. 6 (trans. Jones)

APHRODITE MYTHS 6 LOVES - Greek Mythology

バラとマートルはアフロディーテの神聖なものであり,アドニスの物語に関係している.

 

Pausanias, Description of Greece 5. 13. 7 (trans. Jones) 

APHRODITE CULT 2 - Ancient Greek Religion
"ヘルモス川を渡ると,テムノス(エリス島)に,生きたマートルツリーで作られたアフロディーテの像がある.我々の間では,ペロプスが女神を鎮め,ヒポダミアを花嫁にするように頼んだときに,この像が捧げられたという言い伝えがある."

 

なお,上記「変身するミルラ」の物語は,

・アントーニース・リーベラーリス「メタモルフォーシス

・偽アポロドーロス「ギリシャ神話(ビブリオテーケー)」

等に記載があります.

これらの物語については明日.