唱歌「ふるさと」は日本人に最も好まれる歌の一つではないでしょうか.
NHK「あさイチ presents 熊本の女子高生のお願いに応えてきましたスペシャル」(11月3日夜放映)で取り上げられた熊本県大津町の大津少年少女合唱団.
震災後初めての定期演奏会フィナーレは,来場者も加わった「ふるさと」の全員合唱(あさイチ司会イノッチこと井ノ原快彦さん指揮).目に涙する観客も多く,感動の演奏会となりました.(NHK「あさイチ presents 熊本の女子高生のお願いに応えてきましたスペシャル」:冒頭で見せたイノッチこと井ノ原快彦さんのちょっとした気遣い/優しさ )
定期演奏会で毎年最後の曲として歌われてきただけではなく,熊本地震の後,合唱団が避難所やスーパーをまわり歌う活動をしたとき最も喜ばれた楽曲が「ふるさと」.合唱団としても「特別な思いを込めて歌いたい」曲でした.
ふるさと 作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一
兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川
夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷
如何にいます父母 恙なしや友がき
雨に風につけても 思いいずる故郷
こころざしをはたして いつの日にか帰らん
山はあおき故郷 水は清き故郷
NHKの番組で,イノッチに指揮を教える先生のことば
「歌詞の意味をよく考えて」,
つづけて「『忘れがたき故郷』のところに思いを込めるように」
その通りですね.
でも,他の部分の意味も知っておいた方が良いのでは?
例えば,冒頭の「ウサギ追いし」ってどういう意味?
長い間,私は,全く知りませんでした.考えたこともなく「良い歌だな.日本人の心の歌だな」と----
「多くの人が参加してウサギを追い捕まえるイベントが『ウサギ追い』.かって日本各地の農山村では広く行われていた」
と知ったのは20年ほど前.単に,遊びの中でウサギを追いかけた子供の頃の思い出だけではないんですね.
うさぎ追い えっ、ウサギってまた戻ってくるの? │科学実験データ│科学実験データベース│公益財団法人日本科学協会 に「ウサギ追い」のやり方が解説されています.そのまま引用させてもらいます.
(なお,このサイト:原体験コラムには,すてきなイラストと面白くてためになる記事がたくさん載っています!その他の記事も是非ご覧下さい.コラム一覧│科学実験データベース│公益財団法人日本科学協会 )
童謡「ふるさと」の歌詞に、「うさぎ 追いし かの山・・」というフレーズがあります。
うさぎ追いは現在では見られませんが、うさぎ追いで捕まえるのはノウサギです。
ウサギには縄張りを持つ習性があり、特徴的な跳びはね方や行動をします。この二つの習性を利用してウサギを追い詰めるのがうさぎ追いです。ウサギは、危険な目に合うと途端に逃げますが、やがて元の場所に戻ります。そこがウサギの縄張りです。ウサギは後ろ足で大きくジャンプして逃げ、平地ではあちこち飛び回り捕まえることができません。ただ、傾斜地で追うと必ず上方に向かって逃げます。
そこで、ウサギを追うときには、ウサギの縄張り近くの斜面を利用します。逃げ道を塞ぐ形で一列になって追いかけ、上方の行く手をさらに遮ると、ウサギは仕方なく下方に移動します。けれども、あわてて後ろ足で強く蹴りバランスを崩してしまいます。追い上げたり追い下げたりを繰り返し、疲労でうずくまったウサギを捕まえるのです。
昔はノウサギは山を荒らす害獣とされていたので、子どもたちは喜んでうさぎ追いのお手伝いをしました。
ウサギは可愛いペットとなった今では考えられないことでしょう。
たしかに,現在,ウサギ追いをして捕まえるだけで,どこかからクレームがつきそうな気も---.ましてや,昔のように食べたり毛皮をはいだりは,とてもできない気が.
しかし,
草原の中でウサギを見つけるイベントとして,「ウサギ追い」をしているところがありました!
しかも,冒頭で取り上げた熊本県大津町の近くの阿蘇群産山村.大津少年少女合唱団のメンバーは,「ウサギ追いし」の意味もしっかり理解して歌っていた可能性が高いですね.
http://www.ubuyama-v.jp/files/uploads/2016/01/usagioi19.pdf
なお,この「ウサギ追い」紹介パンフレットには「ウサギのふれあいイベントではございません」との記載があります.ウサギ=ペットと思ってしまう今の子供たちにしっかり配慮していますね.
そして,「ウサギ追いを楽しんだ後は産山のおいしい料理で」とも.
この料理にウサギが入っているのかどうかは?昔は食べたといっても最近は神経を使わざるを得ないところ.しっかり子供たちに説明でき.納得してもらえれば''ジビエ''としてふるまうことも可能でしょうが---.イノシシまではOKでも---.