あの“さかなクン”が,まだ食べたことのないブリ
「さかなクン教えて!冬に最高ブリッブリなブリ」(12月20日NHK総合ごごナマ).録画を視聴.
本当に感心します.さかなクンの知識.絵の腕.飽きさせないトーク.この番組の内容をまとめれば,ブリの基本知識は全てOK.
https://www.google.com/search?
と思いつつみていると----.
「このさかなクンが,まだ食べたことのないブリが,今日,スタジオに」「あの,ブリさんですか〜」
「さかなクンが食べてみたかったというブリ.持ってきて頂きました」
このさかなクンも「食べたことのない」という一品が登場.
塩ぶり Archives | カネツル砂子商店カネツル砂子商店
「こちらでしたか〜.初めて見ます.いい香りがいたしますね」
「塩ブリです.岐阜や長野で保存食と言うことで」
「初めまして.拝みたくなっちゃいますね.東だと鮭のイメージがあるんだと思うんですけど,西は塩ブリ.お正月に食べ始めると,一月二十日には骨しか残っていないということで,一月二十日を骨正月と呼ぶという---」
「富山のある地方では,正月の料理として残っているのでご紹介します.下村加茂神社というところです」
「射水市にある下村加茂神社で,元日に行われる鰤分け神事です.
地区ごとに塩ブリを奉納します.そのあと,宮司は祝詞(のりと)を読み上げ,塩ブリを一本ずつ高く持ち上げて,奉納した地区名を読み上げます.
この後,塩ブリは取り分けられ,各家庭に配られ,夕食にあぶって食べることで,無病息災を祈るというものなんですね.北陸ではおせち料理の一品が,焼き塩ぶり」
https://www.takayamasatou.com/35_567.html(スタジオではお酒は出ていません)
「皆さんに召し上がって頂きます」
「頂きま〜す.やった,塩ブリだ.めちゃウマ.美味しいですね〜」「さっぱりしてるね.コクがあって」「血合いがまたおいしい」
現在の塩ブリはどのような状況なのか?(どなたか教えて下さい)
さかなクンも食べたことがなかった塩ブリ.
塩ブリは,実は,一回だけ食べたことがあります.かなり以前ですが.こんなに美味しい魚があるのか?と思ったことを覚えています.
しかし,関東では全く見ることがないように思える塩ブリ.以前,九州・関西の何人かの友人に聞いたところでも,知っている方はいませんでした.ネットで見る限り,以前は西日本では一般的に食べられていたような記載があるのですが----
例えば
塩鰤 ぶりの塩蔵品.富山や石川の名産品.北陸・関西・九州などで正月料理に用いる.
(出典 講談社日本の郷土料理がわかる辞典)
現時点では---
ネット上で,正月/塩ブリ/富山/岐阜 等で検索しても,なかなかおせちに入った塩ブリや,食卓上の塩ブリの画像には行き当たりません.
塩ブリの画像は沢山見つかります.しかしほぼ全て通販の宣伝.しかもかなり高価
(例えば切り身5きれで6000千円 https://www.takayamasatou.com/35_567.html ).
そして,正月を知らせる新聞記事として,上記の下村加茂神社の神事のほか,飛騨高山の塩ブリ市,塩ブリの仕込み,などが取り上げられています.
飛騨の冬の風物詩「塩ぶり市」 富山・氷見産のぶりに人気 岐阜県高山市 | CBC NEWS(CBCニュース) | CBCテレビ
歳末恒例「塩ぶり市」仕込み最盛期 高山市|日テレNEWS24
また,食文化としての解説はあります.例えば富山から岐阜・長野への街道が「ブリの街道」として紹介されていました.
ブリの街道│29号 魚の漁理:機関誌『水の文化』│ミツカン 水の文化センター
北陸や岐阜・長野(中南信エリア)の正月と言えば塩ブリ,という意識は現代も色濃くあり,もちろん食べられていることは確か.
しかし,私がネット上の記事から想像するには---
富山・岐阜・長野などでも塩ブリにあまりこだわらなくなり,最近では,例えば刺身,照り焼きなどが取って代わられる場合も多い?
(実際,鰤を正月に食べる長野県中部・南部での正月料理として,鰤の照り焼きやゆで鰤に酒粕をかけた料理が紹介されていました)
「年末年始に何食べた?」編集部員宅のハレ食が勢ぞろい!|地域情報|長野県のおいしい食べ方
そして,富山・岐阜・長野以外の塩ブリは,保存・流通技術の発達により,ほぼ駆逐されてしまった?私の検索では,全く記事が見当たりません.
現代の塩ブリ状況の実際は?どなたか教えて下さい.
なお,現在の塩ブリは,保存のためではなく,うまみを引き出すために塩が使われているそうです.
美味しいはずです.
以下,ネット通販の宣伝から.https://www.takayamasatou.com/35_567.html
(とても丁寧に書かれていて,好感が持てましたので引用します.また下の画像は別の業者さんのもの.塩ぶり Archives | カネツル砂子商店カネツル砂子商店 こちらの自家製塩ブリの価格は,それほど高くないようです.)
江戸時代のころから戦前までの冷蔵技術がない時代,ブリを運ぶには塩漬けにする必要がありました.その名残から「塩ブリ」といわれていますが,現代ではブリの旨みを引き出すために塩が使われます.
ブリは鮮度を保つために3枚におろした後,流水にさらし余分な脂や血を抜きます.おろすときにも内臓と身の境にある薄い膜まで丁寧に剥ぎ取ります.血の塊や生臭みを取るためです.この一手間で,食べるときの風味が変わります.
塩加減は職人技,ブリの状態を見ながら加減します.身の厚い部分は多めに,薄い部分は少なめにし,均等に塩が浸透するようにバランスよく振ります.皮の部分も少なめに.皮の部分に塩を多く振ると,焼いた時塩辛さを強く感じるからです.
ブリは一旦冷凍され,店頭に並ぶのを待ちます.
ブリに降った塩は解凍時に浸透するため,おいしい飛騨ぶりを食べているただけるタイミングを見て,解凍し店頭に並びます.
魚独特の臭みはありません.臭みの原因となる部位を取り尽くし,適温(企業秘密)の水にさらすことで血やねっとりとした余分な脂を抜いているからです.
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