ちょっと上から目線で ヒガンバナって猛毒?もっとかわいがってやりませんか?

 ヒガンバナを飾るのをためらうことがあります。ヒガンバナを縁起が悪い・不吉とする方々がいるからです。気を使ってしまいます。

   一昨年見たNHKBS時代劇でも( 宮部みゆき原作 『おそろし~三島屋変調百物語』 制作開始ホラー話の道具に利用していましたっけ。第一回だけ見ました。一部の人が持つヒガンバナに対する偏見に安易に乗っているようで---。けしからんなー。

 

何故縁起が悪いと考えるのでしょうか?

  赤が強すぎるのでしょうか?真っ赤な花は他にもあるし、美しいと思う人がむしろ多いのでは?

  球根に毒性が見られるからでしょうか?

「美しくもその根に猛毒を持つ」が日テレ系ドラマ「ヒガンバナ」の宣伝文句にありました(ヒガンバナ~警視庁捜査七課~)。

 

ヒガンバナって猛毒?

  ヒガンバナヒガンバナ科ヒガンバナ属)の毒は、スイセンヒガンバナ科水仙属)の毒と同じです。下痢・嘔吐は起こすものの、致死量以上を食べることは困難、というよりほとんど不可能http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/25273/1/35-p089.pdf 医薬品情報21 「水仙の毒性」 自然毒:高等植物:スイセン類 |厚生労働省)。猛毒とはとてもいえませんね。実際、嘔吐物がのどに詰まった事例以外、ヒガンバナ/スイセン毒が関わる死亡例は国内外で知られていないようです。

また、主な毒性成分リコリンは「哺乳動物において、少量摂取で流涎(りゅうえん:よだれをながすこと)、多量摂取で、エメチン(「吐根」の薬効成分で、催吐薬として用いられる)様の下痢、吐き気を惹起するが、その毒性は比較的弱いので、催吐、去痰薬として用いられる。また、かなり強い体温下降作用、抗アメーバ作用も示す。」との記載もあります(医薬品情報21 「水仙の毒性」)。薬として使われる例があるのです。(催吐作用がとても強いので、少量食べるただけで、吐いてしまう。そのため猛毒と思われたのかもしれませんね)

 

  そもそも、日本では、水洗いしたヒガンバナデンプンを、飢饉の時の貴重なエネルギー源として利用したとのこと、そしてこのように利用するために全国に広まったとのこと(ヒガンバナ :: 植物図鑑 :: 筑波実験植物園(つくば植物園) ヒガンバナの民族文化誌)。

 

  怖い話は、ひそひそと、そしてネット上では大胆に、根拠もなしにずっと言い伝えられていくような気もします。ヒガンバナがかわいそう。もっとかわいがってやりませんか?

 

ヒガンバナ里山・里地の代表的な秋の花

以前の勤務先付近の田んぼの畦にみるヒガンバナは本当に美しかった。里山・里地では代表的な秋の花。

しかも人の暮らしと密接に結びついた花とのこと( 今森光彦が見つめた ニッポンの里山 (9) ~佐賀県小城市~|ワイルドライフ|NHKエコチャンネル)。

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ヒガンバナを愛でる方々が、一方では、最近増えているとも聞きます。

私も「縁起が悪いは単なる偏見。不吉と思う人のことはあまり気にせず、もっとかわいがって増やしてやろーっと」と思いつつ。球根管理はいい加減。あまり威勢のいいことはいえません。

 

更待月(ふけまちづき)