ママゴト 最終回「正しいママゴトの終わり方」NHKBSプレミアムドラマ |
映子「行くぜ,ぜんまい」舞善「どこへだ」映子「決まっとろうが,滋ちゃんつれもどしによ.それでママゴトは終わりにするんよ」
映子(安藤サクラ)は行方をくらました親友・滋子(臼田あさ美)を探しに滋子の恋人・舞善(古舘寛治)とともに出かける。
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映子の回想 15年前
映子「うち,ベットで寝るんが夢だったんよ うわー 布団ってきもちいな」滋子「布団で寝るのが夢じゃったんね?」 映子「うふふふふ,うちなずっと台所で寝とっちゃけ」---「おじちゃんが台所で寝ーって」滋子「あんたもきつい目に遭うたんじゃな」-----滋子「うちの実家におるんはうちと関係ないおっさんとおばはんじゃけ,どっちの名字もいらんの」「結婚したら旦那さんの名字もらうじゃが」映子「ははは,おとめじゃな」滋子「ちょっと一服させてもらうわ」 映子「遊園地近いんじゃね」滋子「小ちゃい頃,一回だけ行ったことあるわ」「楽しかったでー.遊園地は夢の国なんじゃって.家族なんか皆嫌いだったけど,夢の国におるときはそんなことも忘れて一杯遊んだけーな」映子「いいなー,行ってみたいな−」
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遊園地ミラクルビレッジについた映子と舞善
映子「広いから手分けして」---映子「いったいどこへ行ったんよー 滋ちゃん」(迷子センターを見つけて)「これじゃ!」
迷子のおしらせ場内放送「---5歳の男の子 大慈君がお母さんを捜しています.----」 滋子(放送を聞いてかけつけて)「大慈が来とるか」映子「大慈は知り合いの家におる」滋子「だましたんね」映子「大慈が滋ちゃんを捜しとるのはほんまよ.大慈が待っとる.帰ろ滋ちゃん」滋子「どこに帰れっていうんじゃ.うちに帰るとこなんかないんよ」映子「滋ちゃん,滋ちゃーん.帰らなきゃいけーん.そうじゃないとほんとに帰ってこれんようになるよ」(滋子逃げるようにかけ出す) -----
滋子「あんた,心の中でうちをばかにしとるんじゃろ」映子「あー,あーしとるわ.何が帰るとこがないじゃ.大慈の帰るとこは滋ちゃんしかないんで」滋子「うちじゃ帰るとこになれんのよ.子供さえおれば強うなれるってあんなの嘘よ.毎日こわーて不安じゃけど,そんなの言うたらいけんのよ.大慈をあんたんとこ置いてって,つらーて胸がつぶれそうじゃったけど,これで楽になったって思うてしもうた.うちは子供を捨ててしまうような母親なんよ.そんなに欲しいなら大慈をあんたにあげるわ」映子「じゃーもらうわ 大慈はもう絶対返さんけな」(映子立ち去ろうとする)
滋子「いやじゃ いやじゃ」(映子戻ってきて横の石段にすわる)-----
滋子「そうよ.一番嫌いな友達じゃ」映子「なんでそうなってしもたんよ」滋子「もう,どーもならんのよ.------ だけど幸せになろう思うて,必死になるほどダメになるんよ.舞善さんのとこでうちの夢全部かなうはずだったんに,全部仕返しできるはずだったんに」映子「大慈がおるだけで仕返しはもう終わっとるじゃろ」滋子「一番大事な大事な大慈も大事にできんかったんよ.あの子わかっとるんよ.うちがダメな母親じゃってわかっとるんよ」映子「滋ちゃんの言う幸せって何?」滋子「うちは家族が欲しいんじゃ.」
(そこへ舞善がかけつけてきて)舞善「滋子--」舞善「絶対に許さんからな」滋子「舞善さん」舞善「もうこれで最後にしたい.だから正直な気持ちを言う.勝手に家を出るな.出て行けと言っても出ていくな.私は一度全てを失ってる.正しいやり方で正しい家庭を築いてきたと思っていた.そのやさきに,妻は死んで光は歩けなくなった.正しいと思っていたことは全て間違いだった.私はもう自信がないんだ.」滋子「舞善さん」舞善「私についてきて欲しい,でも私のすることが間違いだと思ったら,君が訂正して欲しい.私を訂正できるのは滋子だけなんだ.ちゃんと家族になって欲しい.結婚しよう.」滋子(泣きながら)「遅いよ,どーしてくれるの,ずーと待っとたのに」(滋子,舞善の胸に飛び込み,首に手を巻き付けてさらに泣く)映子(離れて見守りながら)「滋ちゃんが待っとたのは,ぜんまいだったんじゃな」
「ママゴト」その17 正しいママゴトの終わり方 | ママゴト | ドラマスタッフブログ|NHKドラマ
映子「うちらいつおとなになったんじゃろな」滋子「今おとなになったんよ-- うちらなー.北海道に行くんじゃって----だから当分映子には会えん」映子「あー そうなん.---うちな,滋ちゃんに言いそびれていたことがあるんよ.死んでしまったうちの子な,ちゃんと名前つけとったんよ.なんでじゃろな,一度も呼んであげられなかったけど,今なら呼んであげられそうな気がする.ありがとな,滋ちゃん.大慈うちに預けてくれて」
大慈たちが北海道に旅発つ日
大慈(車の中で)「おばちゃんは?どうするの?」大慈(車から降りて)「おばちゃんもいっしょにいこ.じゃないとおばちゃん一人になってしまうけ」映子「おばちゃんは行けんのんよ」大慈「なんで」映子「昔な,近所の子らがようママゴトしおってな.お母さんや子供になりきって 石や草でごはんつくって.みんなほんまのつもりでやっとんじゃけど,ほんまのお母さんが迎えに来たらそこでママゴトは終わりなんよ.カラスが鳴くからかーえろ,ってな.みんなおうちにかえっていくんよ.それがただしいママゴトのおわりかたじゃわ」
大慈「でもまたおばちゃんにあえる?」映子(だきしめて)「いつでも会いにきてな,大慈.よしほれ.もう行き.パパもママもお兄ちゃんも,みんなが大慈を待っとるで」(みつめあい 映子ドアを閉める)(車が発進,映子笑いかけながら,少し追いかけながら,手を振る)映子(はじめ笑顔で)「大慈」
大慈(泣きながら)「おばちゃーん」映子(笑顔で手を振り続ける映子.だんだん顔が崩れ,手が止まり,振っていた手を頭に置いて)(涙を流しながら)「大慈」
墓に花を生ける映子
映子(手を合わせ)「ごめんな,今頃になってやっと来て.忘れたわけじゃないけーな.もっと,もっと思い出してあげなーいけんことが沢山あったん.もーつらさだけでいっぱいになっとって.つらーて,苦しゅうて,泣いてばっかりで,あんたとの思い出に全部ふたしてしもうとった.名前すら呼んであげられんかったなー.でもなー,でも,大慈が全部思い出させてくれたんよ.いらう喜びも,別れる悲しみも.じゃけ,じゃけ,うちもちゃんと赤ちゃんとお別れせないかんと思うてね」
(回想 赤ちゃんを抱いた映子)「決めたけん.あんたの名前.かわゆーて大事な名前思いついたけ.あんたはきっと,あんたはその名前の通りに育つんよ あんたの名前は--」
墓の前の映子「あんたの名前はひかり,ひかり.一度も呼んであげられんでごめんなー.ほんと短い間にしてしもうたけど,けど,おかあちゃん,ひかりが生まれたときどんなに幸せじゃったか.さみしーんよ,ひかり.あんたがおらんでな.おかあちゃん,もうもうどうしようもなくさみしーんよ.でもがんばるけ.おかあちゃん頑張って生きるけ.ひかりのこと思い出しながら,なんとか,なんとかやっていくけ.お母ちゃんのことも,みんなのことも,そこからよく見とってやってーな」
(夕焼けをバックに回る観覧車)(カラスの鳴き声)
北海道の農園 舞善「うるさい」滋子「はーっ?うちだって,光の母親じゃけーな」 アペンタエの家 アペンタエ(手紙に)「なんかあったらすぐ私に電話するんよ.渡る世間は鬼ばっかりじゃけーね」光(学校で)(手紙に)「ありがとう.アペンタエさんこそ,困ったときにはぼくに連絡して下さい.あっ,それからお母さんが説得してくれて先週から小学校に通っています.---」 公園で 橘の娘「パパちゃん 久しぶり」橘「あーははっは はるちゃん」 アムール(カウンターには常連三人組) 映子「えーんよ,もうさみしくなんかないんよ.あんなガキおらんなってせいせいしたけ」---客「今日のカープはどうなったのかの」(テレビをつける)テレビのレポーター「チャントメイト研究所所長の舞善さんです.よろしくお願いします.」舞善「----食育というものを考え直すいい機会になってくれれば」-----レポーター「チャントメイトの野菜は美味しい?」大慈「おいしい」「緑黄色野菜が足りとらんおばちゃんみたいな人が食べるとええんよ」レポーター「おばちゃん?」大慈「おばちゃんいうんはな.夜の女で皆からママって呼ばれとるん」レポーター「ママ?えーとそれは---」
大慈「そーなんよ,おばちゃんはぼくのもう一人のママなんよ」
(ナビゲーター前奏) 客「ふー」「大慈君よういうた」「うれしいねーええ子やな」映子「ちゃかさんといて」客「しかし,また太ったんじゃないか,大慈君」
涙にけむる星影は 遠い空からのメッセージ 誰かがそこに置いたのか 初めにそこにあったのか 四月の花は桜色 未来の誰かにプレゼント 季節にもえる花言葉 妖精達の合言葉 ビリー ビリー ナビゲーターは魂だ 生きている事の証明に 私の涙をビンにつめ 宇宙のどこかに置きましょう 結んでほどくメッセージ
最終回「正しいママゴトの終わり方」 BSプレミアム:2016年10月18日(火)よる11時15分から11時44分 再放送:BSプレミアム 10月24日(月)よる11時45分