ヤーコンを購入しました.初めてです.
見た目は,芋.
親切な生産者さんが,食べ方をラベルに記載していました.
「切ったら水にさらして,さっとゆでる.
サラダ,和え物,炒め物や,きんぴら,天ぷらにもよい」
調理法は,ジャガイモ,サツマイモなどの芋とずいぶん違いますね.
果たして何者?と調べてみると:
(今日は結果のみ簡潔に.明日できたらもう少し詳しい解説付きで)
▽成分
調理法がここまで違うのは,成分が異なることが予想されますが---
日本調理学会誌の研究論文
「未利用野菜ヤーコンの成分と特徴(著者 奈良井(金山)朝子 麻生慶一)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/45/4/45_313/_pdf
に次のように記載されていました.
・「生のヤーコンイモは大変ジューシーで,これは 90%近い水分含量に起因する.」
・「乾物(水以外の成分)の約 80%を糖質が占め,他にタンパク質,ミネラル,ビタミン類が微量ずつ含まれている」
・「糖質はデンプンを殆ど含まず,フルクトース,グルコース,スクロース,そして重合度 3~10,平均重合度 4.3 のフルクトオリゴ糖(FOS: fructooligosaccharide)で構成されている」
研究論文なので,やや難しい言葉が並んでいますが---
まず注目すべきは
“デンプンを殆ど含まず”という点.
一般のいも類とは全く違う.調理法の違い;長時間の加熱料理を必要としないのはこのためですね.
そして,
代わりに,
フルクトース=フラクトース=果糖,
スクロース=しょ糖(いわゆる“砂糖”),そして,
ブドウ糖に果糖が2〜9個つながった(結果としてブドウ糖+果糖が3〜10個つながった)“フルクトオリゴ糖(=フラクトオリゴ糖)”
が含まれている.
これなら,ほぼ生の状態でも食べられそう.
▽植物分類
一般のいも類とは,全く異なる植物.
キク目 Asterales,キク科 Asteraceae,キク亜科 Asteroideae,メナモミ連 Millerieae,スマランサス属 Smallanthus,ヤーコン S. sonchifolius
キク科で,特にひまわりに近い属の植物のようです.
ということは,あのキクイモとも近縁.
「ただし,キクイモがイヌリン(フルクトオリゴ糖より果糖が沢山つながった“多糖”)を含むのに対し,こちらは果糖の数がずっと少ないフルクトオリゴ糖が主成分」と初稿で書きましたが,これは,間違い.
⇒訂正:2018/12/07
1.
グルコース(ブドウ糖)一分子にフルクトース(果糖)が2つ以上付いていれば「イヌリン」と呼ばれるようです.そして,イヌリンのうち,フルクトースの数が短いものをフルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)と呼ぶ,といっていいようです.
フルクトオリゴ糖は,フルクトースが10個程度以下の場合を指している事が多く,どれぐらいの長さ以下との定義はないようです.ただし,「フルクトース3つまでをフルクトオリゴ糖と呼ぶ」と定義している文献が一例みつかりました. https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/44/6/44_6_291/_pdf#page=1&zoom=auto,-15,714
2.
キクイモにもフルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は,かなりの量含まれているとのこと.
例えば,下記の文献では,新鮮な根100グラム中に11グラム(乾燥した根100グラム中55グラム!).平均重合度は3.9.