マヨネーズ1 日本の調味料には外国から入ったものも数多く,完全に定着したものもいくつかあります.マヨネーズものその一つです.世界市場はヘルマンズが圧倒していますが,第4位にキューピーがランクイン.世界も認める味になっています.マヨネーズは,明治時代に使い始められ,洋食屋定番の調味料になり,酢みそに代わる新タイプの和え物のタレとも捉えられました.しかし、製法が難しく,それが家庭に広がるには高いハードルとなっていました.そのハードルを下げたのがキューピー.戦後しばらくして爆発的に売り上げを伸ばします.

日本の伝統的な調味料といえば醤油・味噌ですが,外国から入ってきたものも数多く,日本に完全に定着したものもいくつかあります.マヨネーズものその一つです.

そして,1925年日本ではじめて市販され,戦後のマヨネーズ市場を牽引してきたキューピーは,アメリカにも上陸し,じわりと浸透しつつあります.

https://www.zippia.com/advice/largest-mayonnaise-brands/

現在の世界アメリカのとほぼ同義)のマヨネーズ市場はヘルマンズが圧倒していますが,第4位(上位三社ー二社が合併したので上位二社ともいえますー)にキューピーがランクイン.日本人のマヨネーズ好きとアメリカでの販売もかなり好調?を反映.

美味しさには定評があるようで,例えば第5位としているアメリカ人の方も.

 

9 LARGEST MAYONNAISE BRANDS IN THE WORLD

By Caitlin Mazur  Jun. 29, 2021

https://www.zippia.com/advice/largest-mayonnaise-brands/

1. ヘルマンズ(ユニリーバ) イギリス、ロンドン(1903年,現在ユニリーバが買収)

Annual Revenue年収(2011年) 57兆9,420億ドル 

2.  ハインツ 米国イリノイ州シカゴ(1869年)(2015年、クラフトと合併)

Annual Revenue(2020年):261億2000万ドル

3. クラフト イリノイ州シカゴ (2015年、ハインツと合併)

Annual Revenue(2020年):260億ドル

4.  キューピー 日本, 渋谷区渋谷

Annual Revenue(2017年):45億ドル

5.  スペクトラム 米国ウィスコンシン州マディソン

Annual Revenue(2020年):39億6400万ドル

 

I tried 11 mayonnaises and one was clearly the condiment king

The winning jar embodied the saying "If it ain't broke, don't fix it."

July 12, 2022,  By Joey Skladany

https://www.today.com/food/groceries/best-mayonnaise-rcna37271

11種類のマヨネーズを試してみたところ----

1. ヘルマンズ・リアル・マヨネーズ

2. ハッピーベリー リアルマヨネーズ

3. トレーダージョーズのオーガニック・マヨネーズ

4. クラフト・リアルマヨ

5. キューピーマヨネーズ:正直なところ、キューピーマヨネーズはパイピングバッグのようなパッケージで、使うのがとても楽しい。この調味料を使って、にんにく入りマヨネーズ(アイオリ)やスパイシーマヨネーズを作れば、プラスチックの容器に入ったマヨネーズではなく、まるで自分で卵を泡立てたかのようなグルメな味になる。

 

 

日本のマヨネーズ

最近は,ドレッシングブームの中,マヨネーズが野菜サラダに使われることは減ったかとは思いますが,人気はむしろ上昇しているきらいもあるのではと思います.

コンビニおにぎりの人気トップは長らくツナマヨ

https://receiptreward.jp/solution/ranking/SEJ_onigiri.html

好きなサンドウィッチアンケートでは多くの場合タマゴサンド(マヨネーズで和えてある)が第1位.

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000093294.html#

 

そして,昨日取り上げたポテトサラダにマヨネーズは必須.

おしゃれでヘルシーな感覚からドレッシングを野菜サラダに使う人の中にも,マヨネーズの方が良いと内心思っている方もいるのでは(私もその一人).

 

魚柄仁之助(うおつかじんのすけ)氏は,「舶来調味料御三家」として,ウスターソーズ,カレー,マヨネーズを挙げています.(国民食の履歴書: カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが 青弓社

確かに,どのご家庭のキッチンにも常備されてきた調味料のように思います.

現代では,ウスターソースはとんかつソースや中濃ソース等に,カレーはカレー粉そのものではなくカレールーに,マヨネーズは種々のドレッシングに置き換えられているかもしれませんが----

魚柄氏によれば:

ウスターソースは,醤油の領域に上手く入り込んで和食に溶け込みました」

「カレー粉はその強烈な個性で伝統的な和食を抱き込み,和風カレーというカレーが誕生するぐらい目立っていました」

のに対し,

「マヨネーズは,伝統的な醤油や味噌の領域を侵すでもなく個性を押し出すでもなく,控えめに食をささえるにとどまりながらも,その存在は,多くの日本人の味覚を捉えてきました」としています.

 

国民食の履歴書 : カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが 魚柄仁之助 青弓社」によれば,

マヨネーズは,明治時代に使い始められ,洋食屋の定番の調味料になっていきます.

そして,1908年の「陶の友ー家庭手帳 西洋料理」に精養軒のマヨネーズ製法が書かれました.

その後,上流家庭の婦人向けに「マイナイソーズ」「メヨネエズ」などの名前で製法が紹介され,さらに,大正時代の軍隊調理法にも作り方が取り上げられていたとのこと.大正時代にはすでに日本の代表的な調味料となっていた可能性があります.

「日本人にとって,マヨネーズは,『酢みそ』の酸味を抑えて,甘みやコクを強くした,新しいタイプの和え物のタレでした.洋食屋ではフライ類やサラダ類にかけて食べるものだったはずですが,日本人はこれまで酢みそや酢醤油で食べていたお浸しやなますなどにも使い始めたのでした」(国民食の履歴書)

 

しかし,マヨネーズには大きな問題がありました.卵を使って酢と油を乳化させる製法には高いハードルがありました.油を一滴一滴加えながら,ひたすら泡が立たないようにかき混ぜなければ失敗する.昭和初期から戦後には誰でも作れる「規格外」マヨネーズの製法が盛んに紹介されますが,主な理由は,卵やサラダ油の値段に加え,本格的なマヨネーズを作る製法のハードルを越えるのが難しかったからでしょう.

このようなハードルをなくしたのが,キューピーマヨネーズの販売でした.1925年に売り出した当時は,主に高額のために,ほとんど売れなかったようですが,戦後,卵の値段が下がったことも追い風になって,爆発的に売り上げを伸ばしていきます.