「東京五輪予定通りの開催の断念に到ったきっかけは?」「水面下で動き出したのは,今月の12日からだったんです.きっかけは二つ. 一つは,トランプ大統領の発言.もう一つは,ギリシャの聖火の採火式.予定通り開催と考えていました日本政府にとっては,これ(トランプ発言は),当初,驚きだったんですけど,ここにアメリカの本音が実はあって,注目すべきではないかと」「何故,一年程度?」「何といっても,12日のトランプ大統領の発言」NHK国際報道2020

東京五輪“1年程度延期”

NHKBS1 国際報道2020 2020年3月27日

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国際報道2020[番組紹介] |NHK BS1 ワールドウオッチング

池端キャスター「日本の外交ここに注目 岩田解説委員です」

岩田明子解説委員「よろしくお願いします」

酒井美帆キャスター「今回は,オリンピックの延期に到った内幕を掘りさげます.

新型コロナウィルスの世界的な感染感染拡大を受けて,IOC国際オリンピック委員会は,24日,バッハ会長と安倍総理大臣とで合意した,東京オリンピックパラリンピックの一年程度の延期を承認しました.

これまで安倍総理は,今月6日の国会答弁などで,延期や中止を前提とした影響などについての検討は行っていないと発言していました」

 

池端「岩田さん,今,あったように,安倍総理大臣は,予定通りの開催の趣旨の発言を繰り返していました.開催国のトップとしては理解できるんですけど,それが一転して一年程度の延期となりました.

予定通りの開催の断念に到ったきっかけはあったんですかね

岩田「水面下で動き出したのは,今月の12日からだったんです.きっかけは二つの出来事があったんです.

一つは,トランプ大統領の発言です.もう一つは,ギリシャの聖火の採火式だったんですね」

池端「同じ日だったんですね」

岩田「はい.この12日ですけど,トランプ大統領ホワイトハウスで記者団に対して,『一年間,延期した方がよいかもしれない』と発言しましたよね.

予定通り開催と考えていました日本政府にとっては,これ,当初,驚きだったんですけど,ここにアメリカの本音が実はあって,注目すべきではないかというふうに考え始めたんですね.

というますのも,スポンサーや放映権を持つアメリカというのは,IOCに大きな影響力を持っているからなんです.さらに,2021年の夏というのは,アメリカで陸上の世界選手権が予定されています.

トランプ大統領自身は,この一年延期に言及したということでありますと,こうした難しい日程変更というものにも,協力が得やすいのではないかと,こんな見方もあるわけですね」

池端世界陸上をずらしてくれるんじゃないか,ということですね」

岩田「はい.もう一つはギリシャの聖火の採火式ですけれども,これ,ギリシャで行われましたけど,行われたということは,日本に聖火が来るということが確実になったわけですよね.で,この聖火リレーが日本全国で本格的に始まる前に,IOC側と延期という話をつけないと,中止の可能性も否定できないのではという日本政府の思いもあったようですね」

池端「いざ,走り始めてしまうと,逆に悪いシナリオになるかもしれないと」

酒井「だからこそ,政府としては,一気に舵を切ったとですね.それから,IOCに延期を提案する際は,何か根回しがあったんでしょか?」

岩田「はい,そうなんですね.IOCにこの延期の提案をするため,日本政府は,万全の環境作りを急いだんですね」

 

以下項目略記

○13日 安倍首相 トランプ大統領と電話会談「完全な形での開催」に米大統領の100%同意

○16日 G7首脳会談 「完全な形での開催」各国の支持

○22日 森会長・バッハ会長電話会談 「中止はない」

○24日 安倍首相・バッハ会長会談 「1年程度延期を軸に検討」

 

○何故,一年程度?

岩田解説委員

「2年延期となりますと,夏の東京大会の前に中国で,北京冬季五輪開催のスケジュールもありうる.中国から感染が世界に広まったのに,中国で開かれるオリンピックでコロナウィルスに打ち勝った証だろいうアピールをするとなりますと,なかなか国際社会の理解が得られにくい,こんな側面もありそうなんです」

「何といっても,12日のトランプ大統領の発言ですね.これが大きなヒントになったんではないでしょうか」