ビールの本場からやって来たジェイムスさん(イギリス)とハイケさん(ドイツ).
デパートの屋上ビアガーデンで,日本人のビールの飲み方を徹底調査しました.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/09/16/031450
日本のビールは世界と何が違うのか、徹底検証(1)
ビール | NHK | cool japan 発掘!かっこいいニッポン
ジェイムズ(イギリス)「温かいビールは飲まないの?」「イギリスでは泡のないビールも普通」
ハイケ(ドイツ)「失礼,ちょっと泡が多すぎない?」ジェイムズ(イギリス)「オーイエー.大量の泡を足すんだ」
ハイケ(ドイツ)「ドイツではビールを飲むときに音を出すのは下品なのよ」ジェイムズ(イギリス)「イギリスでもそうだよ」
二人も,キンキンに冷えた泡多めのビールを日本流で飲んでみることに.一気に飲む二人.「おっスゴイ」「すごいな」
ジェイムズ(イギリス)「ああ〜」ハイケ(ドイツ)「くは〜」
ジェイムズ(イギリス)「でも,気分爽快って感じ,しない?」
ハイケ(ドイツ)「確かにそうね」
NHKBS1 9月10日(日) 午後7時00分~7時44分 Cool Japan ビール
日本のビールは世界と何が違うのか、徹底検証(2)
「まあ確かにね.これが日本人のビールの飲み方だね」「鴻上さんも『プハー』って言いますか?」「やりますね.『プハ〜』はね」
「さあ,ジェイムスさん.日本のビアガーデンに行ってみていかがでしたか?」
ジェイムズ(イギリス)「とても楽しかったよ.雰囲気もいいし,外で飲めるのは魅力的だよ.日本の居酒屋は地下が多いからね.キンキンに冷えたビールも最高」
「それで,ジェイムスは『日本のビールは冷たい』っていうふうに言ってましたけど」
「自分の国のビールと比べて確かに冷たいなと思う人?」
ピーター(アメリカ)「日本のビールは冷たいけど,ボクは気に入ってるよ.グラスまで冷やすのは最高」「You prefer」
ピーター(アメリカ)「もう大好きさ」
スレッシュ(インド)「インドのビールは基本的に余り冷えてないよ.だから店員がボトルを持ってきて,『この冷たさでいいですか?』と聞いてくれるんだ.だから,ボトルを触って,温度を確かめる」
一同「あ〜」「なるほど」
スレッシュ(インド)「温度は客次第なんだよ」
「キンキンに冷えたビールは,ピーター好きになったとか言ってましたけど,皆さんの国でキンキンに冷えたビールは受ける?」
ニコラ(フランス)「冷たいビールだと風味を感じることができないよね.舌がマヒしちゃうような冷たさは好まないだろうね」「なるほど」
ヤン(中国)「中国人は冷たい飲み物は体に悪いと思ってるんです.だから----」「そうか.あっ,そうか.暑いときほどお腹を冷やすなとか言うもんね」
ジェイムズ(イギリス)「イギリスでは冬は温かくして飲むのが普通なんだ.でも夏は冷やして飲みたい」「なるほど」
ジェイムズ(イギリス)「ビールは季節によって温度が違うんだよ」
「ハイケはどうですか?」
ハイケ(ドイツ)「日本のビールは炭酸が多いから冷やさないとおいしくないの.ぬるいコーラと同じよ」「なるほど.いやそうにしゃべってますね.この人は」(笑い)
「じゃあ,冷たさもそうなんだけれども,泡に関しても二人は驚いていましたけど,日本のビールは泡が多いと思う人!自分の国に比べて」
「多いんだ」
ジニー(オーストラリア)「ケチだと思っちゃうわ.泡が消えればビールが減るでしょ.損した気分になるわ」「ははははは」
ニコラ(フランス)「全自動でわざわざ泡立たないように入れたのに,泡を加えたのは衝撃だよ」
スレッシュ(インド)「一口目はビールを感じたいんだ.泡じゃないよ.それから泡とビールが混ざるのを楽しむんだよ」
「ニコラのそれは何ですか?」
ニコラ(フランス)「ボクは日本人の泡好きをこれで証明するよ.まず泡が出ないようにジョッキに注いで,これでは日本人には泡が少ないよね.それでレバーを押すと」(笑い声)
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ニコラ(フランス)「これで完璧」「何それ?」(大笑い)
ピーター(アメリカ)「これぞ日本のビールだ」
「待て,ニコラ.それを君はクールだと思ってんの?」
ニコラ(フランス)「これは---.非常に興味深いね」(全員大笑い)
ニコラ(フランス)「日本人はビールの泡をケーキのトッピングだと思っていると思う.だから,泡がある方が好きなんだよ.僕たちはダマされたと感じるけど--」
「すごっ.そんなものがあるんだね.へー」
「何でじゃあ日本人は,こんなに泡にこだわるんだと思いますか」
ジニー(オーストラリア)「わからないけど,異常ね.(笑い声) 日本で理解できないことの1つよ」
ジェイムズ(イギリス)「日本で泡なしのビールを頼むと,店員がスプーンで泡をとってくれるんだ.でも減った分を足す気もない.ガッカリだよ」(笑い)
「多分,番組見てる日本人も,何でだろうなって思ってると思う.もう昔から,昔からこういうふうになってたから」
ジニー(オーストラリア)「みんな泡がおいしいと思い込んでるだけじゃないの」
「ビールを飲むときに音を出すことに対しても,二人はこだわってましたけど,何で日本人は『プハー』とか『うっうっ』って音を出すんだと思う?
スレッシュ(インド)「ビールのCMが影響を与えているんじゃないかな.日本のビールのCMは,ビールの飲み方を教えているみたいだよね」「あ〜そう」
マリア(ペルー)「私もビールのCMがポイントだと思うわ.日本のCMはアイドルとかミュージシャンが出演して,楽しそうにビールを飲んでる. プハー」(笑い)
ピーター(アメリカ)「アメリカのCMはビールが脇役なんだよ.それでも飲むのが楽しくなるように作ってるんだ」
「でも飲んでるところはないんだ,じゃあ」
ピーター(アメリカ)「飲んでるシーンは記憶にないね」
ハイケ(ドイツ)「日本では,アルコール依存が大きな問題じゃないから,楽しく飲むCMでも大丈夫なのよね」
「何で日本人は『プハー』とか『ウッウッ』って音を出すんだと思う?」
ジニー(オーストラリア)「日本人は感情を言葉より音で表現することが多いわ.日本人と会話していると,『オオ〜』とか---」
「It's kind of オノマトペ=擬音語 ね」
ハイケ(ドイツ)「いかに自分が仕事を頑張ったか表現してるのよ.同僚たちと仕事終わりに飲むことで疲れを吐き出すの.それでみんながこの人は1日頑張ったんだなって思うのよ」
「さあ,小林さんいかがでしたか?」
小林(青山学院大)
「いや〜,世界中にあるビールだけど,同じようにあるビールに見えて,日本なりのビールのあり方があるなって思ってとても感心したんですけど.
じゃあ日本のビールのあり方の一番,特徴はなにかって言うと,
やっぱり何かある種の日常生活の区切りって言うか,『こっから一杯,まず一杯,みんな行こうぜ』っていう時に皆で飲む.その区切りをつけて,さっきのビアガーデンがそうだけど,皆で集まって楽しくさあ飲もうよ.あれ,ある種の縁日とかお祭りとか,そういうのに似てるじゃないですか.雰囲気が.そこに皆やって来て,何か楽しむ.そういうものとしてビールを受け止めている感じがするの.
でさっきの泡.泡はね,私の考えですけど,感触に合うんですよ.
日本人にとっては,やっぱり,泡でふわふわって来てぐわっとこうくるあの感覚が,あの二重構造がたまらないこの蒸し暑い中に,スカッとさせるんですよ.味そのものよりも,感触に文化の秘密がある,日本ならではのものだと思いますね」
付記
Ale vs. Lager: The Differences Between Both Types of Beer
ビールは大きく二つに分けるとラガービールとエールビールに分けられます.
ただし,サイトによっては,ラガービールといわずに「下面発酵酵母を使ったビール」,エールビールといわずに「上面発酵酵母を使ったビール」としていました.(例えばビールの豆知識|ビールの種類|ビール酒造組合)
次のサイトの様々なビールに関する解説は分かりやすいものでした.
クラフトビール・ブルワリーのことならBREWING JAPAN
ラガービールとエールビールの違いについての説明を拝借して記載させていただきます.
https://brewing-japan.com/column/beerlecture-style-lager-ale
これらは何の違いかといいますと,使っている酵母の種類が違います.ラガー酵母は12‐16℃で発酵する酵母,対してエール酵母は18-22℃くらいで発酵する酵母の総称です.
ラガー酵母は比較的低温で発酵する酵母です.また,発酵後タンクの下に沈むので下面発酵酵母ともいわれます.
特徴としては低温で発酵するがゆえにエステルと呼ばれる香り成分をあまり出しません.エステルはフルーティで濃厚な香りの素となるので,それが少ないラガービールは全体的にすっきりとした印象のビールになります.
日本の大手メーカーが作っているビールはほとんどすべてピルスナーというスタイルなのですが,このピルスナーがラガービールの代表的なスタイルです.
もちろんほかにも,ドイツ風の黒ビール「シュバルツ」や,カラメルの香りが強く甘味が特徴の銅色のビール「ドゥンケル」など様々な色や香りのラガービールがあります.
エールビール
ラガーに対し比較的高温で発酵する酵母をエール酵母といいます.エールの場合,発酵後酵母はビールの上に浮いてくるので上面発酵酵母とも呼ばれます.
エールの場合,エステルが多く発生するので,フルーティなビールが仕上がります.ペールエールやポーター,IPAなどがエールビールでこちらも様々な色や味わいのものがあります.
それ以外
大きく2つに分けるとラガーとエールと書きましたが,このどちらでもない酵母を使ったビールもあります.
それは天然酵母を使ったランビックやヴァイツェン酵母を使ったヴァイツェンなどです.
どちらも発酵温度はエールに近いのでエールに分類されることもありますが,エール酵母とはまた違った特徴があるのでここでは別分類としました.