梅/梅花の名前を持つもつキンポウゲ科の植物
バイカモ(梅花藻)
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/02/225054
キンバイソウ(金梅草)
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/03/233000
に続いて,今日は
「梅/梅花の名前が付けられた植物」5
バイカオウレン(梅花黄蓮/梅花黄連)
バイカモ,キンバイソウに負けず人気の山野草(のようです;私は,この植物も知りませんでした).
美しく可憐な花を咲かせます.
白い花びらの部分は萼が変化したもので,本当の花びらは中心に近いところにある黄色いスプーン状の部分.バイカオウレンとは|ヤサシイエンゲイ
「梅に似た花をつけるオウレン」という名前がつけられました.
オウレンは,根が生薬「黄連」として用いられるためとても有名.生薬「黄連」は,現在も使用され,また主成分ベルベリンも薬剤として用いられています.(⇒*)
バイカオウレンには,一度は自生地で出会いたいものです.
山地の森林内にある、腐植質に富んだ湿った場所に生えているとのこと(バイカオウレンとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版)
一方,山野草の専門店から手に入れられるようで,八重咲きや黄金葉など園芸品種も開発されているとのこと.
バイカオウレンとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版
切れ込んだ葉を持つことから,ゴカヨウオウレン(五加葉黄連 五加はウコギの意)の別名が.
”葉の姿がウコギ(五加木)に似ているのでゴカヨウオウレン(五加葉黄連)の別名があります.”バイカオウレンとは|ヤサシイエンゲイ
(ウコギを知らなくても,「タラの芽,コシアブラ,ウドがウコギ科」と言われれば,親しみを覚える?)
バイカオウレン - Wikipedia オウレン | 日本薬学会 ウコギ(五加木) - 庭木図鑑 植木ペディア
属の学名(ラテン語名)も葉の形状に由来.
“属名のコプティスCoptisも,ギリシャ語のコプト(kopto:切り離す)に由来し、葉が深く切れ込む姿にちなみます.” バイカオウレンとは|ヤサシイエンゲイ
History and Etymology for Coptis
New Latin, irregular from Greek koptein to cut off; from the divided leaves. https://www.merriam-webster.com/dictionary/Coptis
キンポウゲ目 Ranunculales,キンポウゲ科 Ranunculaceae,オウレン属 Coptis,
バイカオウレン C. quinquefolia
オウレン属には,既にあげたオウレン(C. japonica)の他,
屋久島に分布するオオゴカヨウオウレン(オオバイカオウレンC. ramosa),
高山性のミツバオウレン〔C. trifolia〕,
バイカオウレンとミツバオウレンの雑種と言われるコシジオウレン〔C. trifoliolata〕などが知られています.バイカオウレンとは|ヤサシイエンゲイ
⇒*
生薬オウレンについては,たくさんのサイトが解説を載せています.
オウレン,おうれん,黄連,漢方薬,整腸,高血圧,キンポウゲ科オウレン属
http://www.fukudaryu.co.jp/sozai2/ourenHP.pdf
ツムラ漢方黄連解毒湯エキス顆粒A(オウレンゲドクトウ) : 一般用漢方製剤・一般用医薬品 | 製品情報 | ツムラ
オウレンという植物名&生薬名は,生薬として用いる根茎(一見,根のように見える地下部の茎)の形状と断面の色に由来するようです.
日本のオウレン(Coptis japonica )は,葉の形状が異なる三種の変種,キクバオウレン,セリバオウレン,コセリバオウレンが知られて,いずれも,生薬として用いられます.
もとになった漢方生薬はトウオウレン(C. chinensis ).
現在の生薬基準は,主成分ベルベリンを3.5%以上含むこと.
止瀉薬(ししゃやく:下痢止め)および苦味健胃薬に処方される他,止血薬、精神神経用薬とみなされる処方にも加えられています.
また,精製したベルベリンも下痢止めの薬として認可されています.
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058786.pdf
https://mink.nipponkayaku.co.jp/product/di/in_file/sedi_kyot_in.pdf
なお,オウレンの花もなかなか美しいのですが---
かなり珍しい花の付き方をするとのこと;
雄花,雌花,両性花が一つの植物個体に混在したり,成長や環境によってその発現が変化する!
清水建美.2001.図説植物用語事典:261.八坂書房.