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春の花スミレ 万葉の世では,むしろ食用の野草として大切にされていた. すみれ(菫)/ 万葉集 はるののに,すみれつみにと,こしわれそ,のをなつかしみ,ひとよねにける 山部赤人

今日は暖かいとの予報.春が待ち遠しいですね.

春の代表的な野の花,といえば,すみれ.

世界に400〜450種,日本には50〜60種が自生しているそうです.

日本産スミレ属の一覧 - Wikipedia http://benesse.jp/kyouiku/201503/20150309-6.html 

以前は植物にほとんど関心がなかった私.学生時代,友人に連れられて山歩きしたときに何回か見つけたのですが,それほど心躍らせた思い出にはなっていません.

ガーデンづくりのための開墾?をしていたとき,たまたま紛れ込んだ野草としてのスミレ.この時は何とか育てようとしたのですが,いつの間にか見えなくなってとてもガッカリしました.

でも,最近では,スミレは園芸店の山野草コーナーにもかなり沢山並んでします.

以下の写真は園芸店でも見られるスミレ.

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スミレとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 すみれ Viola mandshurica タチツボスミレとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版

 

わが庭にもマルバスミレともう一種(名前が不明)買い求めてあるのですが---.

野で出会えばとっても嬉しいし,愛おしいのに----.庭で育てているとついついほったらかし

園芸種の華やかさに目がうばわれて----.

我が家の庭のビオラです.

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でも,愛らしさでは,やはり野のスミレが上かもしれませんね.

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神代植物公園 専門講座 けなげに生きる東京のスミレ|東京都 エイザンスミレとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 http://benesse.jp/kyouiku/201503/20150309-6.html

 

野に咲くスミレも,園芸種のパンジー/ビオラも同じ,スミレ科 Violaceae,スミレ属 Viola.

園芸種は,科と属の間に「節」を設けて分ける提案もされているようですが.

日本ではビオラとパンジーは,はっきり区別して売られていますが,種としては同じとみなされています.

スイスのアルプスに多いビオラ・カルカラータとビオラ・トリカラーという野生種を交配して作られた園芸花で,17世紀にはもう花園を彩っていたんだとか.

http://benesse.jp/kyouiku/201503/20150309-6.html https://en.wikipedia.org/wiki/Pansy

そして,ビオラ Violaは,本来,スミレ属をさしている言葉.

園芸種は沢山ありすぎて一体いくつあるのかわかりませんが,種の名前は,Viola × wittrockiana と表すそうです.以前使われていた  V. tricolor. var. hortensis の方がまだ広く使われているようですが.https://en.wikipedia.org/wiki/Pansy

tricolor ですから,三色スミレという訳になりますね.

スミレについてはベネッセのサイトに以下のような記述も.

「スミレは食用や薬用としても用いられます。

山菜として、花の二杯酢、葉の和え物、浸し物、煮物、天ぷら、スミレ飯などがあります。ただ、ニオイスミレの種と根には毒が含まれていて、非常に危険なので、食べるときは花と葉だけにしておきましょう。

 薬用としては、血圧を下げる作用のあるルチンが含まれているため、お茶にして飲む民間療法が伝わっています。また、新鮮な葉をよくもんで傷口や腫れものに貼ると、解毒や腫れをとる効果もあります」http://benesse.jp/kyouiku/201503/20150309-6.html

万葉の世では,スミレは花より食用の野草として大切だった!

 

 山田卓三先生の「万葉植物つれづれ(大悠社)」によると

万葉時代に,スミレは早春の野の味として摘まれていたようです.

タンポポレンゲソウなどとともに春の野草とみなす現在とは,思い入れ(:スミレを摘むことに対する)が違っていたのかもしれません.

スミレの花は早春に咲きますが,あまり結実しません.よく結実するのは,春から夏にかけて,閉鎖花をつけるようになってからです.閉鎖花はつぼみのうちに自家受粉して結実する花です.すみれの名は大工道具の「墨入れ」の形に由来するとされています.またツボスミレは,花の形が壺形なので,「壺」という説と,生えている場所から庭の「坪」からきているという意見とがあります.

 

菫(すみれ) / 万葉集

はるののに,すみれつみにと,こしわれそ,のをなつかしみ,ひとよねにける

春の野に,すみれ摘みにと,来し(こし)われそ,野を懐かしみ,一夜(ひとよ)寝にける 山部赤人 (第八巻 1424)

春の野に,すみれ摘みにと,来しわれそ,野を懐かしみ,一夜寝にける

 

斎藤茂吉 万葉秀歌

山部赤人の歌で,

春の原にすみれを摘みにきた自分は,その野を懐かしく思って一夜寝た(宿た),というのである

全体がむつかしくない,赤人的な晴朗な調べの歌であるが,すみれ咲く野に対するひとつの係恋といったような情緒を感じさせる歌である.すなわち,ごく広義の恋愛情調であるから,説く人によっては,恋人のことを歌ったのではないかと詮議するのであるが,そこまでいわぬ方がかえっていい.また,略解は,「すみれつむは衣摺む(すらむ)料なるべし」とあるが,これも主要な目的ではないであろう.本来すみれを摘むというのは,可憐な花を愛するためでなく,その他の若草と共に食用として摘んだものである(和名鈔にすみれ菜の記述).しかし,ここは,直ぐ食用にしている野菜としてのすみれを連想せずに,第一には可憐なすみれの花の咲きつづく野を連想すべきであり.また,ここに恋人などとの関係があるにしても,それは奥に潜める方が,鑑賞の常道のようである.

この歌で「われそ」と強めていっても,赤人の歌だから余り目立たず,「野をなつかしみ」といっても,あまり強く響かず,従って感情を強いられるような点も少ないのだが,そのうちには少し甘くて物足りぬということが含まっているのである.赤人の歌には「潟をなみ」「野をなつかしみ」というような一種の手法傾向があるが,それが清潔な声調で総合せられている点は,人の許す万葉第一流歌人の一人ということになるのであろうか.しかし,この歌は,富士山の歌ほど優れたものではない.(以下略)

 

▽楽しい万葉集  たのしい万葉集(1424): 春の野にすみれ摘みにと

春の野にすみれを摘もうと思ってやってきたのに、懐かしくて一晩寝てしまいました。