旧優生保護法(1948~96年)下での障害者への不妊手術問題で、東京都に住む聴覚障害者の宍戸和美さん(81)が1日記者会見し,50年以上前に事情も分からないまま仙台市で手術を強制されたと手話を通じて証言した. 東京新聞 2018年6月2日(土曜日) 

聴覚障害男性訴え 「何も言われず手術」

強制不妊 実名公表し会見

東京新聞 2018年(平成30年)6月2日(土曜日)

 

 旧優生保護法(1948~96年)下での障害者への不妊手術問題で、東京都に住む聴覚障害者の宍戸和美さん(81)が1日記者会見し,50年以上前に事情も分からないまま仙台市で手術を強制されたと手話を通じて証言した.

聴覚障害者が実名を公表して被害を訴えるのは異例.宍戸さんは「国に謝ってほしい。補償してほしいとの気持ちはある」と訴えた.東京都聴覚障害者連盟(渋谷区)で記者会見に応じた.

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 出身は宮城県丸森町.生まれつき耳が聞こえず,仙台市の県立ろう学校に通っていた.1954年,父親と教師に病院に連れて行かれた.

「何も言われず、何をされたか分からなかった」と話す.

下腹部の痛みが治まるまで約一週間,学校の寮で過ごした.

後日,先輩同士の手紙を見て自分が何をされたのか臼薄く付いたという.

 

 卒業後の六一年に上京し,五年後に同じ学校の女性と結婚.交際中に「子どもができないかもしれない」と打ち明けた.それでも妻が二〇一六年十月に七十八歳で亡くなるまで旅行を楽しむなど仲むつまじい日々を送った.

 

 全日本ろうあ連盟(東京)は,三月末,聴覚障害者の不妊手術の実態調査を開始.宍戸さんは連盟発行の新聞でこの問題を知り,「自分と同じだ」との思いを強めた.

聴覚障害者連盟は七十代以上の会員約百二十人に調査を呼び掛けるファックスを送信.「結婚するために健康診断」「盲腸の手術」などだまして手術を受けさせられた例を示した絵も描かれており,宍戸さんもこのファックスを受け取って名乗り出た.

 

 都の連盟によると,手術を受けたと証言したのは宍戸さんのみ.他に四人が面会に応じ親戚の被害などを話している.