「アララ.私,花売りむすめしていた頃.思い出すと,---苦しいの」「聞いてくれる?」「生きるために私は,私は---.私が売ったのは花じゃない」「きら子.つらい過去は忘れて,生まれ変わればいい.私は生まれ変わってジルバになった」「ママは悪くない!ママは何も悪くない」「アララ」「だから,苦しまないで.苦しまないで下さい」『その女、ジルバ』第9話

『その女、ジルバ』毎週土曜よる11:40~オトナの土ドラ

第9話.過去を告白するくじらママ(草笛光子).一人芝居のように演じきる草笛光子の圧巻の演技.受け止めるアララ(池端千鶴)は,途中一瞬ジルバ(池端千鶴二役)に入れ替わり---.一瞬で役どころを変えて演じる池端千鶴の変身ぶりに脱帽.

 

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2021年1月9日〜 #池脇千鶴 主演『その女、ジルバ』放送中

 

@StrapNemoto

くじらママの過去

今作では原作のように深くは描けない。2~3話分はあるから…

掘り下げたい方は是非原作を読んで頂きたい!

原作最高なので。

でもこのドラマだから出来る表現を精一杯やってみた。

草笛さんと色々話して出した答えを是非ご覧ください!

#その女ジルバ

 

@tokaitv_dodra

9話は、くじらママ/久慈きら子(#草笛光子)の過去が明らかになります

どういう演出でこれを説明するんだろう?と

楽しみにしていました

「うわ!こう来たか!この舞台、地上波放送で見られるんだ!なんてありがたい!」

と涙したことを報告しておきます。

 

 第9話 告白を聞く覚悟

https://www.youtube.com/watch?v=37YDcODna6Q

スミレ(江口のりこ)の結婚パーティの夜、突然きら子(くじらママ 草笛光子)が倒れ、「OLD JACK&ROSE」は騒然。検査の結果、ただの飲みすぎだとわかり胸をなでおろす新(池脇千鶴)たちだったが、腰を強く打っていたため、念のため店の2階にあるジルバの部屋で養生、新がしばらく看病することになる。

そんな中、翌日からなぜかエリー(中田喜子)、ナマコ(久本雅美)、ひなぎく(草村礼子)が相次いで体の不調を訴え、店を休むことに。このままでは、新と幸吉(品川徹)の2人だけで店を開けざるをえない…そんなピンチの中、颯爽と現れたのは、あの人物だった!

一方、新以外誰も見舞いにやってこない状況に少しすね気味のきら子だったが、部屋に顔を出した幸吉にポツリと告げる。

「思い出すわね…ジルバの最期」

きら子の過去、ジルバとの絆…「OLD JACK&ROSE」の語られざる物語が明らかになる第9話.

 

 

----前略

くじらママ(心の声)[花売り娘.昭和21年.敗戦の翌年.私は15歳になった.父は,まだ戦地から帰らず,私は飢えていた.口に入れるものが,もう,何もない.心も体も空っぽで,たった一人,あのボロボロの小屋で]

アララ「ママ,失礼します」

「あっ,どうぞ」

「お昼お持ちしました」

「ありがとう.まっ,きれいなお花ね」

「くじらママには,バラが似合うかなと思って.あとで,さっきのお花も飾りますね」

「わ〜,ごめんなさいね.せっかくのお休みだっていうのに,気にしないで下さい.私,会津の祖母が倒れたとき,東京にいて何もしてあげられなかったんです.子どもの頃からずっとかわいがってもらっていたのに.ふ〜.それが心残りで.だから---」

「いやね.アララのおばあちゃまと,私が同じぐらいの年だなんて」

「あっ,いや,そういう意味じゃなくって.う〜ん.うちのおばあちゃんなんて,ママみたいにオシャレでおステキでもないし,ただの田舎の-----」

(コップにさしたバラを見つめるくじらママ)

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https://www.youtube.com/watch?v=37YDcODna6Q

 

「ママ?」

「うん?ああ----.アララ.私,花売りむすめしていた頃.思い出すと,---苦しいの」

「花売り娘?」

「やだ.なぜ,私こんなことを.あらら.聞いてくれる?急にあなたに話したくなったの.話したいの」

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https://www.youtube.com/watch?v=37YDcODna6Q

(心の声)[話すことで,もう,解き放たれたいんだ]

「ジルバやコウちゃんたちとこの店を始めるずっと前.終戦間もない頃,私は花を売ってたの」

「花?」

「その日も,ひとりぼっちのさみしい夜だった.真夜中に雨が降り出し,やがて嵐に.突然バラック小屋の戸が開いて,私,とっさに思った.ああ,やっとお父さんが帰ってきてくれた.待ち続けたお父さんが.(『おとうさん?』)でも,それは待ち焦がれていたお父さんではなく,その界隈を荒らしていたやくざ者.(『(悲鳴)』)」

 

「生きるために私は,私は---.私が売ったのは花じゃない.この体.あれは地獄.地獄ね.ある日,気づいたの.ここから,逃げ出さなければ.私はこのまま殺される.人間扱いされず,ぼろ切れのようになって,体も心もむしばまれて.捨てられて.そんな暮らしは.そんな,けだもののような扱いは----.地獄からはい出すために,私は逃げた.ある晩,男たちのうちに火をつけて裸足で走ったの.助けてくれたのはジルバ」

(映像 近づくジルバ:池端千鶴二役)

くじらママ「生まれ変わろうって.二人で」

ジルバ「きら子.つらい過去は忘れて,生まれ変わればいい.私は生まれ変わってジルバになった」

(きら子を抱きしめるジルバ.抱きあう二人)

 

(見つめ合うアララとくじらママ)

「ジルバは何も聞かなかった.私の身に何があったのか?私がどうやって生きてきたのか?

長いこと一緒に暮らしたのに,一度も.私も話さなかった,誰にも.ジルバにも.コウちゃんにも.亡くなった夫にも.もちろん息子にも.これは懺悔かしらね.だって私今まで周りのみんなをだまして--」

「ママは悪くない!ママは何も悪くない」

「アララ」

「ママは悪くない」

「アララ」

「悪くないです」

「ううん」

「だから,苦しまないで.苦しまないで下さい」

「ありがとう.アララ」

「ママは悪くない.一つも」

「ありがとう.ありがとう,アララ.---私,70年間,誰かにそういって欲しかったのかもしれない.ああ〜」

(アララを抱きしめるくじらママ)

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https://www.youtube.com/watch?v=37YDcODna6Q

「ありがとう.アララ」

 

 

(一人,カーペットに座るアララの後ろ姿)

アララ(心の声)[言葉が見つからない.この10年,古里の待ちで沢山の痛手を見てきた.

傷が大きいほど,人は自分を責め続ける.そして,打ち明け話をした後,また,その傷が蘇り,つらくなる.

ママは,もしかしたら,過去を知った私を疎ましく思うかもしれない.

それでもいい.覚悟しよう.告白を聞くというのは,そういうことなんだ]

 

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バーのフロアを清掃するアララ.マスターとチーママはカウンターで.

足音.

くじらママ「あら.ごきげんよう

アララ「ママ!」

マスター「おう,キラ」

チーママ「あらまあ.くじらママの復活ね」

くじらママ「ほっといたら,誰かさんにこの店のっとられちゃうもの

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