昨日に引き続いて,話題は今日も「サンマ」
NHKBSプレミアム9月19日火曜 食材探検 おかわり!にっぽん選「さんま~宮城・気仙沼市~」(昨年10月の再放送)
を手がかりに
昨日は日本料理の村田明彦さんが披露してくれた「忙しい素人」向けの技を幾つか紹介しました.もちろん村田さんの本格的な料理の紹介もありました.
「さんまとまつたけの包み焼き」
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そして,岡崎さんが訪れたのは,三陸のサンマ水揚げの中心地,気仙沼.若手漁師筆頭,さんま船・船長井上太喜さんから教わったことは:
おいしいサンマの見分け方「背が高く,幅が厚いほど脂がのっている」
そして,生でいただく漁師飯「さんまのたたき:一口サイズに切った刺身用さんまに、細切りのたまねぎ、塩を加えて、包丁で細かくたたく」
このとき「包丁で,腹をそぐように割いて,手で,頭を一気に背中までめくると.皮が簡単にむける」
知りませんでした.
そして,地元の主婦グループから教わった「サンマのトマト煮込み」
;オリーブオイルとニンニクで焼いたサンマ(三枚おろし)を,「たまねぎ、マッシュルーム、エリンギ、トマト、オイスターソース、白ワイン、塩、こしょう」で5分ほど煮込んだもの.
レシピ:http://www.nhk.or.jp/program/okawari/archives/20161019.pdf
おいしそうでした.
気仙沼は,東北を代表する漁港.そして宮城県は全国2位のサンマ漁獲量を誇っています.
サンマは広い海域に生育し(下図),回遊しています.
日本は沿岸漁業が中心(下図水色の海域)で,8月に始まり東北・関東の最盛期は10月11月.今が旬---.
サンマの分布域.黄緑とオレンジ色および水色がサンマの分布する海域.オレンジは産卵場、水色は日本漁船の漁場を示す。生物学|全国さんま棒受網漁業協同組合
日本近海のサンマは,黒潮の暖流域で孵化 ⇒北上 ⇒夏季はオホーツク海方面で回遊し成長 ⇒秋に産卵のために寒流(親潮)に乗って太平洋側では東北、関東沖を通過し、近畿・九州沖までに南下 サンマ - Wikipedia
(日本海を回遊しているサンマも,秋に南下してきます:富山でもサンマが獲れる)
2年前からサンマ漁は不漁続きですね.資源が減少しています.現在の資源不足の原因は必ずしもはっきりしていないようですが---
台湾を中心にした大型漁船による公海上での漁獲が行われています.中国も乗り出してくる気配.これが原因で近い将来サンマ資源が永続的に枯渇する可能性が報道されています.
サンマ争奪戦 ~どう守る“日本の秋の味覚”~ - NHK クローズアップ現代+
サンマを食べていたのは日本のみと言ってよかった.学名Cololabis saira には,関西地域での当時の呼び名サイラ(佐伊羅魚)がつけられています.
そんな状況は急速に変化しているようです.サンマ好きには将来が不安.
日本人が欧米より心臓病による死者が少ないのは魚を食べているためとされてきました.その中心選手の一つがサンマ!
(DHAが「頭を良くする」というのは眉唾.視覚維持には役立っているようですが)
ただ,サンマが最も多く含む脂肪酸は,普段余り気にかけていない脂肪酸(ドコセン酸,イコセン酸).これが何の役に立っているかはまだ不明です.
私は,サンマの脂が魚にしてはさっぱりしていて他と違うのは,これらの脂肪酸のためだと思っていますが.オリーブ油が他の植物油と違う口当たりなのが18:1オレイン酸が多いためであるように?
サンマは「ダツ目」の魚.
ダツ目には沢山の種が属するようで.
ダツ目ダツ科ダツ属の魚は英語でneedle fish. ダツ属ダツは日本近海(特に沖縄周辺)にも生息.大きいものでは1メートルにもなり,夜間光に引き寄せられて飛び込んでくるので,沖縄周辺での夜間の漁やダイビング時には注意する必要がある魚とされています.骨が多く食用にはあまりしないそうですが,味は良いとのこと.
沖縄ダイビング|海の危険生物 ダツ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑
食卓に載る魚ではサヨリ,トビウオが.
そして,なじみの魚ではメダカが近縁.
サンマはサンマ科とされていますが,近い将来改められる可能性が大.なぜなら,サンマの最も近縁の魚はダツ科の魚で,これによって包囲されている=その中心に位置すると言って良いことが分かってきていますから.
Phylogeny and Jaw Ontogeny of Beloniform Fishes1 | Integrative and Comparative Biology | Oxford Academic ダツ目 - Wikipedia Actinopterygii - Wikipedia
条鰭綱 - Wikipedia 棘鰭上目 - Wikipedia 真骨類 - Wikipedia Teleost - Wikipedia