接種が進むにつれて,ファイザー,モデルナなどの製造会社の名前,さらにはmRNAワクチンといった製品の特性を示す言葉も少しずつ浸透してきているような気がしています. とはいっても,なかなか実際に接種されているワクチンの中身についてのイメージは持ちにくいものですね. mRNA-Covidワクチンの内部について,少し専門的な視点からの解説が,科学誌Nature誌上にあったので,お借りして掲載しておきます. "Inside an mRNA covid vaccine" Nature

日本でもワクチン接種が順調に進み,11月には希望者全員の接種が完了すると言われています.

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接種が進むにつれて,ファイザー,モデルナなどの製造会社の名前,さらにはmRNAワクチンといった日本で接種されている製品の特性を示す言葉も少しずつ浸透してきているような気がしています.

 

とはいっても,実際に接種されているワクチンの中身についてのイメージは,なかなか持ちにくいものですね.

様々な解説がネット上で見られるので,今更とは思いましたが,少し専門的な視点からの解説が,科学誌Nature誌上にあったので,お借りして掲載しておきます.

 

ファイザーやモデルナのワクチンのキーワードは,何と言っても体の中で,新型コロナウイルスの「スパイクタンパク質」を作り出すように設計された,しかも,ウリジン(U)ヌクレオチドをプソイドウリジン(Ψ)に置き換え,接種時のワクチンに対する免疫反応(拒絶/炎症反応)を最小限にするように設計されたmRNAということになります.

しかし,ワクチンは,mRNAだけを接種しているわけではありません.体の中に入って血液循環を経て様々な細胞の中に入って行くための乗り物が必要で,そのために使われているのが,脂質ナノ粒子.

mRNAワクチンが短時間で開発できたのは,この脂質ナノ粒子の研究が進んでいてすぐ使える状態になっていたため.

また下記のNatureの図の解説にはありませんが,新型コロナウイルスが単離され,非常に短時間でその遺伝情報が明らかにされ,さらに「スパイクたんぱく質」の部分がどのRNA配列に相当するかもすぐに分かったというヌクレオチド分析の脅威的な速度での進展.これも,このmRNAワクチン開発に大いに寄与しています.

 

以下,Natureの記事をお借りしてDeepL翻訳で.

 

 

 

www.nature.com

https://www.nature.com/articles/d41586-021-02483-w?utm_source=Nature+Briefing&utm_campaign=41794890cb-briefing-dy-20210914&utm_medium=email&utm_term=0_c9dfd39373-41794890cb-46287342

Inside an mRNA covid vaccine

mRNA-Covidワクチンの内部

メッセンジャーRNAから作られたCovid-19ワクチンは,脂質のナノ粒子(脂肪の泡)を使って分子を細胞内に運びます.mRNAには,コロナウイルスSARS-CoV-2が細胞内に侵入する際に使用する「スパイク」タンパク質を細胞が生成するためのコードが含まれています.

これらのワクチンを設計する上で,重要な革新的技術がありました.

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Moderna社とPfizer-BioNTech社のワクチンは,ウリジン(U)ヌクレオチドをプソイドウリジン(Ψ)に置き換えるように化学修飾されたmRNAを使用しています.この変更により,導入されたmRNAに免疫系が反応しなくなると考えられています.

また,その後の(=ワクチン接種後の)SARS-CoV-2感染に対して体が効果的な免疫反応を起こせるように,mRNAの配列は,スパイクタンパク質がヒトの細胞と融合するときの形状に安定化するように変更されています.

 

mRNAの周りにある脂肪のナノ粒子は,4種類の脂質分子でできています.これらのうちの1つは「イオン化可能」です.ワクチンでは,これらの分子の多くは正の電荷を持ち,負の電荷を持つmRNAにまとわりついていますが,血流のよりアルカリ性の条件ではその変化が失われ,体内での毒性が軽減されるといいます.