西日本豪雨 死者211人 安否不明20人 広島県では呉市で23人,広島市で18人,坂町で16人---計101人.岡山県では,倉敷市が最も多く52人で,このうち51人が真備町---計61人.愛媛県---,京都府---.死者不明者は全15府県に./ 時代の風 豪雨当日の宴会や死刑「実況」 今やるべきはそれか? 中島京子・作家 毎日新聞 

西日本豪雨

 

NHK 西日本豪雨 各地の状況ライブ

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180716/k10011535501000.html

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www3.nhk.or.jp西日本豪雨 死者211人 安否不明20人

2018年7月16日 21時33分

NHKが各地の警察や消防を取材してまとめたところ,今回の記録的な豪雨で,これまでに広島,岡山,愛媛を中心に,211人が死亡し,20人の安否が不明となっています。

死者211人

広島県では呉市で23人,広島市で18人,坂町で16人,東広島市で12人,熊野町で11人,三原市で8人,竹原市で4人,福山市で2人,尾道市で2人,府中市で2人,安芸高田市で2人,海田町で1人が死亡していて,今回の記録的な豪雨で広島県内で死亡した人は合わせて101人に上っています。

岡山県では,倉敷市が最も多く52人で,このうち51人が広範囲が浸水した真備町です。さらに,総社市で4人,笠岡市で3人,井原市で2人の合わせて61人が死亡しました。

愛媛県では,宇和島市で11人,西予市で5人,大洲市で4人,松山市で4人,今治市で2人の,合わせて26人が死亡しました。

京都府では,綾部市で3人,舞鶴市で1人,亀岡市で1人の合わせて5人,

山口県では岩国市で2人,周南市で1人の合わせて3人,

福岡県では北九州市で2人,筑紫野市で1人の合わせて3人,

高知県では大月町で2人,香南市で1人の合わせて3人,

兵庫県では,宍粟市で1人,猪名川町で1人の合わせて2人,

鹿児島県では鹿児島市で2人,

佐賀県では佐賀市で1人,伊万里市で1人の合わせて2人,

岐阜県では関市で1人,

滋賀県では高島市で1人,

宮崎県では小林市で1人が死亡しました。

安否不明20人

安否が不明になっている人は広島県で13人,岡山県で3人,愛媛県で2人,奈良県で1人,大阪府で1人となっています.

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時代の風

豪雨当日の宴会や死刑「実況」 今やるべきはそれか?

中島京子・作家

毎日新聞2018年7月15日 東京朝刊

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 5日に始まった豪雨の被害は,雨のおさまった現在も,土砂崩れや流木によって水かさが増した河川の氾濫などの2次災害が続いている.死者,安否不明者は200人を超えた.

 大雨特別警報が11府県にもわたって発表されたのは,かつてないことだという.

 

 各地を襲う水害の様子は7年前の東日本大震災津波を想起させ,いつまでも収束しない災害が不安をかきたてるこの感覚も,あの落ち着かない日々を思い出させる.

 

 断水の続く広島県尾道には,昔書いていた連載小説の取材で何度も行ったことがあり,大好きな店もある.榎川が氾濫した府中町は,デビュー作を出したばかりのころに,文化講演会に呼んでくれた.私がそうして思い浮かべるのはほんの一握りの人々だが,23府県で避難指示対象,避難勧告対象はなんと860万人を超えたという.

 

 地震津波,台風,豪雨,豪雪,火山の噴火等々,この国は1年に何度も自然災害に見舞われるのに,そのたびに2桁,3桁の死者を出す.「無策」という言葉が頭をよぎる.

 

 5日の午後2時,気象庁は東京と大阪で異例の記者会見を行って,「記録的な大雨のおそれ」を訴えた.日本の誇る気象観測は,連日降り続く豪雨を予測し,緊張感を持って警戒を促したのだ.気象庁の方々は,いまとてもつらい思いをされているのではないだろうか.その知見と情報は,もっと有効に生かされるべきだった.

 

 政府による災害対策本部の立ち上がりが遅かったことを指摘する声は多い.その通りだと思う.

気象庁が台風でも地震でも大雪でもなく,大雨で記者会見を開くのは,例のないことだったそうだ.その時点で,迫り来る危機を察して対策本部が始動し,国民に呼びかけて情報を行きわたらせていれば,失われなかった命もあるはずだと,この国の中枢にいる人たちはせめて,自分の行動を悔いているだろうか.

 

 5日夜,すでに死者が出始めた.この夜の自民党幹部らが出席した「赤坂自民亭」というふざけた名前の宴会にも,多くの人が憤慨している.

 

 私が,さらにいわく言い難い不気味さをもって記憶するのは,翌6日のことだ.

豪雨はすでに西日本全域で猛威をふるっていた.

 

 けれど,この日の朝,オウム真理教松本智津夫麻原彰晃)死刑囚の刑執行があって,朝からテレビはその話題で持ちきりだった.

私はこの日,京都に出張の予定で,豪雨で新幹線が止まるのか,果たして京都に行けるのか,仕事仲間とやり取りするのに忙しかった.そして,東京駅まで出かけて行って,運休にぶつかったりしていたので,7人のオウム真理教元幹部の死刑執行の「実況」なるものをテレビで見ていない.ある情報番組に至っては,死刑が執行されるたびに,その死刑囚の顔写真に「執行」というマークを貼っていったそうで,あまりの醜悪さに眩暈(めまい)がしてくる.この国はいつから死刑を実況中継するようになったのか.

 

 そのころ,西日本では人々が濁流に呑(の)まれ,家を失い,車を流されていた.どう考えても,おかしいだろう.

「死刑のショー化」じたい絶望的にグロテスクだが,それよりなにより,テレビには伝えるべき情報があったんじゃないのか.ヘリコプターを飛ばすこともできるメディアには,被害を少なくするために,あるいは被災地の支援のために,流せる情報があったのではないか.

 

 避難所の光景はいつしか見慣れたもので,だだっ広い体育館に子どももお年寄りも着の身着のままで,炊き出しを待っている.この暑いのにクーラーもない.自然災害はいつでもどこにでも来ておかしくないのがこの国なのだから,避難所はもっと過ごしやすい場所になっていていいはずだ.

 

 災害時に人命を守る情報システムを構築し,被災者が不快でなく過ごせる避難環境を常備するのにいくらかかるのか.オスプレイ1機買うよりずっと安いのではないかと思う.

 

 この期に及んで,誰も望まない「カジノ」法案を審議というのも,どうかしている.

私たちはみな,出来の悪いディストピアSFみたいな現実を生きている.