NHK「あさイチ presents 熊本の女子高生のお願いに応えてきましたスペシャル(放映11月3日23時15分〜23時50)」を見ました.
NHKあさイチに熊本県大津町の合唱団団員西本夏美さんからのリクエストに応えた活動を記録した番組です.
西本夏美さんの手紙「今回の地震で熊本は甚大な被害を受けました.私は大津少年少女合唱団に所属しており,練習も十分にできない時期がありました.そんな中,開かれる定期演奏会.町の人もたくさん来てくれるので,会場を元気づけることを一緒に考えて欲しいです」
これに応えて,あさイチ司会メンバー,有働由美子アナ,イノッチこと井ノ原快彦さん,柳沢秀夫さんが三人で定期演奏会(合唱,ヒーローショー,ミュージカル)のお手伝いをすることに.
大津少年少女合唱団は4歳から高校3年生までのメンバーが所属し,その定期演奏会は町の人が500人も集まる人気イベントでした.
しかし,今年4月14日の熊本地震で大津町も震度6強の揺れで大きな被害を受け,町民の1/3にあたる1万3000人が避難を余儀なくされました.夏美さんたちも合唱団の練習再開までに一ヶ月近くもかかりました.そして迎えた今回の定期演奏会です.
三人は裏方として,全部で11ものリクエスト(ヒーローショーへの出演・照明・ナレーションから椅子運びまで)をこなし,フィナーレ全員合唱の指揮を任されたのはイノッチ.
曲目は,毎年演奏会の最後に歌われる「ふるさと」.今年は特別な思いを込めて歌いたい曲でした.地震の後,避難所やスーパーをまわり歌う活動をしたとき,最も喜ばれたのがこの歌だったからです.
あさイチスタッフと合唱団のメンバー・大津町の方々との交流は心温まるものがあり,その中で,熊本の被災の様子や現状もしっかり描写されている好感の持てる番組でした.中でも,まっすぐな西本夏美さんのキャラクターが番組を引き立てるとともに,大津町の復興への力を感じさせていました.
そしてこの番組のナレーションも担当したイノッチ.三人の司会メンバーの中でも最も大役を任されていましたが,特に彼のさりげない気遣いと優しさが,今回の活動と本番組の内容全体を支えていた気がします.
そこで,イノッチのさりげない気遣い/優しさを垣間見ることができた,冒頭の二つの場面を再現してみます.
場面1:前日,三人の司会メンバーが会場に向かうバスの中.
イノッチ「高校三年生だから最後の高校生活」「僕らが来ることは知っているですかね?」「知らないの?」「誰かは来ると思ってるの?」「三人で行くのは初めてだから」「三人とは言ってねーよ」
(せっかくなので夏美さんを驚かすことに)
撮影スタッフが夏美さんを出迎える場面. 隠れる3人.
(ナレーション by イノッチ「隠れる方も結構どきどきするんですよ」)
夏美さんが会場に向かう.NHKクルーが呼び止めて
スタッフ「あさイチにお願いしたいことを教えて下さい」
(後ろから近づく三人)
夏美さん「熊本地震で----熊本の方々を一緒に元気づけるお手伝いをしてもらいたいです」
(イノッチ,突然夏美さんの前にあらわれて)
イノッチ「はい分かりました」
(夏美さんびっくりし,笑って後ろ向きに)
有働アナ「三人来ました」
夏美さん「三人も来ている!」
イノッチ「三人来るとは思ってなかった?」
有働アナ「今日は」柳沢さん「今日は」夏美さん「今日は」
イノッチ「こっちこっち」
夏美さんを呼んで三人と並ばせると,
夏美さん涙顔に.
今にも泣きだしそう---
イノッチ,それに気づいて
イノッチ「(柳沢さんと)服かぶってるんじゃないですか」
夏美さん,柳沢さん,互いの服を見て
柳沢さん「ほんとだ」
夏美さん笑顔を取り戻して「あははは」
場面2:夏美さんとイノッチ・有働アナ・柳沢さんとの打合せ場面
柳沢さん「(練習を再開するために)最初に皆で集まったときどんな気持ちだった?」
夏美さん(あふれてくる涙をこらえながら)「なんか,当たり前のことができなくって,それでの合唱再開だったので,やっと日常が取り戻せたのかなって.みんな大変な思いしたけど,私たちが歌うことで元気になってくれる人も少なからずいる,と思ったので,そういう人たちのためにも皆で歌って行こうって言って,日常を取り戻そうっていう感じで」
有働アナ・柳沢さんももらい泣き.
柳沢さん「俺も半泣きだ」
イノッチ,後ポケットに手をやって,ハンカチを取り出し,内側になっていた面を表に出して折り直し(:外側だった面は内側になる形)---
気づいた柳沢さん「こっち側を使えっていうこと?」
イノッチ,そっと夏美さんに手渡すと
受け取った夏美さん(元気な声で)「使います」
と言って,涙を拭く.