秋の星座として紹介されているおひつじ座.
おひつじ座にまつわるギリシャ神話については,三回にわたってこのブログで取り上げました.
おひつじ座1 - yachikusakusaki's blog おひつじ座2 - yachikusakusaki's blog おひつじ座3 . - yachikusakusaki's blog
原著に基づいて解説しているthe Theoi projectの記事
CHRYSOMALLUS (Khrysomallos) - Golden-Fleeced Ram of Greek Mythology
を中心に調べながら書く毎日.まとまりのないものになってしまっています.
改めてまとめると,次のような話となります.
おひつじ座のギリシャ神話
CHRYSOMALLUS (Khrysomallos) - Golden-Fleeced Ram of Greek Mythology
まとめ
(主な原著文献
偽ヒューギヌス 神話集(Fabulae),偽ヒューギヌス 天文詩,
偽アポロドーロス ギリシャ神話(ビブリオテーケー)
この星座のもととなった牡羊の名はギリシャ語で,“KRIOS KHRYSOMALLOS”,ラテン語でCrius Chrysomallus.
黄金の毛をもった空飛ぶ牡羊で,ポセイドーンが牡羊の姿で交わったときに生まれたとも言われています.
アイオロスの王子プリクトスと王女ヘレーが継母イーノーの悪巧みで生け贄にされそうになったとき,2人を助けるため,実母ネペレーによって,この黄金の毛をもった空飛ぶ牡羊が送り込まれます.
ネペレーは,雲のニンフ(ゼウスによって雲から作られたニンフと同一人物かどうかは不明とのこと)で,ヘルメースからこの牡羊を授かりました.
牡羊は,無事2人を助け出しました.途中,ヘレーは深海に滑り落ちてしまいますが,プリクトスはコルキス人の地までたどり着き,アイエーテース王の娘カルキオペーと結ばれます.
クリプトスは,黄金の毛を持つ牡羊をゼウスに捧げ,毛皮はアイエーテースに与えました,一説では,空飛ぶ牡羊自身が,自らの毛皮を脱ぎ,クリプトスに与えたとも.
牡羊の姿は,ネペレーによって星座の間に置かれ,穀物を蒔く時を教えています.牡羊自身が自ら進んで星々になったとも言われています.
アイエーテース王のものとなった黄金の毛皮は,その後,英雄イアーソーン(ジェイソン)により,持ち去られます.このイアーソーンによる冒険物語は,アポローニオスによる一大叙事詩「アルゴナウティカ」に詳しく描かれています.
黄金の毛皮を奪ったイアーソーン
CHRYSOMALLUS (Khrysomallos) - Golden-Fleeced Ram of Greek Mythology
牡羊が提供した黄金の毛皮.
これを巡って,一大冒険譚が描かれ,物語は,さらに王女メディアの物語まで繋がっていきます.おひつじ座は多くの物語に繋がる星座でした.
ENCYCLOPÆDIA BRITANNICA の記事から,拙訳で
Jason | Greek mythology | Britannica.com
Jason
Greek mythology
ジェイソン(イアーソーン)は,アルゴノーツ(アルゴナウタイ:アルゴー号に乗船した50人の勇士)のリーダーで,テッサリアのイオールコス王アイソーンの息子です.叔父のペリアースがイオールコスの王位を継ぐと,ケンタウロスのケイローンに預けられました.成人して帰国すると,もし黄金の羊の毛皮をペリアースのために持ち帰ったら,王位を相続させると約束されます.しかし,それは不可能に見える任務でした.
多くの冒険の後,ジェイソン(イアーソーン)は,妻となった魔女のメディアの助けを借りて,毛皮を盗み取りました.
国に戻ると,メディアはペリアースを殺してしまいます.しかし,彼女とイアーソーンはペリアースの息子によって追放され,コリント(コリントス)のクレオン王と一緒に逃避しなくてはなりませんでした.
後に,ジェイソン(イアーソーン)はメディアと別れ,クレオン王の娘を娶ります.この離婚とその経緯は,エウリピデスの「王女メディア」の題材となりました.
Jason, in Greek mythology, leader of the Argonauts and son of Aeson, king of Iolcos in Thessaly. His father’s half-brother Pelias seized Iolcos, and thus for safety Jason was sent away to the Centaur Chiron. Returning as a young man, Jason was promised his inheritance if he fetched the Golden Fleece for Pelias, a seemingly impossible task. After many adventures (see Argonaut) Jason abstracted the fleece with the help of the enchantress Medea, whom he married. On their return Medea murdered Pelias, but she and Jason were driven out by Pelias’ son and had to take refuge with King Creon of Corinth. Later Jason deserted Medea for Creon’s daughter; this desertion and its consequences formed the subject of Euripides’ Medea.