#あちこちのすずさん 戦争中の青春をアニメで!千原ジュニア&八乙女&伊野尾 (2)
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https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0812/ori_200812_4678626963.html
2020年8月13日(木) 午後10:00~午後11:13(73分)
【ゲスト】千原ジュニア,片渕須直,八乙女光,伊野尾慧,【出演】さだまさし,のん,【キャスター】近江友里恵,【朗読】細谷佳正,尾身美詞
https://mainichikirei.jp/article/20200812dog00m100002000c.html?photo=002
ヘビとお弁当 #あちこちのすずさん 戦争中の青春をアニメで!NHK (1)
「次のエピソード,まいりましょう」
大学生のお孫さんが,おじいさんから聞いた,ちょっと変わった事件.
大学一年生の鈴木皓佑(こうすけ)さん.
最近,祖父から「戦争の話を聞かせてやろう」と言われているそうですが,
「自分から,わざわざ戦争のことについて教えてと聞くのは,ちょっと重いというか,自分の中でハードルが高いので---」
しかし,この日ついに直接聞くことに.
「失礼します」「よく来たね」
戦争中の歴史を研究している祖父の葛城峻(かつらぎしゅん)さん(89)です.
「あちこちのすずさん」を見て,戦争の悲惨さばかりでなく,笑える話も伝えたくなったと言います.
峻さんが中学生の時の,父親との忘れられない思い出を話してくれました.
◆証拠隠滅
「おい,兵隊送りに行ってくるわ」
「父さん,酒が飲めるね」
「バカヤロー!」
兵隊送り.戦地に行く兵隊さんを送り出す送別会です.
「このたびは,おめでとうございます」
出征する若者の家に,ご近所の人たちが招かれます.なかなか酒が手に入らなかった当時,兵隊送りは,みんなで酒が飲める貴重な機会でした.
しかし,別れを悲しむそぶりは見せられません.非国民だと通報される恐れがあったからです.
「兵隊送りの酒なんて,うまくないわ!」
帰って来た親父は,よくこうぼやいていました.
戦争前は,世界を股にかけた船乗りだった親父.チーズとかソーセージだとか,珍しいお土産をよくくれました.
広い世界をじかに見てきたからなのか,この戦争には勝てないと見抜いているようでした.
親父は時折,取り締まりをかいくぐって,貴重な米をリュックいっぱい持ち帰ってきました.実は,その米を発酵させて,禁じられていた密造酒,どぶろくを作っていたのです.
事件が起きたのは,昭和20年の春.
敵機が襲来.一家で防空壕に逃げ込んだその時,戦闘機が放った弾が我が家の屋根を貫いたのです.
幸い大きな被害ではなさそうでしたが,いつもは冷静な親父が,いきなり取り乱しました.
実は親父は,弾が直弾した押し入れの中に,どぶろくを隠していたのです.
どぶろくは奇跡的に無事でした.しかし,衝撃で蓋がずれ,周囲にものすごい酒の匂いをまき散らしていました.
「空襲で被害が出たら,警察が来るかもしれん.酒があることがバレたら捕まっちまう」
そこで親父は思いも寄らない行動に出ました.
「ちょっと何してんの!?」
「ボ〜ッとしてんじゃねえ!お前らも飲むんだ」
証拠隠滅です.私まで飲むはめに.
心配して駆けつけたご近所にも,誰彼かまわず酒を振る舞いました.
みんな空腹な所に,普段は我慢していた酒を,一気に流し込んで,あっという間にカメは空に.
「えいやー」
飲み干した瓶を庭にだし,ウチワを持ち出して匂いを消そうとしました.
ご近所がこんなことで本気で団結するとは----.
そうこうすているうちに,全員が酔っ払ってしまいました.
「B29なんて怖くない」「♪あの顔で--」
戦争の鬱屈を吹き飛ばす,不思議な連帯感が夜空に漂い,駆けつけたお巡りさんも,空襲をものともしない我々の姿に,感心していました.
それはそれは美味しいお酒でした.
皓佑さん「はははは」
峻さん「もう時効だよね.まあ,どぶろくなんて原価を考えれば安いものだけども,天下一うまい酒の味がするわけ」
皓佑さん「一つの命令で日本人が一気にズバッと同じ意識をもって,同じことをするイメージがあったので.戦争中は特に.その中で自由に---」
峻さん「面白くない世の中だから,なるべくおもしろいように生きた方がいいよ.それが健康のもとだよね」
皓佑さん「飲んだことがないのでわからないですけど」
ジュニア「すごいね〜」
リモート観客の声「ダメなことってしたくなっちゃうから,きっとすごく美味しいお酒だったよね」(21歳)
ジュニア「空腹で,更に酔いも早いでしょうし」
片渕「そうなんでしょうね」
ジュニア「あと,いろいろ抑えつけられてるものが発散して」
リモート観客の声「飲まなきゃ忘れられない事もあったかも.空襲で亡くなった人のことを悼む気持ちとか」(23歳)
ジュニア「だから,もしかしたら,警察も分かって見過ごしてるみたいなことがあったかもですね」
近江アナ「あ〜.ちょっと大目に見てやろうみたいな」
ジュニア「そんだけ,みんなで酔っ払ってたらね」
リモート観客の声「戦争の話を聞くこと自体ダメだと思ってたけど,そうでもないのかもなぁ」「自分のおじいちゃんがこんなことを言っていたら驚く」「コロナを経験していたので自粛生活の話に共感した」「いろんな制限の中で感情までも制限されてるなんてつらかったろうな」
ジュニア「でも,やっぱり,もちろんですけど,『この度はおめでとうございます』なんですね」
片渕「そうなんですね.兵隊に行く人,そうなんですよね.『おめでとうございます』って言わないといけないわけなんですよね」
リモート観客の声「『おめでとうございます』と言うのは,計り知れない悲しさがあったでしょうね」(17歳)
片渕「本当の気持ちみたいなのを覆い隠して生きてるわけですよね」
リモート観客の声「きっと多くの人たちが,異論秋持ちを隠していたんだぁ」(18歳)
片渕「でも覆い隠されても,本当の気持ちがなくなっていったわけではないというのが,今のどぶろくのエピソードで,すごくよく分かったような気がしますね」
リモート観客の声「コロナの影響で沖縄へ修学旅行に行けてない.戦争体験された方のお話し,聞きたかった」
リモート観客の声「自分の気持ちを素直に表現することも許されないなんて考えられない」(16歳)
伊野尾「コロナの今の状況と,ちょっと似てるな〜なんて意見も,多くてですね.いろいろ我慢しなくちゃいけない状況が似ているのかななんていいうご意見は沢山頂いてますね」
ジュニア「そうですね.置かれている状況もそうですし,まわりの中には,今でいう自粛警察みたいな方なんかがおられるのと同じで,非国民警察みたいな方もいたりして,トラブったりもしたでしょうね.多分」
片渕「戦争中は,だから,それが本当に大変だったろうと思いますね.
戦争っていうものを推進する意識をすごく沢山持ってらっしゃる方が,そういうのをちょっとでも見たら大変ですよね.だから,きっとそういう方がいないところで,どぶろく飲んでたんだろうなって想像ついてしまうわけなんですけど」
POINT:「ぜいたくは敵だ」という風潮の中で,他人の言動を厳しくチェックする人たちがいた.