新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議が3月19日、新たな提言を取りまとめ公表しました.
「感染拡大地域では自粛検討を」専門家会議が提言【全文】|特設サイト 新型コロナウイルス|NHK NEWS WEB
一昨日より,その後の記者会見の内容を,整理して掲載してきました.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/03/20/234724 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/03/21/161541
昨日の続きを以下に掲載します.
なお,記者会見の様子はNHKでライブ配信され,TBSニュースとして現在もYouTubeで見ることができます.
https://www.youtube.com/watch?v=fsp9KdQ_588
記者会見まとめ(3)
学校の休校について
・その位置づけと休校解除について
尾身氏「学校閉鎖については,これはもともと,なかなか,インフルエンザと違って,インフルエンザの場合は学校閉鎖が効くとわかってたんで,ここについては,なかなか,いわゆるエビデンスがないので,われわれとしてもはっきり言えないというのが実情です.
しかし,そういう中でも,三つの地域に分けた.その一番軽い方では,普通にやったらどうでしょうか,ということです.
一番厳しい方,これは,今のところ,はっきりと,学校閉鎖が感染防止に効くかどうかはわからないんですけども,子どもにも感染する可能性がある,そういう中では,感染の程度が高い地域では,学校閉鎖も一つのオプションにはなり得るんだろう,まあ,そういう考えです」
https://www.youtube.com/watch?v=fsp9KdQ_588
西浦氏「学校閉鎖に関しては科学的にわからないという話はお話ししたとおりです.今の時点では学校閉鎖はよしとでるのか,ほとんど意味がないと出るのかに関しては,科学的な知見が無いので,何とも申し上げられない」
西浦氏「学校閉鎖に関しては,サイエンティフィックに申し上げますと,文章にも書きましたけども,有効かどうかに関して,科学的に一定の結論が出ていません.
なので,真摯にこの問題に向き合う上では,効いているかどうかはわかりません.
ですので,今,海外も含めて,エビデンスを収集しているところで,また,わかり次第にトレースをしていかなくてはいけないと考えています」
西浦氏「現時点では,科学的にわかるという状態にはない,ということなので,すぐに学校をオープンしていいかどうか判断に関しては,待って頂かないと,なんとも見解がわからないという」
https://www.youtube.com/watch?v=fsp9KdQ_588
尾身氏「それは,前から言ってますようにね,今回の場合は,インフルエンザとかの場合と違って,学童が,感染のいわゆる牽引というか,driving force(原動力)になってるかどうかわからない,今のところ,多分そうじゃない,児童にも感染はするけど,児童を通して感染が広がっていることは,今のところなさそうだ,というのが我々の理解ですね」
尾身氏「(学校休校の効果については)サイエンティフィックなエビデンスはありません.
しかし,何らかの判断をしないと皆さん困りますよね.我々だって100%のエビデンスがあるわけじゃないですけど,今までの経験,感染症対策の常識,うにゅうにゅうにゅうにゅを考えると,ま〜ここは,そういうことでいいんじゃないでしょうか.
一番レベルが高いところは,北海道はそうしたわけですよね,それが,北海道の感染レベルがこうなった(さがってきた)のに,効いたかどうかはわかりません.だけど,判断としてはそういう状況でやる(休校する)のは,そんなに場違いなことではないんじゃない,そういう判断です,それ以上でも以下でもない」
・感染が確認されてない地域では,2月の27日の段階で一律休校しなくても,大丈夫だった?
尾身氏「それはね,われわれは,皆さん知ってるように,私どもは,それは議論しませんでしたけど,それは,政府の一つの,この,我々が24日に,この部屋でやったと思いますけど,今が瀬戸際だと言うことを踏まえて,政府の危機感でこうしようという,政府の強い危機感の現れだと私は思ってます」
長期戦の覚悟について
尾身氏「長期戦の方はですね.このウィルスはしたたかなウイルスで,不確定な要素がいっぱいあるわけですね.
一番最後に長期戦覚悟という話があるけれど,このしたたかなウイルスと戦う決意と覚悟を示したところで,長期戦がいつまでかという質問には誰も答えられないですね.
はっきり言って.我々の覚悟を示したもの.それについてはメンバーの意見は,皆一緒の意見です」
政府がどう考えるかは考えない/市民に受け入れられるかは考える
尾身氏「政府がどう考えるかは考えません.
いろんな人が何を考えているか,社会でアクセプトされるかどうか,理解されて共感を得て,じゃあわかったと言っていただけるかどうか,これも重要なファクターなんですね.
サイエンスのファクターも重要だけど,メッセージが世の中に受け入れられて,一緒にやってみようということが,一般の我々市民に受け入れられるかどうかということは皆考えました.だけど,政府がどう思うかは,我々の視野には(ない).我々の目的ではないので.これが日本の社会にどういうふうにインパクトを与えるか,社会の人がどう受けてくれるかについては当然考えました」
医療体制の充実について
尾身氏「患者さんが増えることは間違いない.重症者が増えること,残念ながら増えるでしょうね.
感染を完全にストップすることは,もう,不可能ですので,どれだけ重症化を防ぐか,ひいては死亡を防ぐか.これは皆一致しているところです.
(そのためには)一つだけやってもダメで,パッケージでやらないと.
今の医療体制が十分かどうかと言えば,課題があって,感染症指定病院だけでは無理なのはわかっていますから,早い内に一般病院でも,それぞれ役割を決めて---このことはすでに地方自治体で議論が進められていることですね.これを更に加速して---
オーバーシュートすれば母集団が増えますから,クラスター対策もしなくてはならないし,日本人全体の行動変容を求めなくてはならない.
それぞれが,もうワンステップいかなくてはいけないと思っています」
「今後,軽症例は一般医療機関へとか,役割分担していかなくてはいけないだろう」
より強い社会的隔離(social distancing)と”日本モデル”
西浦氏「アメリカの例をお話し頂きましたけど,今,バーが閉鎖されたり,私たち研究者レベルでも,研究所に行っている,大学に行っているという人がまだいるっていうのは,アジアの極東の日本とか韓国だけではないかと思います.アメリカでは,皆さん研究所にさえ行っていないぐらい,通常営業が止まっているんですね.
そんなぐらい,social distancing社会的隔離を強く打つべきなのかどうか,という話なんですけど,私たちはそう考えてはいません.
接触をなくすことで,二次感染が減るんですけど,それと同時に,皆さん日本でやって来たことですけど,この一二週間がクリティカルであるというお話をして,一定の協力をしてもらって,皆さん,バーに行くのを控えていたり,あるいは,無駄な接触をしない,であったり,フィットネスジムでは二次感染が連発したので,そこが一定期間閉鎖されていたり,一定の協力をしてもらいました.
問題であるのは,これから皆さんと話し合いたいと思っているのは,例えば,全てのバーが閉鎖されるようなアメリカのような状況が,長期間,持続可能かどうか.っていうことです.
恐らくそうじゃないと思います.
経済的インパクトが余りにも大きすぎて,そのような行動の自粛っていう範囲よりも,より強固な制限というものは長く続けることができません.
ただ,流行はパンデミックを起こしているので,一定の期間,長く行動が変わらないと,流行が拡大してしまうっていうのは事実です.
今,私たちがなんとかして日本モデルで活路を見出そうと思っているのは,社会経済機能をなんとかして維持できる形で,皆さんの行動の無駄な部分をできる限り省いて,そのしわ寄せを受ける社会的弱者を助けながら何とか持続可能な道を探れないかということを,科学者がより合ってクラスター対策班っていうのを組織して必死に模索しています.おそらく,そこにoptimalオプティマルな答えがあると信じて,まだ見ているんですけど,大変厳しい状況とは思っているんですけど,
長期間持続可能なオプションというのを今,必死に考えていますし,それは,国民の皆さんが簡単に譲歩できるものではないかもしれないというのも事実であるので,その辺は,皆さんで合意するプロセスというものを専門家としても作っていかないといけないと思っています」