4月4日のブログ.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/04/001000
引用・掲載した日本経済新聞の記事 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/
は誤解を生む記事のように思います.
「早急に自粛より強い外出制限をする必要がある」は「ヨーロッパなみ」を意味しません.
記事中の掲載図は東京の状況とは別のシミュレーション.
クラスター対策室のツイッターで,西浦教授自身がこのグラフの説明をしています.
https://twitter.com/ClusterJapan/status/1246314012389675009
新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) | Twitter
そのまま掲載し,内容を拡大解釈したことを反省しています.
(結果には変わりありませんが)
yachikusakusaki.hatenablog.com
日経に掲載の図
これは:
基本再生算数(免疫が全くない集団で,一人の感染者が生み出す感染者数の平均人数)が2.5=ドイツなみの感染状況の時のシミュレーション.
東京ではありません.日経のウェブサイトの記事に挿入されれば東京と思い込んでしまいます.
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/
図のタイトルがいけません.
西浦教授の説明している図のタイトルは
「感染者数が増え,選択的に接触の場を絶つことが出来ない場合」
「接触8割減なら感染爆発を抑制」は,図のタイトルになっていません.何の図か説明しないで結果のみを記した悪い例にあたります.
そして,日経の記事のタイトル「欧米に近い外出規制を」も問題あり.
日本の外出規制(これから行われようとしているものも含めて)と欧米で行われている外出規制はかなり違います.
この図で言いたいこと:「Social distancing」(社会的隔離)のみで,基本再生算数(免疫が全くない集団で,一人の感染者が生み出す感染者数の平均人数)が2.5の時には,80%の接触減が必要ということ.
⇒「三密」を全て絶てば,80%の接触減は必ずしも絶対必要条件とはならないということ.
同じツイッターの中で,押谷教授は以下のように述べています.
新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) | Twitter
東北大学の押谷です.
-----
現在の東京の状況は低いレベルに設定されている人工呼吸器などの集中治療の限界を超える危険性が目前に迫っているということ.
この限界を超えるとこれまで日本の進んだ医療レベルであれば救えたはずの命が救えなくなります.
(しかし)集中治療の限界を超えることとアメリカやヨーロッパで見られている医療全体の崩壊とは非常に大きな隔たりがあります.日本の状況はまだそのようなレベルでは全くありません.
-----中略
感染者の急増が一定の段階を超えると,感染者が指数関数的に増えていくというのがこのウイルスの特徴です.そうなると都市封鎖をして自宅待機を徹底するしか感染拡大を止めるすべはなくなります.
しかし,現在の日本の状況はそのような状況ではありません.
-----中略
いわゆる「3密」の環境にあるホットスポットに行きさえしなければ,東京や大阪で普通の生活をしていて感染するリスクは非常に低いのが現在の状況です.
緊急事態宣言が出ても山手線は通常通り運行されますし,どうしても必要な職種の方は時差通勤などの工夫をした上で通勤していただくことになります.
----後略