質問:より強い社会的隔離(social distancing)が必要ではないか? 回答(西浦博氏):私たちはそう(社会的隔離を強く打つべき)考えてはいません.なんとかして「日本モデル」で活路を見出そうと思っているのは,社会経済機能をなんとかして維持できる形で,皆さんの行動の無駄な部分をできる限り省いて,そのしわ寄せを受ける社会的弱者を助けながら何とか持続可能な道を探れないかということ」新型コロナウイルス専門家会議3/19記者会見より(1)

新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議が3月19日、新たな提言を取りまとめ,

「感染拡大地域では自粛検討を」専門家会議が提言【全文】|特設サイト 新型コロナウイルス|NHK NEWS WEB

その後,感染状況に関する記者会見を開きました.

 

その様子は,NHkライブ配信され,TBSニュースとして現在もYouTubeで見ることができます.

https://www.youtube.com/watch?v=fsp9KdQ_588

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 専門家の話で,しかも長い.全てを見た方は少ないかと思いますが----

私は提言の発表部分には気付かず,その後からNHKのサイトで記者会見の場面だけを視聴しました.

第一印象は---分かりづらい,持って回った言い方(科学的な表現?)が多い!

しかし,より正確に,間違いがないように伝えようという誠意は感じ取れ,また科学者としての立場を逸脱しない努力にも好感が持てました.

そして,

外国人記者の質問に答えた西浦博氏(北海道大学教授)の“社会的隔離”を強く打ち出さない感染症対策“日本モデル”の説明には,とても共感しました.

話し言葉ですので,わかりにくい部分がありますが,音声部分を再録します.

 

質問:より強い社会的隔離(social distancing)が必要ではないか?(多分.英語で聞き取れませんでした)

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西浦氏アメリカの例をお話し頂きましたけど,今,バーが閉鎖されたり,私たち研究者レベルでも,研究所に行っている,大学に行っているという人がまだいるっていうのは,アジアの極東の日本とか韓国だけではないかと思います.

アメリカでは,皆さん研究所にさえ行っていないぐらい,通常営業が止まっているんですね.

そんなぐらいのsocial distancing社会的隔離を強く打つべきなのかどうか,という話なんですけど,私たちはそう考えてはいません.

接触をなくすことで二次感染が減るんですけど,それと同時に,皆さん日本でやってきたことですけど,この一二週間がクリティカルであるというお話をして,一定の協力をしてもらって,皆さん,バーに行くのを控えていたり,あるいは,無駄な接触をしない,であったり,フィットネスジムでは二次感染が連発したので,そこが一定期間閉鎖されていたり,一定の協力をしてもらいました.

問題であるのは,これから皆さんと話し合いたいと思っているのは,例えば,全てのバーが閉鎖されるようなアメリカのような状況が,長期間,持続可能かどうか.っていうことです.

恐らくそうじゃないと思います.

経済的インパクトが余りにも大きすぎて,そのような行動の自粛っていう範囲よりも,より強固な制限というものは長く続けることができません.

ただ,流行はパンデミックを起こしているので,一定の期間,長く行動が変わらないと,流行が拡大してしまうっていうのは事実です.

今,私たちがなんとかして「日本モデル」で活路を見出そうと思っているのは,社会経済機能をなんとかして維持できる形で,皆さんの行動の無駄な部分をできる限り省いて,そのしわ寄せを受ける社会的弱者を助けながら何とか持続可能な道を探れないかということを,科学者がより合ってクラスター対策班っていうのを組織して必死に模索しています.おそらく,そこにoptimalオプティマルな答えがあると信じて,まだ見ているんですけど.

大変厳しい状況とは思っているんですけど,

長期間持続可能なオプションというのを今,必死に考えていますし,それは,国民の皆さんが簡単に譲歩できるものではないかもしれないというのも事実であるので,その辺は,皆さんで合意するプロセスというものを専門家としても作っていかないといけないと思っています」