COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜
「天気〜Weather〜」1
【司会】鴻上尚史,リサ・ステッグマイヤー,【ゲスト】石原良純 【語り】日高のり子,中井和哉
「さあ始まりました.Cool Japan. 今日も日本のクールを見つけていければいいですね」
「はい.本日のテーマは,天気Weather」
「お〜.天気でクールを探そうとしてるわけですか」「は〜い.そういうわけで,ご意見番には気象予報士の石原良純さんにお越し頂きました.よろしくお願いします」
「さあ良純さん.この番組は,日本のクールを何としてでも探し出すことにしてるんですけど--」
「たくさん,僕は皆さんに紹介したいことがあります.-----春夏秋冬.朝昼晩---」「朝昼晩って,どこでもあるでしょ」
「朝昼晩によって天気が変わります」「あ〜そういうことか」
「凝んない細やかな自然がある国はそうないんで,だたら,それが日本の食文化だったり,ものの考え方だったり------なんで日本が注目されるかっていったら天気ですよ.天気のおかげで,僕ら---」
「ありがとうございます.今日,良純さん呼んだ甲斐があったという」(笑い)
「今日は天気について日本人と外国人,それぞれ50人に事前アンケートをとりました.まずは天気予報についての質問です.
天気予報をチェックする頻度.日本人の結果から,半分以上が毎日」「毎日が68%,1日2回以上をあわせると82%ですか!」
「そういうことなんですね.気にしない人は8%.
そして外国人の結果見てもらいましょうか.
毎日見るは30%,気にしない人の方が多いんですよ」「なるほど.気にしないが44%!」「はい」
「じゃあ,皆さんもあれですか?天気予報は気にしないっていう人は挙手?」
8人中5人が“気にしない”
「ほう,そうですか.ケリー,何で気にしないの?」
ケリー(アメリカ)「アメリカ人の考え方なんだけど---」「American mentalityって言ったね!」
ケリー(アメリカ)「そのとおり.晴れたらうれしいけど,雨だとしても別に---」(笑い)
「でもさあ,アメリカでも気象予報士はいるじゃんよ.ニュース番組でよくやるじゃん.あれはどうなのよ?」
ケリー(アメリカ)「ほとんどの場合,お年寄りが気にしているのよ」(笑い)「ほんとう?」
ケリー(アメリカ)「普通はお年寄りが天気予報をずっと見てるの」
「ほお〜.それから,シンガポールは気にしない」
アバン(シンガポール)「シンガポールはいつも同じ天気なんだ」(笑い)
アバン(シンガポール)「いつも蒸し暑いから,予報なんて気にしないよ」「あっ,そういうことか.」「一年中ね」
「シンガポールは四季はあるの?」
アバン(シンガポール)「四季はないよ.“蒸し暑い”か“雨期”だよ」
「雨期か乾季なの?」
アバン(シンガポール)「雨---蒸し暑い,そして雨だよ」「レイニー,ホット・ヒューミッド,レイニー---」(笑い)
「一応,でも天気予報のコーナーはあるの?」
アバン(シンガポール)「天気予報はあるよ」
「一応,あるんだ」
アバン(シンガポール)「でも,予報しづらいんだ.シンガポールには雨宿りする場所が多いからしのげるし.僕たちにとってはタクシーが傘がわりなんだ」
「お金持ちなの?」
アバン(シンガポール)「違うよ.シンガポールではタクシーが当たり前なんだよ」
フランキー(南アフリカ)「南アフリカは天気予報をチェックするのは週に1回ぐらいね.雨があまり降らないし,普段は車で移動しているからよ」
「そうか,車で移動していると,確かにそんなに気にしなくて済むんだ.それは,アメリカもあるかもしれない?」
ケリー(アメリカ)「Yes」
「あ〜そういうことか」
リサ(イギリス)「イギリスは,1日に四季があるというほど,雨・雪・晴れって天気が変わるの.だから,天気予報は気にしないのよ」
「えっ?でもちょっと待って.イギリスは1日でフォーシーズン.四季があるといわれているにもかかわらず,なぜ,別に気にしないの?」
リサ(イギリス)「気にしても仕方ないじゃない」
「なるほど.もう変化がありすぎるからか」
リサ(イギリス)「あと,にわか雨が多いけど,すぐやむのよ」
「ちなみに,四季があるのはどこなの?」
「あ〜,なるほど,ないのはチリと--オーストラリアはあるでしょ?」
ネイサン(オーストラリア)「僕の出身地では四季がないよ.場所によるんだ」
「あ〜,そうか.シンガポールとチリもないのね」
ホルヘ(チリ)「ずっと雨季だよ」「レイニーシーズン?」
ホルヘ(チリ)「Yes.チリは南北に長い国だから,場所によって違うんだけど.僕は南部だから,雨ばかりだよ」
「一年中,雨ばっかりなの?」「あ〜そうか」
石原「あのね.でも,日本人が細かく知りたがるって,多分,皆さん,イメージでね.和食に似てるって思いません?------」
「その国の料理とその国の天気が似ている説.っていうことは,バーベキューみたいな天気っていうことね?」(ケリーのアップ.笑い)
「日本に来てからは,じゃあ,みんな見るようになりましたか?天気予報の意識は変わった?
アバン,変わった?」
アバン(シンガポール)「イエス.大きく変わったよ」「あ〜そうか」
アバン(シンガポール)「シンガポールでは傘なんて持ってなかったけど,今は8本も持ってるよ」(笑い)
「サラも変わった?」
サラ(イタリア)「イタリアは,朝にチェックすれば,一日中あまり天気が変わらないの.でも日本は変わりやすいから,よくチェックするようになったわ」
「なるほど.そうか」
「じゃあ,今のアンケートですけど,日本人はすごく天気予報をチェックする人が,圧倒的に多かったですけど,これはなぜだと思いますか?」
ケリー(アメリカ)「日本人の夫が,いつも天気予報を見てて,私も詳しくなっちゃったんだけど,安心するんじゃないかしら?何が起こるか予想がつくから」
「ケリーは,じゃあ,旦那さんに,何でそんなに毎日天気予報気にするのって,聞いたことはないの?」
ケリー(アメリカ)「ないわ.日本的なことなのかなって思って.それでハッピーならいいんじゃない?『明日雨だから洗濯しなくていいよ』って言うから,私はラッキーって」(笑い)
「分かった.ケリーの生活もよく分かった.さあ,え〜っと.アバン,なんでだと思いますか?」
アバン(シンガポール)「日本は天気予報が正確だからだよ.明日雨が降るって言ったら,99%降るからね.帰宅すると必ず天気予報を見るし,SNSでもフォローしてるよ」(笑い)「すごい」
「でも,確かに,こんなに正確になったのは,最近ですよね」
石原「日本の天気予報はよく出来てるんですよ.何で,天気予報をよく---面白くしたかっていうと,やっぱり,日本は,気象災害が多いんですね.雨とか台風も来るし.だから,興味を持ってもらわなくてはいけないっていうのが,ウェザーキャスターの中にあって,そのためには面白くして見てもらおうってことを,この20年間ぐらい進んでいったんで,ウェザーショウとして---だから興味を持ってもらって.だから,僕なんか逆に,最近の日本人,天気予報見過ぎだって,僕も思いますもん.(笑い)
いいことなんですよ.だから」いいことなんですけど,でも,普段を考えたら.多分,外国の方から見たら,日本人って,何であんな天気予報好きなんだろう?って」
「なるほどね.
じゃあ,日本の天気予報見てて驚いたこと,何かありますか?」
リサ(イギリス)「『洗濯指数』を出しているわよね?『今日は洗濯日和です』って.あれはとてもいいわ.イギリスでは乾燥機使うから洗濯指数は必要ないの.でもあれはすごくいいアイデアで大好きよ」
「なるほどなるほど」
ネイサン(オーストラリア)「以前,妻が『7月31日は梅雨明けよ』って言ったんだ.そしたら,つぎの日から本当に晴れたんだ.日本の天気予報を信じるようになったよ」
フランキー(南アフリカ)「日本の天気予報は細かいところまで出すから,危険な状況の時でも信頼できるのよね」
「良純さん.じゃあ,そもそも日本人が天気を気にするっていうのは,何かあるっていうことですね」
石原「僕はまず,地域的に雨が多いんですよ.平均降水量が1400〜1500ミリある.それは,そういう国ってなかなかないし.あと,例えば雨に濡れるじゃないですか.そうするとすぐパッと乾いてくれたら風邪ひかないけれど,僕らはじと〜っと---風邪ひいてしまったり,そういう部分で日本人って微妙に体弱いでしょ?(笑い)多分,皆さん思うと日本人弱いじゃないですか.すぐ,何か風邪ひくじゃないですか」
「この意見,どうですか?日本人.微妙に体が弱い.今回,面白いですよ.日本人は微妙に体が弱いと思う人」
フランキー,アバン,ケリー,サラ.
「お〜.いやいや,いいんじゃないの.なるほど」
ケリー(アメリカ)「その通りだと思うわ.『傘を持っていかないと風邪ひくよ』って言われるわ.肺炎にでもなると思われてるのかな?」
「まあまあ,ケリーは強そうだけど,フランキーも思うの?」
フランキー(南アフリカ)「日本の薬が弱いんじゃないかしら?海外の薬はもっと強いから,日本の薬は倍ほど飲まなきゃ」
「はい,ということが,一応納得されたもので,どうぞ,続けて下さい」
石原「まあ,あとその,今度逆に言えば,そういうおかげで天気予報の精度が上がってきているから.
それが生活に直結してくるんですよね.商売やっている人は,例えば暑くなるからもう夏物にしようとか,今日は雨が降りそうだから,店頭に傘並べとこうとか.そういう便利さもあるし,1次産業の,その農業なんかはね.天気に左右されて生きてきていますから,何かあるんじゃないですか.頭の中に,天気のことはやっぱり気をつけてないとっていう」
「さて,天気を気にする日本人の気質が,こんなかわいいものを生んでいるんです」
(続く)