読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ツバキは春の花?開花日を梅と比べてみましょう---.結果は:地域によっては冬の花といった方が良いかもしれませんね / ツバキ属の花にはチャノキも! ツバキ / 万葉集 あしひきの,やまつばきさく,やつをこえ,ししまつきみが,いはひづまかも 作者不明 

我が家のツバキは,ほとんど散ってきています(写真左・中).

f:id:yachikusakusaki:20170219173223j:plain

我が家のツバキの咲き始めは12月13日( 椿,水仙が咲きました/ミカンの起源 - yachikusakusaki's blog )と12月23日(もう一種類のツバキが咲きました.ツバキにこんなに沢山の種類があるなんて! ).

園芸種のツバキについては,12月23日のブログ後半で書きました.今回はツバキの開花日とツバキ属の花について---.

 

1. ツバキって春の花?

木へんに春という字を持つツバキ.

(ただし,いわゆる「国訓」:

ショウブは菖蒲ではない.長田弘「花の名を教えてくれた人」 - yachikusakusaki's blog

もちろん春の季語.でも,春の花のイメージがイマイチ持てない花.

 

早春の花,ウメと開花日を比べてみましょう.

f:id:yachikusakusaki:20170219220625j:plain

気象庁のサイトに「生物季節観測の情報」があります.とても面白いサイトです.

ここに,サクラ,アジサイなどと共に,ウメ(白梅,一重)の開花日が載せられています.気象庁 | 生物季節観測の情報 http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/ume2010.pdf

 

はじめに同じ開花日を線でつないだ「等期日線」を見て見ましょう.

f:id:yachikusakusaki:20170219204900j:plain

近畿及び関東の大部分の地域は,1月31日から2月28日の間に開花することが示されています.

ウメは,寒さの中,時には雪と一緒に咲きますが,冬至春分の中間点「立春」に合わせて,もしくは,それよりやや遅れて開花するといえますね.早春の花ウメというのもよくわかります.

 

一方,ツバキの開花日は,気象庁のデータベースに記載され ( 防災情報電文検索(生物季節観測) | 気象庁防災情報XMLデータベース ),これをまとめたマップがウェブ上にありました( つばきの開花日 マップ | 生物季節観測データベース).

 

主要都市の平年開花日をウメと並べてみました.最初の欄に「ツバキ平年開花日 − ウメ平年開花日」の差の値を書き加えました.

f:id:yachikusakusaki:20170219213735j:plain

仙台,金沢,東京,彦根,宮崎はウメの開花日より遅れてツバキが開花するようです.

京都に近い彦根,首都東京の開花は2月です.

この結果だけからすれば,ツバキも早春の花,と言えますね.

 

しかし,他の都市ではツバキの方が早く開花しています.横浜,静岡,長崎は元旦に咲くといってよいでしょう.

そして,今年は多くの都市で更に早く咲いて,

横浜,津,鳥取,高松,長崎などでは,なんと12月開花!

かなり広範囲の地域で,「冬の花」といった方が良い結果です.多くの人が抱く感覚が,おそらくそうであるように.

俳句をつくる方々はかなり苦労されているのでは?

 

2. ツバキ科,ツバキ属の花

ツバキはツバキ科・ツバキ属に分類されています.ツバキ科は,属との間に連を置いて分類しているようで、ツバキ連、ツバキ属とする場合もあるようです.

ツバキ属には,他に,サザンカ,ユキツバキがありますが,もう一つ,とても重要で誰もが知っている木も!

チャノキです.日本茶,紅茶,ウーロン茶,皆,この木の葉から作られますね.

 

f:id:yachikusakusaki:20170219232529j:plain

 (主として ツバキ科 - Wikipedia より)

 

 属が異なるナツツバキ属にはナツツバキ(シャラノキ)や,これより小ぶりなヒメシャラ.名前も花も可憐.

f:id:yachikusakusaki:20170219232611p:plain

 

椿 / 万葉集

あしひきの,やまつばきさく,やつをこえ,ししまつきみが,いはひづまかも

あしひきの,山椿咲く,八峯(やつを)越え,鹿(しし)待つ君が,斎(いは)ひ妻かも  作者不明 (第7巻 1262)

あしひきの山椿咲く、八峯越え、鹿待つ君が、斎ひ妻かも

 

斎藤茂吉 万葉秀歌

これは,

猟師が多くの山を越えながら鹿(しし)の来るのを,心に期して,隠れ待っている気持ちで,そのように大切に隠しておく君の妻よ

というのである.「斎(いは)ひ妻」などという語は,現代の吾等には直ぐには頭に来ないが,繰り返し読んでいるうちに慣れてくるのである.つまり,神に斎く(いつく)ように,粗末にせず,大切にする妻というので,出てくる珍しい獲物の鹿を大切にする気持ちと相通じている.

「鹿待つ」までは序詞だが,こういう実際からきたまことに優れた序詞が,万葉にはなかなか多い.