www4.nhk.or.jp番組紹介「相模原の施設で、障害者19人が殺害された事件から4か月。花を手向けに訪れる人が絶えない。容疑者の「障害者はいなくなればいい」という言葉に憤り、苦悩する人々を追う
「障害者はいなくなればいい」-相模原の障害者施設で19人を殺害した容疑者が放った言葉は社会を揺さぶった。現場に花を手向けに訪れた人々の中には、追悼と憤りの言葉とともに、複雑な思いを吐露する人もいる。障害のある息子を愛せず、手にかけようとしたことがあるという母親。容疑者の言葉で、心の奥底の闇に気づいたという障害者施設で働く女性。事件と私たちは地続きなのではないか。苦悩し、乗り越えようとする人々を追う。
見形信子さん
19人が殺害された今回の事件,犠牲者は匿名とされどのような人だったのか,明らかになっていません.事件現場に手向けられた花束とともに一編の詩が添えられていました.
「僕らの足跡消さないでよ」
この詩を書いたのは障害のある女性でした.
見形さん「こんにちは」スタッフ「よろしくお願いします」見形さん「よろしくおねがいします」
見形信子さん(47),筋力が徐々に低下する,難病と闘っています.
「殺された人は確かに19人かもしれないですけれど,その人が本当は一人一人の名前があって,人生があって,家族があって,仲間がいて,いろんな人とつながって生きてきた.そこがかき消されて」
見形さんは19人の犠牲者が,匿名のまま,ひとくくりにされた現実に憤りを感じています.それはかつて施設で暮らしていた頃のつらい記憶があるからです.
「自分ていうものが,あんまり出せない,ほんと名前がないというか,ま−,私の知り合いの仲間が,『私たちって回遊魚なんだよね』って,水槽が施設だとしたら,そこに私たちはいて,ずっと同じルーティンワークっていうか,を,させられていうっていうか,そこで生かされているだけにすぎないのかなって」
見形さんは28歳の時に施設を出て以来,障害がない人と変わらない生活をすることにこだわってきました.サポートを受けながら一人で暮らしています.
(ショッピングする見形さん 人形を見て)「かわいいね」「かわいいですね」
(事務所の写真)仕事はNPOの事務局長.自分と同じように,施設を出たいと思う障害者に住宅や就職の支援をしています.
(電話する見形さん)「----よろしくお願いします」
匿名の犠牲者が,かっての自分と重なったという見形さん.19人への思いを,詩に込めました.
「とにかく,思いだけバーって書いて,私が感じた思いを歌にしたかったっていうか」
そのメッセージを社会に届けようとしています.
(埼玉川越.路上ライブ,ポスター:「障害者はなくなればいい」存在ではない!!)
(歌)「19の軌跡」
僕らはちゃんと生きてきたよ
ちゃんと夢だって見ていたよ
風や空や海だって感じることができたのに
僕らをどうして不幸せと、勝手に決めるのか?
僕らの軌跡(あしあと)消さないでよ 19のかがやき
19の強さ みつめてよ
僕らのそばにはやまゆりが
いつもそよそよ揺れていたよ
気高さあらわす花のように僕らの誇りもそこにある
僕らの人生(いのち)はかけがえないと、みんな気付いてよ
僕らの軌跡(あしあと)消さないでよ 19の気高さ
19の強さ 讃(たた)えてよ
僕らはきっと礎(いしずえ)になる こんな過ち 繰り返さないで
怒りも くやしさ 悲しみも ぼくらが残した軌跡(あしあと)だから
僕らがなんにもできないなんて なんで決めるのさ?
僕らの軌跡(あしあと)消さないでよ 19の心
19の強さ 感じて
いつまでも決して消えることない 僕らの軌跡(あしあと)
19の軌跡(きせき) 忘れちゃいけない
「有り難うございました,19の軌跡,聞いていただきました」
(拍手)
追加 NHKニュースウォッチ9 2016年8月26日(金)より 見形さんの言葉
障害者殺傷事件 献花する人たちの思い - NHK 特集ダイジェスト
「障害者」とひとくくりにされ、人格や個性が尊重されていないと感じてきました.
見形信子さん
「私自身が匿名の自分だった。患者とか施設入所者というくくりで生かされていたので。」
「容疑者の背景はいっぱい伝えているが、殺された人たちへの注目が少なくて、19人の命が忘れ去られているというか隠されている、名前が出ない。障害に関係なく、普通は(名前が)出てくるはずと思っていたが、そこがないということで、障害者の命ってそんなものなのか。」
東京新聞 2016年8月23日 夕刊
19人 夢見て生きてきた 相模原殺傷事件 さいたまの車いす女性が歌 より