紫陽花が終わってしまう7月.花が少なくなってやや寂しいなか,ノウゼンカズラが所々で存在感を示しています.
鎌倉の寺院でも見ることができて,
中でもかなり知られているのが妙本寺.
夕方散歩で,見に行ってきました.一昨昨日になります.
二本植えられていて,その内の一本はかなりの大木.
美しく咲きそろっていました.
平安時代に渡来していたそうで,日本人は長い間親しんできた花.といってもつい最近まで,名前と姿が一致しなかった私ですが.
平安時代の「本草和名(ほんぞうわみょう/918)」、「和名抄(932)」には、紫崴、凌霄の漢名をあてて、「乃宇世宇(のうせう)」、「農世宇(のせう)」、「未加也岐(みかやき)」などの和名をあてている.
江戸時代の「新刊多識編(1631)」に、「乃宇世宇(のうせう)」から、「乃宇世牟可豆良(のうせんかずら)」という名の記述があり、江戸時代には、ノウゼンカズラの名で呼ばれた.
ノウゼンカズラ,凌霄花,Campsis grandiflora,ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属
上記のサイトによれば,利尿剤として用いられていたとのこと.
なお,古来より「有毒」と言われてきたものの,いずれのサイトも「有毒を示す証拠はない」としています.
シソ目ノウゼンカズラ科の植物.
シソ目 Lamiales,ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae,タチノウゼン連 Tecomeae,
ノウゼンカズラ属 Campsis,
ノウゼンカズラ C. grandiflora
なお,同じノウゼンカズラ科のキササゲ属にはキササゲが属し,日本に自生して,こちらも利尿剤として用いられてきました.
ノウゼンカズラは,古くから栽培されてきたにもかかわらず,あまり親しみを持たれていなかったようで,(「有毒説」のためかもしれません),短歌に詠まれることは近代に至るまでなかったそうです.
風ゆらぐ凌霄花(のうぜんかずら)ゆらゆらと花散る門に庭鳥あそぶ 佐佐木信綱 (思草)
火のごとや夏は木高く咲きのぼるのうぜんかづらありと思はむ 北原白秋 (黒檜)
角を曲がれば凌霄花(のうぜんかずら)の溢れいし記憶にあえる はずの空白 久々湊盈子(くくみなとえいこ) (黒鍵)
( 古今短歌歳時記 鳥居正博 教育社 )