冥王ハーデースの妃にして春・季節・植物（芽吹き/花）の神ペルセポネー
ハーデース（プルートー/プルート）によって略奪され，冥界の王妃になったペルセポネー（プロスペリナ）．
Persephone & Hades - Ancient Greek Vase Painting
1年のうち三分の一は冥界で過ごし，残りの三分の二は地上で暮らすことになります．（ホメーロス風讃歌）（変身物語では1/2冥界，1/2地上）
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この物語は，ペルセポネーに冥界と地上では全く異なる神としての役割を与えます．
冥界でのペルセポネーは，もちろん冥王ハーデースの妃．
PERSEPHONE - Greek Goddess of Spring, Queen of the Underworld (Roman Proserpina)
名前を語ることも禁じられるほど恐れられていたとの伝説も．また，ギリシャ神話の女神らしく（？），ハーデースの愛人のニンフ，ミンテが自分より美しいと自慢したので，香りのある植物に変身させたという話も．
PLANTS & FLOWERS OF GREEK MYTH 2
地上では，豊穣・大地の神デーメーテールの娘コレー（ペルセポネーの別名）として春・季節・植物（芽吹き/花）の神．
そして，ペルセポネーは，二つめの春と植物の女神の役割を果たしつつ，やや異なった信仰の対象にもなっていました．
永遠の生命の象徴としてのペルセポネー
ハーデースによるペルセポネーの略奪(デーメーテールへの讃歌)は，コレー（ペルセポネー）とデーメーテール崇拝の祭儀として古代ギリシャ〜古代ローマまで，約2000年続いたという「エレウシスの秘儀」の主題となっていたそうです．
冥府から地上に帰還するペルセポネーは，「死と再生の神」として，世代から世代へと受け継がれる永遠の生命を象徴していると考えられ，入信者たちはこの密儀によって死後に幸福を得られると信じていたとのこと．
この密儀は古代ギリシアの密儀宗教としては最大の尊崇を集め，アテナイの祝祭として取り込まれた後は、春のディオニューシア祭、夏のパンアテナイア祭と並んで「アテナイの三大祭」といわれたそうです．
様々な顔を持つペルセポネー（コレー）．
私のように，にわか仕立てでギリシャ神話を学ぼうとしても，なかなか全貌がつかめません．しかし魅力がぎっしり詰まった女神であることだけは確かです．
そして，その役割の成り立ちを全てつめこみながら，デーメーテールの母性を主軸に美しくまとめられた「ペルセポネーの略奪」(デーメーテールへの讃歌)は，ギリシャ神話の中でも出色の物語の一つといえるように思われました．
