ハコベはナデシコ目の“食べられる植物”(ハコベあれこれ3) ハコベはナデシコ目,ナデシコ科,ハコベ属 Stellaria.ナデシコ科で食べられているのはハコベぐらいですが,ナデシコ目まで広げると,なんと沢山の食用植物が!ハコベはその中に入ると,食べられるといって大きな顔はできません.付録:ハコベの和名と学名について

ハコベあれこれ

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3.ハコベナデシコ目の“食べられる植物” 

ナデシコ科で食べられているのはハコベぐらい?

日本でハコベと呼ばれている植物は

 コハコベ Stellaria media (L.) Villars

 ミドリハコベ Stellaria neglecta Weihe

 ウシハコベ Stellaria aquatica (L.) Scop. 

 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/01/04/164136

**ハコベの和名と学名について:京都大学の三浦令一氏の博士論文にまとめられていたものを.最下段に載せておきます.興味のある方はどうぞご覧下さい)

 

この三種はナデシコナデシコハコベ属に分類されています.(ウシハコベはウシハコベ属とされている場合もあるようです)

 ナデシコ目 Caryophyllales

 ナデシコ科 Caryophyllaceae

 ハコベ属 Stellaria

 

ハコベナデシコ科に分類?

「なでしこ」と聞いたときのイメージとは,あまり合わない気がしますが-----

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ナデシコ科の他の属としては,何と言ってもナデシコ属 Dianthus .

とても愛されている花が沢山含まれています.最近はダイアンサスというこの属名で,種々の園芸種ナデシコが販売されていますね.もちろん.カワラナデシコもこの属.そして,カーネーションも.

 

その他,ムギセンノウ属 Agrostemma - ムギセンノウなど,カスミソウ属 Gypsophila - カスミソウ、 ドウカンソウ属 Vaccaria - ドウカンソウなど,美しい花々がナデシコ科の属として分類されています.

 

他に,

ミミナグサ属 Cerastium - ミミナグサ、オランダミミナグサなど,センノウ属 Lychnis - センノウ、オグラセンノウ、センジュガンピ、フシグロセンノウなど,ツメクサ属 Sagina - ツメクサ、ハマツメクサなど,オオツメクサ属 Spergula - オオツメクサなど

ナデシコ科 - Wikipedia

 

ハコベは日本では平安時代以前から食べられ,また世界でも広く食べられていますが,

yachikusakusaki.hatenablog.com

ナデシコ科で食べられている植物はハコベぐらい?

 

ナデシコ目には食用植物が沢山あります

しかし,ナデシコ目まで広げると,なんと沢山の食用植物が!

ハコベはその中に入ると,食べられるといってあまり大きな顔はできません.雑草扱いなのも仕方がありませんね.

 

スベリヒユ科 スベリヒユスベリヒユ

ハゼラン科 ハゼランハゼラン

ツルムラサキ科 ツルムラサキツルムラサキ

ハマミズナ科 ツルナ属 ツルナ

 

ヒユ科 ホウレンソウ属 ホウレンソウ, アカザ属 アカザ,キノア, フダンソウ属 テンサイ,ビーツ,フダンソウ(スイスチャード), ヒユ属(“アマランサス”)  ヒユ(観葉:ハゲイトウ),種々の栽培種アマランサス(ニューアステカ等)

タデ科 ソバ属 ソバ, イタドリ属 イタドリ, ギシギシ属 スイバ, ダイオウ属 ダイオウ,ルバーブ イヌタデ属 ヤナギダテ

 

ただ,注意すべきはヤマゴボウヨウシュヤマゴボウアメリヤマゴボウ).毒性成分が含まれていて,食べられません!

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/02/10/034134

 

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ウィキペディア等より

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ハコベの和名と学名について

ハコベとミドリハコベの比較生態学的研究 三浦励ー 2001 より

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/78124/1/D_Miura_Reiichi.pdf

本研究でとりあげるハコベ類には学名にも和名にも混乱がみられるので,既存の分類学的文献を調査し,以下のように整理した.

1 )欧州においてはStellaria media (L.) Vill. (2n=40,44) , S. neglecta Weihe (2n=22, 44およびS. pallida (Dumourt.) Pire (2n=22)の3種が一般にはそれぞれ種として扱われているが,2n=44の染色体数をもつものはS.mediaおよび、S. neglectaの間で形質が連続し,全体としてcomplexをなすことが認められている.

2) S. tellaria media (L.) Cyr.という学名が広く用いられたことがあったが,これはS. mediaとS. negllectaを混同したものと考えられ,文献に現れている場合には注意が必要である.

3)無花弁の種をS. pallidaとS. media var. apetaZaに分けたFlora Europaeaの扱いはその後の研究からは支持されず,染色体数が2n=22である限り,前者に含めてよいと考えられる.

4) S. mediaおよびS. negllectaをさす和名には図鑑等においても不一致があるが,それぞれコハコベ,ミドリハコベが最も適当である.

5)コハコベ帰化植物とされているが,そのように扱う根拠が見あたらないので,当面,帰化植物のリストから外すべきである.

6)イヌコハコベと名づけられていた帰化種はS. pallidaにあたることがわかった.