「猫の表情」を分析した研究論文が,話題になっています. 「他の猫に対する猫の表情は,276種類ある」とのこと(チンパンジーの357とさほど変わらないが、多くの人が猫にできると考えていたよりもはるかに多い)(表情の45%は,はっきりと友好的なもの.表情の35%は,はっきりと攻撃的なもの). 「おそらく人間の夕食の残り物を待つために集まるうちに、友好的な表情を拾うようになったのだろう」との推測も.この「人間との共進化」が本当ならば面白いですね. 

「表情」.それは,人間に特有のものと思われがちですが---

 

「猫の表情」を分析した研究論文が,話題になっています.

猫好きの方は「猫に表情があるのはとうの昔に気づいている」と言うかもしれませんが.

 

「他の猫に対する猫の表情は,276種類ある」とのこと.

「おそらく人間の夕食の残り物を待つために集まるうちに,友好的な表情を拾うようになったのだろう」との推測も.この「人間との共進化」が本当ならば面白いですね.

 

話題になっている研究論文は,

Feline Faces: Unraveling the Social Function of Domestic Cat Facial Signals

(ネコの顔: 飼い猫の表情シグナルの社会的機能を解明する)

LAUREN SCOTT & BRITTANY N. FLORKIEWICZ

ローレン・スコット&ブリタニー・フローキウィッツ)

Behavioural Processes Available online 18 October 2023, 104959 In Press

要旨は https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0376635723001419

 

ニュースとして報じているのは,「サイエンス」など.

 

Science news

Cats have nearly 300 facial expressions
Study reveals surprising social depth, which may be due to co-evolution with humans

https://www.science.org/content/article/cats-have-nearly-300-facial-expressions?utm_medium=ownedSocial&utm_source=Twitter&utm_campaign=NewsfromScience

「猫には300近い表情がある
人間との共進化による社会的深化の可能性も」

 

イタリア24プレス NewsWorld

Cats communicate through 276 facial expressions 

https://newsrnd.com/news/2023-10-27-cats-communicate-through-276-facial-expressions---nature.B1lni8JKGT.html

「猫は276の表情でコミュニケーションをとる」

 

 

論文は読むことができませんでしたが,以下,サイエンス誌のニュースの記事を簡単にまとめてみました.

方法:

キャットカフェ閉店後の猫の表情,特に他の猫に向けた表情を194分間のビデオに録画

呼吸や咀嚼,あくびなどに関するものを除き,すべての表情筋の動きをコード化.

 

結果:

他の猫に対する276種類の猫の表情を発見

チンパンジーの357とさほど変わらないが,多くの人が猫にできると考えていたよりもはるかに多い.

 

・猫は26種類のユニークな顔の動きをもつが,そのうち4種類を組み合わせたもの

(ユニークな顔の動き 人間44,犬27. ただし,人間や犬の表情の種類は解析されていない)

 

・表情の45%は,はっきりと友好的なもの.表情の35%は,はっきりと攻撃的なもの.表情の18%は両方のカテゴリーに入るもの.

 

・友好的に接しているとき:耳とひげを他のネコの方に動かす傾向がある.

・非友好的に接しているとき:耳とひげを他のネコから遠ざけ,瞳孔を収縮させたり、唇を舐めたりする傾向がある

 

著者の一人フローキウィッツ氏によれば:

「ペットのネコはその防衛的なコミュニケーションの一部を保持しているかもしれないが,子孫は,おそらく人間の夕食の残り物を待つために集まるうちに,友好的な表情を拾うようになったのだろう」

「里親になる可能性のある人が,現在飼っているペットと仲良くなれる可能性の高い猫を選ぶのに役立つかもしれない」

 

 

リンカーン大学の獣医行動学者で,この研究には参加していないダニエル・ミルズ氏

「猫の友好的な表情のいくつかは,人間,犬,猿,その他の動物がする表情に似ている.これらの種が "共通のplay face” "を共有している可能性を示唆している」

ゲルフ大学の行動生物学者ジョージア・メイソン氏

「いつか,猫の飼い主がペットの微妙な合図をよりよく理解するためのアプリをデザインするのに使われるかもしれない.また猫と人間の絆を深めるのに役立つかもしれない」