聖書創世記にある「善悪を知る木」.その実は「禁断の果実」として知られています.
しかし,この木が何の木か,禁断の果実がどのような果物かは,聖書には記されていません.
2:15主なる神は人を連れて行ってエデンの園に置き,これを耕させ,これを守らせられた. 2:16主なる神はその人に命じて言われた,「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい. 2:17しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない.それを取って食べると,きっと死ぬであろう」.(口語訳聖書)口語訳聖書 - 創世記
人はアダム.女はエバ(イブ).
3:4へびは女に言った,「あなたがたは決して死ぬことはないでしょう. 3:5それを食べると,あなたがたの目が開け,神のように善悪を知る者となることを,神は知っておられるのです」. 3:6女がその木を見ると,それは食べるに良く,目には美しく,賢くなるには好ましいと思われたから,その実を取って食べ,また共にいた夫にも与えたので,彼も食べた. 3:7すると,ふたりの目が開け,自分たちの裸であることがわかったので,いちじくの葉をつづり合わせて,腰に巻いた..(口語訳聖書)口語訳聖書 - 創世記
神は約束を守らなかった罪(原罪)により,二人を楽園から追放し(失楽園),蛇を地を這う動物とした.女には産みの苦しみが与えられ,苦労して地を耕さなければ食料を得ることができなくなった.創世記
多くの西欧絵画では青または赤のリンゴが描かれますが.絵では赤リンゴの方が多いでしょうか?
adam eve forbidden fruit painting
日米のウィキペディアには,リンゴの他にも様々な候補果物が.Forbidden fruit - Wikipedia 禁断の果実 - Wikipedia
イチジク(上の絵でも一枚はイチジクと思われます),コムギ(ユダヤ教),ブドウまたはトマト(スラブ圏),ザクロ,キャブロ
しかし,NHKの「欲望の資本主義2017 ルールが変わるとき」初回2017年1月3日
(再放送2017年12月24日 「欲望の資本主義 ルールが変わるとき 2016年5月28日」)
では,青リンゴにしては少々形が違う「禁断の果実」が描かれていました.絵としてこの形がぴったりはまるからでしょうか?
https://ameblo.jp/first-penguin/entry-12269805724.html NHKドキュメンタリー - BS1スペシャル「欲望の資本主義2017 ルールが変わる時」
西洋なし(pear)?
そして,番組で,この「禁断の果実」に例えられていたのは,知恵ではなく「(富への)欲望」そのもの.
さらには「経済的豊かさ」「消費」「経済成長」「利子」「生産効率」「イノベーション」-----
現代社会では必要と喧伝されていますが,これらは原罪?
普段ほとんど視聴しない種類の番組.
録画再生.
冒頭から次のような言葉
「富や成功への欲望,資本は自由自在に移動する,消費が資本主義のエンジンだ.私たちはいつからこんな世界を生きているのだろう.
人と物の間をお金が行き交い,際限なく膨張してきた資本主義」
問題意識としては,かなり多くの方が持っている疑問ではないでしょうか.
そして,「欲望」という,一般社会ではネガティブに響く言葉を前面に出した編集.
「人間の業=欲望をキーワードに、これからの日本、世界のあり方を考える」
思わず引き込まれ,視聴中はかなり理解した気に---.
しかし,終わって振り返るとあまり残っていません.よく知らない分野の書籍や映像に接したときはいつもこんなもの.
もう二三度見る必要がありますね.キチンと理解するためには.
本も出ているので買ってもいい---けれど,でもまた積ん読で終わる?
https://www.amazon.co.jp/欲望の資本主義-丸山-俊一/dp/4492371192
ウェブ上でも既にかなり話題になっていて,検索すると沢山の記事が.:欲望の資本主義2017 ルールが変わるとき
よくまとまった感想:欲望の資本主義2017 "ルールが変わる時”|先憂後楽や,
かなりの部分の書き起こし:「欲望の資本主義 2017 ルールが変わる時」 まるいの日記
私も,気になるところをほんの一部書き起こしておきます.まとまりが無くて済みません.
その前に予告.2018年新春,続編が放映されます.
2018年1月3日(水) 午後9時00分(50分)
スコット・スタンフォード (シェルバ・キャピタルCEO 元ゴールドマンサックス社員)
「今,資本主義経済が大変化に直面しているのは疑いようがない.労働を基本としたシステムから,高度に自動化されたシステムへの移行だ.僕らは昔ながらの経済指標に足止めされるわけにはいかない.雇用率や生産性など成功の証しとされているものだ.いつの日か失業率は30~40%にもなるだろうが,そんなに悲観することでもないかもしれない.もし人口の半分が働かなくてよくなったら,今とは別の社会システムが必要だ.なぜなら資本主義は学生と退職者以外は,人の労働に基づくシステムだからね.でも,二人に一人が働かなくなったら…? 答えは分からない.社会主義ではないだろうけどね.過去には様々な社会システムの実験があったけど,それらがハイブリッドされた新しいシステムが誕生するかもしれない」
ジョセフ・スティグリッツ(アメリカ大統領経済諮問委員会委員長,世界銀行チーフエコノミストなどの要職を歴任)
「30年ほど前にアメリカをはじめ各国で,市場経済のルールの書き換えが始まった.ますます不平等を生むようなルールに書き換えられたのだ.それだけでなく市場経済の効率性が下がり生産性の下落を招いたのだ.----だから,今再びルールを書き換えないといけない.これからのルールは繁栄を分かち合い,より成長し,より公平な分配をうながすものでないといけない.実現できると思うし,実行可能な目標だと思う」
「シリコンバレーでのイノベーションの価値を測るのは本当に難しい.彼らは社会の転換を促すものだと言うが,マクロ経済学の統計を見ても,生産性の上昇は認められないんだ.つまり,…『我々の測定法が間違っている』か『誇大広告』かどちらかだろう」
「自由とはかつて『物からの自由』を意味していた.今や自由といえば『消費する自由』だ.消費できるほど自由を感じる.消費できないと自由じゃないと思ってしまう.だから毎日働かないといけない.映画『マトリックス』でもあったろう.いらないものを買うためにしたくもない仕事をする.エデンの園の呪いだね」
「教育レベルが高くて優秀な経済学者がたくさんいて大きな潜在力を持っている日本のような国でも,借金を返せずに苦労している.文明社会は“安定”を売り払ってしまった.そして無理に“成長”を買っている.僕らはいつもではなくとも時々成長をもたらす経済を作り出したが,今は崩れかかっている」
「日本が成長を追い求めすぎれば,資本主義の『死』を迎えるだろう.過労死という名のね」