真穴みかん:「皮の薄さと甘さ,これらが作り出す食感の良さ.薄皮は口の中でとろけ,そのあとに程よい酸味」の宣伝通り.つくっている愛媛県真穴地区もステキなところのようです.みかんと段々畑.伝統の亥の子づきに座敷雛. みかんー新日本風土記

正月用に購入した高級ミカン.2つ残っていました.

真穴みかん. 

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 以前,いただき,「これは美味しい」.ということで,初めて購入.地元スーパーにおいてありました. 

「 真穴みかんの最大の特徴は,皮の薄さと甘さ,これらが作り出す食感の良さにあります.果肉を包む薄皮は口の中でとろけ,そのあとに程よい酸味が広がります」真穴共選:真穴柑橘共同選果部会

宣伝文句の通りです.

 

 

▽「真穴地区」とは,どんなところ?

愛媛県のミカン栽培の中心八幡浜市の一地区.

ステキな紹介ブログ(ご一読を!)を書いておられる“たまさん”いわく.

https://iyotama.com/maanaintroduction/

“ 真穴地区は超がつくど田舎です。どのくらい田舎なのかというと、こちら↓↓

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https://iyotama.com/maanaintroduction/ JA西宇和 真穴事業所真穴選果場(八幡浜市/その他施設・団体)の地図|マピオン

最寄りのコンビニまで・・・徒歩・・・2時間wwwww.コンビニって便利だからコンビニって言うんじゃないの?2時間もかかって便利なの?って、コンビニには何の罪もないのに逆ギレしたくなります。

同じ八幡浜市の人も真穴地区の場所を知らない。

ちなみに真穴は正式な地名ではありません。

「真網代」「穴井」という地名を足して「真穴地区」という総称で呼ばれ、住所としては「八幡浜市網代」「八幡浜市穴井」となります。

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真穴地区はまさに秘境です(笑) ”

 

としながらも,美しい写真や真穴みかん,地域の伝統行事の紹介のあと,こんなふうにブログを締めくくっています.

 “私はこんな田舎で何もないけど素晴らしい場所「真穴地区」で育ちました。何もないからこそ,海や山の自然、季節毎に変わる景色、伝統の行事…

そういうものを大切にしながら真穴地区の人たちは生活しています。

真穴で育った日々は自分の宝物ですし、これらもずっと誇れる故郷(ふるさと)です。”

 https://iyotama.com/maanaintroduction/

 

ステキですね.

ただ少し謙遜も入っている?

「『何もない』ことはない」真穴地区なのです.

 

折しも,昨年末に,この真穴地区を中心にみかん作りに勤しむ愛媛県の方々を取材した「みかんー新日本風土記」が NHKで再放送.2015年の映像で,何回も再放送されているようです.

www.nhk.or.jp

みかん - 新日本風土記 - NHK

「海や山の自然、季節毎に変わる景色、伝統の行事…そういうものを大切にしながら真穴地区の人たちは生活しています」という人々の暮らしがよく伝わってくる内容.

この番組の内容を一部拝借しながら,改めて「『何もない』ことはない」真穴について簡単にまとめます.

 

▽「真穴みかん」

“真穴柑橘共同選果部会”が販売する「ひなの里」という,長期保存したブランドも.真穴共選:真穴柑橘共同選果部会

 

二宮長史(ちょうじ)さん 息子の伝成(でんせい)さん.

標高に百メートルの所に,二宮さんのミカン畑があります.

真穴のミカン農家はおよそ180軒.

海沿いの斜面にミカンを育てる段々畑が広がります.

一年かけて育てた自慢の真穴ミカン.

一つひとつ,人の手で摘み取っていきます.

「おいしいミカンは,このじくの部分が細いんよ」「ミカン自体も扁平のミカンほどおいしい.腰の高いミカンほど,酸がキツくて糖が低い.この(底の)部分に紅の濃いミカンがおいしいんよ」

しっかりした甘味に,程よい酸味が評判の真穴ミカン.

小学校6年生の衣南(そな)ちゃん,小学生になったばかりの萌南(もな)ちゃんも大事な戦力.二人とも幼稚園の頃から手伝ってきました.

一家族総出で収穫に当たります.

夜はみかん倉庫で選別作業.1日3万個以上のみかんを大きさを振り分け,傷がないか一つひとつチェック.どの家でも夜遅くまで続けられる地道な作業.

真穴ブランドへの信頼はこうして築かれてきました.NHK みかんー新日本風土記

 

▽段々畑.

愛媛県の紹介ページでは 愛媛県庁/真穴(まあな)の段々畑

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真穴の段々畑:大洲I.Cから八幡浜方面へ国道378号を真穴方向へ 祇園橋交差点より車で25分 

「5月のみかんの花の開花時期になると、なんとも言えないみかんの香りがします。
また、みかんの収穫時期(11月~12月)には、山全体がみかん色に染まり見渡す限り、みかん一色となります。

また段々畑から見下ろす景色は最高に美しいです!」愛媛県庁/真穴(まあな)の段々畑

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大好き『真穴みかん』 - 写真 | Facebook 

 

江戸の昔から、急な傾斜地に切り開いた畑.土地はやせ,いもや麦などわずかな作物しか育ちませんでした.

そこにみかんが入ってきたのは明治30年代.先人が築いた段々畑が助けになります.西向きの斜面には太陽がたっぷり当たり,光は海からも照り返します.更に石垣からの反射も.「3つの太陽」と呼ばれています.恵まれた環境が美味しいミカンを育み,地域の暮らしは大きく変わりました.NHK みかんー新日本風土記

 

 ▽ 亥の子

亥の子は,十二支の亥の月にあたる旧暦10月の亥の日,亥の刻(午後9時~11時)から翌朝にかけて,田の神様をお祀りする収穫祭です(西日本を中心に行われ,東日本で行われる同様の行事には,旧暦10月10日「十日夜(とおかんや)」の行事があります).

「亥の子祭り」では,子どもたちが藁を束ねた藁鉄砲か,何本もの荒縄で縛った丸石(亥の子石)を持って,グループになって集落の一軒一軒を回って,家の繁栄を祈ります.そして,丸石で地面をついたりする「亥の子づき」を行います.

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第6回かんざき塾「亥の子」 - 愛媛県松前町公式ホームページ

これは土地の邪霊を鎮め,土地の神に力を与えて豊かな収穫を祈るというおまじないだといわれています.亥の子|季節の行事|暮らし歳時記 亥の子 - Wikipedia

地面を叩いたりついたりするときに,唱えごとをする風習がありますが,地域によって唱えごとの内容は様々です.

真穴の亥の子歌にはちょっと変わった歌詞があります.

みかん講 たちばな だいだい かぶすに 毛が生えた 生えたら 大事に そってやろ

ここらの 門は 小判の木 小判に 小判に 重ねて 後に 長者に なるけえな えーえ おーお

ミカンが沢山の小判をもたらしてくれるという唄.

猪子が家々を回るこの日,真穴ではミカンの収穫を迎えます.NHK みかんー新日本風土記

 

▽座敷雛

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「真穴の座敷雛」とは - 真穴地区公民館ブログ

 

初めて生まれた女の子の初節句を祝うお祭り.

座敷一面を飾り立て,おひな様を祝うことから座敷雛と呼ばれてきました.

真穴の人たちは1ヶ月以上かけてお祭りの準備を進めます.

今回お祝いを受けるのは薬師神碧泉(あおい)ちゃん.

 

100年以上続く,伝統の行事.みかんの木箱を敷き詰めて,座敷の土台をつくります.

「一ヶ所建てるいうたら,100人か150人くらいかな.みんな無報酬でな.これ.百姓の人らが.親族,近所,友だちらが来てはな.祝いかけてきて,手伝ってくれるんよな.あ〜,それが大事なんよ」

地域のみんなをまとめる棟梁の役は,あのみかん農家二宮長史さんが務めます.

薬師神家のおじいちゃんが碧泉(あおい)ちゃんをつれて,家々にお願いに上がります.

明治時代,織物業が盛んだった真穴地区では,女性が働き手として大切にされていました.地域の産業がみかん作りに変わっても,その伝統は受け継がれています.

祭5日前,準備は着々と.みかんの木箱を出し入れしながら,盆栽の位置を調整していきます.全てはこのおひな様を引き立てるため.真穴の人たちが持ち寄った盆栽や灯籠もそれぞれ,落ち着きのいい場所に収まりました.

碧泉(あおい)ちゃんの健やかな成長を祝う座敷雛の完成です.

そして,お披露目の日.

毎年,座敷日なを目当てに,全国から,5000人を超える見物客がやって来ます.

 

地元の人が集まるのは,見物客の波が去った夕方から.この機会にと碧泉(あおい)ちゃんの成長をみんなで確かめます.

真穴の小さな宝物.

「赤ちゃんになってだんだんだんだん幸せ」

「毎年あるかないかをすごくみんな心配してて,生まれると地域が『やった.生まれた.今年は出来る』って言って,来年も多分2軒あると思うので,今から,『良かったね.あるね.来年は』って.地元の人は楽しみにしているんですよ」

みかんで結ばれた人々が,共に祝う真穴の春です.

 

▽毎年変わらず収穫の時を家族で迎えられる幸せ

小学校二年生になった萌南(もな)ちゃん.ハサミを扱う手つきもずいぶん確かになりました.

二宮伝成(でんせい)さん「最初は一本一本植えて,で,こうやって1つの畑になっていく,いうか.1個1個とって,しかも,全部人の手で採っていきますもんね.

この当たり前のが,すごい大切な,いうか.

いや,ほんと,その作業の繰り返しですね.毎年」