出口戦略で,経済と並んで世界共通の課題になっているのが教育です. オランダ・韓国は,段階的に学校を再開しましたが,根拠としたエビデンスは正反対.オランダ「子どもは感染を広げず,家族間でも親が子どもにうつすケースが大半」 / 韓国「子どもが出すウイルスでまわりの人を感染させる力は,大人と余り変わらない」(「子どもたちがコロナウイルスを広げるかどうかははっきりしていない」が,現時点での科学的な結論)NHKBS1 新型コロナウイルス 出口戦略は(5)

新型コロナウイルス 出口戦略は(5)

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NHKBS1

5月10日(日) 午後9:00~午後10:00

5月16日(土) 午前10:00~午前11:10

 

 

合原アナウンサー「出口戦略で,経済と並んで世界共通の課題になっているのが,教育です」

 

オランダ 

(要約)

先月末,18歳以下のスポーツ活動を一ヶ月半ぶりに解禁.

5月11日から保育園と小学校を再開予定(放送時点).中学校も6月に再開できるように準備.

根拠としたエビデンス

35000人を対象としたPCR検査と感染者の追跡データからの暫定結果

;年齢別感染者数とうつした相手の年齢をプロット.うつした相手の人数を可視化したところ年齢層によって大きく異なることが分かった.

例 

50代後半感染者;10代〜80代まで幅広く感染を広げていた.中でも同年代に最も多くうつしていた.

10歳未満の感染者;うつした人数は数名.

10代感染者:他の世代に比べて,うつした人数は少ない.

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公衆衛生環境国立研究所所長「子どもは感染を広げず,家族間でも親が子どもにうつすケースが大半でした.現時点では,学校を再開させても問題ないと提言します」

この調査結果などを踏まえて,学校の再開を決めたオランダ.

試験的に登校が行われるなど,着々と準備が進められています.大人は引き続き在宅勤務を求められていますが,子供たちは,徐々に日常を取り戻しつつあります.

「友達とは,ネットでしか話していなかったから,会えるのが楽しみ.とにかく学校にまた行けるのが嬉しいよ」

小児科医で感染症に詳しいブラウニング博士は,政府の判断は合理的だとはしつつも,学校再開後は,生徒や教師の感染状況を注意深く見ていくべきだといいます.

「このウイルスについては,まだ,確実には言えないことばかりです.現在の知見が実際の学校で通用するか,注視するべきです.再び感染拡大が起きれば,また,子ども同士の接触を減らすような制限が必要になるかもしれません」

 

 

韓国

(要約)

5月4日 段階的に学校再開を進めていく計画を発表.学年別に徐々に再開.

5月13日;高3. 20日;高2,中3,小1・2,幼稚園. 27日;高1,中2,小3・4. 6月1日;中1,小5・6

 

基本の考え方はオランダと大きく異なる.

 “子どもが出すウイルスで,まわりの人を感染させる力は,大人と余り変わらない.軽症/症状なしが多いため,感染を広がる恐れが大”

子どもも周囲に感染させる恐れが大きいとして慎重に準備.

;体温チェック,机を距離をとって配置,給食は仕切りを立てて摂る.等々.

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子どもはコロナウイルスの感染を広げるか?

以下,参考になる文献です.専門的な内容を含みますが,読もうと思えば読める英文です.

ざっと読んだ限りですが---

上記のオランダと韓国における学校再開において重視されたエビデンス

 

▽子供たちがウイルスを広げる可能性は,成人に比べて非常に小さい.

▽感染した子供たちは,成人感染者と同程度のレベルのコロナウイルス保有している

 

が共に含まれ,「子どもたちがコロナウイルスを広げるかどうかははっきりしていない」が,現時点での結論になっているようです.

 

文献例1

https://www.nature.com/articles/d41586-020-01354-0 

How do children spread the coronavirus? The science still isn’t clear

Schools are beginning to reopen — but scientists are still trying to understand what the deal is with kids and COVID-19.

Nature 

NEWS 07 May 2020

 

 

文献例2

https://www.ed.ac.uk/files/atoms/files/uncover_001-03_summary_-_children_transmission_of_sars-cov-2.pdf 

What is the evidence for transmission of COVID-19 by children [or in schools]?

Usher Network for Covid-19 Wvidence Reviews

6 May 2020 Version:001-03

Summary:

Conclusions: There is very limited evidence of paediatric (=pediatric) cases as a source of infection, which highlights the importance of obtaining robust data on this. Preliminary results from large targeted, population and school studies show that children (especially younger children) are less likely to be infected or infect others, but other studies show a similar viral load in children as in adults. Also, faecal-oral transmission appears to be risk of transmission by infected children, given the observed faecal shedding time, which may have substantial implications for community spread in day-carecentres, schools, and homes.