うどんの起源②(うどん6)麺の仲間の概要,その中で うどんがどのように位置づけられているか? 小麦粉と水を混ぜて線状に加工した麺は,①手延べラーメン系列(延べ麺)②そうめん系列(延べ麺)③切りめん系列に分類でき,うどんは切りめん系列.中国における麺の祖先であることは間違いがない「水引餅 すいいんぺい」.最古のものかどうかは不明な点が残されています.

うどんの起源②

昨日に引き続き,『麺の文化史 石毛直道 講談社学術文庫』を主なテキストとして,日本のうどんの歴史についてのまとめようとしたのですが---

 

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その前に,

麺の仲間の概要,その中で

うどん

;「小麦粉に少量の塩と水を加えてこね,薄く伸ばして細く切ったもの」「茹でて汁に付けたり,汁と共に煮たりして食べる」(日本国語大辞典),

がどのように位置づけられるかをみてみましょう.

麺の説明のなかで,中国における麺の歴史に少し触れ,日本のうどんの歴史の続きは明日以降に.

 

麺の仲間

『麺の文化史』では,“めんの系譜研究会”の分類として,次のような図(「伝統的製麺法による麺の分類」 表題はyachikusakusaki による)を載せています.

各国(日本・朝鮮・イタリア・中国---)の麺文化を調べた結果作成したそうで,昨日掲載した「中国・餅(ピン)料理法による分類」が,料理法にやや偏ったものであるのに対し,製麺法に重点を置いた分類です.

 

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▽餅(ピン)が,中国語で小麦粉製品を指すのに対し,この表は日本語の麺(⇒*)の分類です.

(⇒* 石毛の定義では

 麺とは

穀物,マメなどの粉を主原料として,線状に加工した食品で,原則として,ゆでたり,煮たりして,主食,あるいは準主食的な料理の主材料として食べられるもの」

 中国語での“麺”は,日本語の麺と同じ意味に使われることも多いが,もともとは小麦粉のこと.)

 

手打ちうどんや手打ちそばは,③切りめん系列に属する麺という事になります.

 

▽①の手延べラーメン系列が道具を一切使わないのに対し

▽②のそうめん系列では,植物油と棒が使われます.

 

そうめんの製法: 小麦粉を練ったものを,一本のながいひも状にのばす.乾燥をふせぐために,ひもに植物油を塗っておく.

次いで,このひもを,日本の棒ーー日本の手延べそうめんつくりでは,この棒を「くだ」というーーのあいだに巻き付ける.

一本の棒を固定しておき,別の棒をひっぱると,巻きつけたひもがいっぺんに伸びて,糸状になる.これが手延べそうめん作りの原理だ.(『麺の文化史』)

 そうめんづくりは,日本独特の方法ではなく,中国では「索麺」(北宋 960年 - 1127年の書物に初出)づくりに使われていて, そうめんという名はこの “「索麺」の中国音がなまったものだろう(『麺の文化史』)” とのこと.

 

▽また,表中に使われている「水引餅」という名前

中国における麺の祖先であることは間違いがない「水引餅 すいいんぺい」(『斉民要術』530〜550年に製法が記述されている)

 の名前をそのまま使用.

(⇒『四民月令』;2世紀著された最古の歳時記,に「水溲餅 すいそうへい」の名前が記載されていますが,どのようなものか諸説あって定まっていないそうです)

(⇒水引餅が麺の祖先であることは間違いありませんが,明日にとりあげる「索餅」ーー後漢代25年 - 220年に名前が現れているーーも,麺である可能性があり,そうだとすれば,「索餅」が最古の麺になります)

 

▽④⑤は「押し出し麺」.小麦粉と異なり,グルテンがない粉:「リョクトウデンプン」「米粉」等を用いたときの製法と言えます.