新聞より 横山秀夫「64」英国推理作家協会(CWA)ダガー賞候補に 東京新聞 大波小波

国産ミステリーの海外進出  東京新聞 大波小波 

----極端な輸入超過の時代が様変わりしつつある兆しを講談社の文庫情報誌「IN ★ POCKET」9月号が特集を組んで紹介している.巻頭の松川良宏の「東野圭吾による現状打破の現在」は,豊富なデータを基に現状を明らかにした好評論だ.

 それによると,欧米の読者にはミステリーは英米の作品が最強という意識が強かった.それが, -----  目が世界に向けられ,桐野夏生の「OUT」,東野圭吾の「容疑者Xの献身」が相次いで米国推理作家協会賞(MWA)賞の候補になったことで,日本の作品が注目されるようになった.他にも横山秀夫の警察小説「64」が目下,英国推理作家協会(CWA)のダガー賞の候補にも挙がっているというから,この動きは本物だ. -----

2016年(平成28年)10月6日(木) 東京夕刊

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下記CWAウェブサイト&アマゾンイメージ

 

大波小波が引用した評論は全文を講談社のウェブサイトで閲覧できます.

東野圭吾が海外で大ブーム! 日本ミステリー、つぎつぎ世界へ(松川 良宏) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

また,今年のCWAダガー賞受賞作品発表は10月11日で,下記CWAのサイトによると8作品のノミネートが目下5作品まで絞られているようです.

http://www.thecwa.co.uk/the-daggers/categories/international/

 

ミステリー小説を片っ端から読んでいた時期がありました.もう何年も前のこと.当時は海外翻訳物ばかりでしたが---.

最近では本を読むことがおっくうになっていて,あんなに楽しんでいたミステリー小説さえなかなか手に取ることがなくなっています.その中で唯一の例外が横山秀夫作品.全てではありませんが何冊か手に取り,「 64 」も楽しんで読ませてもらいました.以前読んだ日本ミステリーには感じられなかった文章の力とプロットの緻密さ.「日本の作品もかなりやるなー」と感嘆.CWAダガー賞をとることができれば快挙.10月11日が楽しみ.

しかし,横山作品は日本の組織風土を知っていてはじめて「なるほど」と思わせる描写が多いような気がします.イギリス人にどこまで理解できるのか.

 

映画「64」は前編しか見ていないという不届き者です.時間の都合がつけられなかったのが最大要因ですが,佐藤浩市さんに風格がありすぎてどこか原作と違う---.

その点NHKのドラマはとてもよくできていました.「視聴率が惨敗」で「ミスキャスト」とか「もう土曜ドラマ枠はなくなる」とか報じられていましたが,とんでもない.私が見る限り,そして多くの視聴者が指摘するとおり,最良の作品の一つ.ピエール瀧さんと段田安則さんがさえわたった演技を見せていました.段田安則さんといえばTBSの月曜ミステリー劇場 第三の時効シリーズ 楠見班長 役も素晴らしい.再放送を二年ほど前見て「もしかするとミステリードラマの最高峰の一つ」とさえ思わされました.私の評価では64より上.でもこれは原作のできの差?長編と短編の比較は難しいですが.