詩歌(万葉以外)/ 短歌に詠まれた植物

光則寺は,境内一杯に様々な植栽が溢れているお寺です.秋の庭は春に比べるとやや寂しいとはいえ,いろいろな花を楽しむことができました.藤袴,杜鵑草,秋明菊,山茶花,日高見せばや,そして野菊の一つ・小嫁菜. 秋草のいづれはあれど露霜に痩せし野菊の花をあはれむ 伊藤左千夫  水色に塗りたる如きおほぞらと白き野菊のつづく路かな 与謝野晶子  獣の如く荒(すさ)める行軍にそよぐ野菊を見返りし汝は  岩波香代子

昨日,鎌倉高徳院(鎌倉大仏)を久しぶりに参拝した後,光則寺に立ち寄りました. 前住職,高校時代の恩師の墓にお参りした後,境内を散策. 光則寺は,境内一杯に様々な植栽が溢れているお寺です.秋の庭は春に比べるとやや寂しいとはいえ,いろいろな花を…

ギンモクセイ  あちこちで金木犀を見かけますが,植物分類では銀木犀の変種として扱われています.高徳院(鎌倉大仏)に銀木犀の大きな木があることを思いだし出かけてきました.しっかりした花を付けていましたが,残念なことに樹勢の衰えが目立ちます.長生きしてほしいもの. 歩みきてふとしも匂へ山の手の日の照る坂の木犀の花 太田水穂  木犀の香りにふりむく坂道に/二十の景色/モノトーンとなる 俵万智

この一ヶ月ほど,鎌倉のあちこちでキンモクイセイ(金木犀)を見かけます.木も花も,そして,もちろん香りも,多くの方に好まれる木.私も大好きです. 金木犀は,植物分類では銀木犀の変種として扱われています. 街で銀木犀を見かけることはあまりありま…

リンゴを詠んだ短歌  君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋  穂村弘「愛する人と一夜を過ごした後,その人を帰さなければならない,雪の中をさくさくと歩いて行く.その時,ふいに,“雪よ林檎の香のごとくふれ” っていうのに,胸を打ち抜かれた記憶があつて,『なんて素敵なことを言うんだ,こいつは』って. “さくさく”って,雪の舗石を踏む音であると同時に,林檎をかじる音にも聞こえるし,かじった林檎の白さは,雪の白さにまた帰って行くというような」 

青果売り場の果物の主役がリンゴになってきています. 日本で最も生産量の多いフジ(国光とデリシャスの交配種 晩生種で10月下旬から11月上旬収穫)が,店頭に並ぶのはまだ先ですが,私がよく買い物をするお店では,青森早生フジ,そして,長野秋映(千秋と…

初めて出会った花,二種.一つは,お店の横に植えられていた「ルリマツリ」.見過ごしていただけで,園芸用に広く普及している品種.もう一種は,クコの花. 花は初めてです.実を見たことはありました.ただし「クコ酒」として.漢字では「枸杞」ですが,「杞」だけでクコの意味だそうです.赤い小粒の果実を乾燥させた枸杞子は強壮薬として有名. 暴風雨(あらし)ふき庭の垣根は倒れけりたふれし垣に枸杞の実赤し 岡麓

昨日,一昨日と,街や社寺で見かけた秋の実を集めてみました.今日明日は,秋の花を採り上げようと思います. 今日は,初めて出会った花,二種. 一つは,お店の横に植えられていた花.調べてみると「ルリマツリ」.私が見過ごしていただけで,園芸用に広く…

身近な秋の実2(柿を詠んだ歌第一回)  妙法寺で出会ったサネカズラは,英勝寺でも赤い実を付けていました.専用の竹垣に絡ませてなかなか風情のある趣.赤くなり始めたナンテン,竹藪の下のヤブミョウガの実,熟すと塗り薬になるという栴檀の実,クロガネモチの実も赤くかわいらしい.キンカンより少し大きめなミカンは多分カラマンシー(トウキンカン).そして,そろそろ収穫しなくてはいけない柿の実. 柿の木に礼をつくして柿の実を梢に三粒捥ぎ残したり 山崎方代

昨日に引き続き,この何日かの間に出会った,木の実を取り上げます. 鎌倉・妙法寺で出会ったサネカズラ(ビナンカズラ)は,英勝寺でも赤い実を付けていました. 庭作業のための小屋の横で,目立たない場所ですが,専用の竹垣に絡ませてなかなか風情のある…

身近な秋の実1  秋はドングリ以外にも多くの木の実がみのる季節.この二三日の間に出会った木の実の画像を紹介します.チャノキは妙法寺.アオキは八雲神社の裏山で.マンリョウ,センリョウ,サンザシが真っ赤になるまでにはまだ時間がかかりそうです.一方,妙法寺で出会ったサネカズラの実は,この時期でも一部は赤く鮮やか.美しい実です. 名にし負(お)はば 逢坂山(あふさかやま)の さねかづら人に知られで くるよしもがな 三条右大臣

秋は木の実の季節でもありますね.昨日は取り上げた安国論時には,ドングリが沢山落ちていました. 今日は,この二三日の間に出会った木の実の画像を紹介します. チャノキは妙法寺.アオキは八雲神社の裏山で. この時期の木の実はまだ青いものばかり. お…

安国論寺の裏山は,歩いて15分ほどのコース.熊王堂の横の急な階段を上がると富士見台.稲村ヶ崎がくっきり見えます.鐘楼はこの山道の途中にあって,下る途中には南面窟.雑草が生えている一角には,アザミの花が沢山咲いていました.  わがあゆむ山の細道(ほそぢ)に片よりに薊しげれば小林(おばやし)なすも 斎藤茂吉

曇り空の中,一昨日に出かけた鎌倉安国論寺. 安国論寺 安国論寺 - 鎌倉市観光協会 | 時を楽しむ、旅がある。~鎌倉観光公式ガイド~ 日蓮聖人を開山として創建.ここも妙法寺と同じく松葉ヶ谷法難の跡と伝えられる.日蓮が鎌倉にきて初めて道場とした岩窟が…

曇り空のもとの安国論寺の庭園.出会った花は2種.サラシナショウマ(キンポウゲ科サラシナショウマ属)は見るのは初めてです.不思議な花穂は,雄しべのみ残った姿なのでしょうか.そして,サザンカが早くも咲いていました.今年の追い込みの花粉集めなのか,スズメバチが来ていました. 山茶花はつぎつぎ紅き蕾もてり咲きをはるべきときの知らなく 中村憲吉

はっきりしない天気が続きすが,昨日は,曇り空の中,安国論寺まで散歩. 先日長寿寺行きの際にも見かけたススキ.そして,柿の実.10月だな〜と感じさせてくれます. 安国論寺の山門の前のイチョウと松.なんとなく黄色みを帯びているイチョウですが,紅葉…

秋のおんめ様(鎌倉大巧寺)の小径.今,最も目立って美しいのはコムラサキの実.白い実を付ける株も植えられています.コムラサキの英語名はPurple beautyberry.ムラサキシキブ属全体がbeatyberry.その実の美しさは世界的にも認められています.そもそも属名ラテン語Callicarpaが,ギリシャ語でcallos(美しさ)とcarpos(果実)を意味している! いでや月むらさきしきぶは粒実つけて世捨聖(よすてひじり)となりて発つとふ 大滝貞一

今日は時どき小雨のはっきりしない1日でした. 仕事無しの日で,少し遠出して安国論寺まで行ってきたのですが---. 今日は,途中に通ったいつものおんめ様(大巧寺)の小径の画像から.一昨日に撮ったものなので,バックは晴れ. 秋のおんめ様の小径には,花…

「シャクチリソバです」 東慶寺で出会った花の名前を受付の方に聞いたところ返ってきた答え.調べてみると立派なソバ属の一員.花の形はソバの花そっくりですが,宿根草とのこと.漢字では「赤地利」.根を薬用として利用するために導入され,栽培されたものが野生化したとか.なお,若菜は食用になるようです.  花の季(とき)終らんとして茎あかき蕎麦整然と畦ごとに立つ 板宮清治 

シャクチリソバに初めて出会いました. 場所は,鎌倉東慶寺.昨日話題にした長寿寺参拝の帰路に立ち寄り,境内の草花を見て回った時のこと. 宝物館の前に見慣れない花が.受付の方にうかがったところ,「シャクチリソバです」. 残念ながら,東慶寺は先日来…

ダイモンジソウ/ユキノシタ科の花々  園芸店で,他の赤花品種と並べられているのを見て,ダイモンジソウの赤花を衝動買い.元々変種が多いそうで,近年は園芸品種も多数開発されています.大の字の花から付けられた名前ですが,八重咲きや切り込みのある花弁を持つ品種がむしろ主流とか.ユキノシタ科の植物は,趣があって大好きです.ユキノシタ科の植物を集めてみました.3年前の繰り返しですが----   雪のした花咲きたりと風ありて揺らぐに見出づそのかそけきを 窪田空穂

ダイモンジソウを購入しました. 以前育てたことのある,白花ではなく, ダイモンジソウ - Wikipedia 園芸種の赤花. 園芸店で,他の赤花品種と並べられているのを見て,衝動買いです. ダイモンジソウは ユキノシタ目 Saxifragales,ユキノシタ科 Saxifraga…

ナデシコを詠んだ歌(2) 平安時代以降,ナデシコは「常夏 とこなつ」とも呼ばれるようになり,この場合,季は夏.一方「撫子」の季は,夏とされる場合と秋とされる場合があるとのこと.近世以降の俳諧では撫子は晩夏の季語.ナデシコが秋に咲くイメージは私にもありませんから,当然のようにも思います.平安時代以降も,ナデシコは短歌の歌題としてよく取り上げられ,明治〜昭和の代表的歌人たちもナデシコを詠つています. なでしこのさけるたをりのゆふばえにうつくしかりき君がほゝゑみ 釈迢空

瞿麦---撫子/常夏---ダイアンサス 万葉の時代には,瞿麦,万葉仮名で「奈泥之故」「奈弖之故」 平安時代になると,なでしこの表記が「撫子」となることは,昨日記したとおりです. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/10/07/235633 石竹を示…

葛(くず)を詠んだ歌(2)  葛餅(ただし,関西),漢方生薬葛根の材料となる葛.七草の歌以外,花が短歌に詠まれることはほとんどありませんでしたが,明治期になると茂吉・釈迢空など有名歌人によって葛花が歌題として取り上げられるようになりました. 葛の花ここにも咲きて人里のものの恋(こほ)しき心おごらず 斎藤茂吉  みねの風けふは沢辺に落ちてふく広葉がくれの葛の白花 若山牧水  葛の花 踏みしだかれて,色あたらし.この山道を行きし人あり 釈迢空 

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 今日は,昨日に続いて 葛(2) クズと聞いて,現代の多くの人が思い浮かべるのは,くず餅ではないでしょうか. クズという名前の由来として,「昔、大和(やまと)(奈良県)の国栖(くず)の人がデ…

朝皃 / キキョウ 桔梗を詠んだ歌(2)  古今集以降の古歌では「きちかう」として詠まれるものの,まれ.不思議な気がします.明治期以降の短歌に盛んに取り上げられ,現代も人気のある花ですから.「野生のキキョウは茎毎に一輪ずつ(一茎一輪)で,茎が細く草むらに隠れ傾いて咲いていて風情がある」(山田卓三)とのこと.桔梗を詠んだ短歌を鑑賞する際には,現代園芸店の矮小種ではなく,このような野生の花をイメージする必要がありそうです. ひれ伏せし我に向ひて桔梗(きちかう)の生きてよしといふ日の美しさ 斉藤史

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 今日は 朝皃 / キキョウ 桔梗(2) 昨日のブログでも取り上げたように 朝皃 / キキョウ 桔梗(1) 山上憶良の「朝皃之花」は「桔梗」とするのが一般的. 「キキョウ」という名前は万葉集には出…

オミナエシを詠んだ歌(2)  女郎花は平安時代には歌題としてとても好まれました.沢山の女郎花の歌が勅撰集に取りあげられ,また源氏物語,紫式部日記にも女郎花を詠んだ歌があります.その後減少し,「新古今集」では6首,現代短歌でもあまり詠まれていないようです. をみなえし秋の野風にうちなびき心ひとつを誰によすらむ 藤原時平  わが机袖にはらへどほろろ散る女郎花こそうらさびしけれ 与謝野晶子 つつましくおのがなさけにうなだれてをみなえしこそ咲きてありけれ 中原綾子

「秋の七草」を詠んだ歌を改めて紹介しようというシリーズ: 紹介というのはおこがましく,いつもの通り「写すだけ」ですが----. オミナエシ(2) 昨日は,植物オミナエシ(女郎花)の語源等の解説のまとめと,万葉集に詠まれた歌をいくつか紹介しました.…

ススキ(すすき/薄/芒)を詠んだ短歌2  昨日の万葉集の歌に続いて,今日は古今集以降で,「すすき」を詠んだ歌を古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)から抜粋します. 君が植ゑし人むらすすき虫の音のしげき野辺ともなりにけるかな 御春有助 古今集  野辺みれば尾花がもとのおもひ草かれ行く冬に成りぞしにける 和泉式部 新古今集  入江はなれ山あひに入るのぼり道夕かげの寒き穂薄の風 佐佐木信綱  胸深く古き牧歌の鳴るごとし暮れゆく原に尾花そよげり 大西民子

日本人が,古来,親しんできたすすき. 枕草子 64段 草の花は撫子(なでしこ),唐(から)のはさらなり,----- ----- これに薄(すすき)を入れぬ,いみじうあやしと,人言ふめり. 秋の野のおしなべたるをかしさは,薄こそあれ.穂先の蘇枋(すおう)に…

藤袴  七草の一つフジバカマの話題をいくつか.1. わが家の藤袴は園芸種の白花ですが,一般的には赤みが混ざった花を咲かせます.園芸店で売られているものの多くはサワヒヨドリとの交配種が多いそうです. 2.フジバカマの学名は,二つあります.3. 「藤袴」の異名「蘭(らに)」  萩の花 尾花葛花(くずはな) 瞿麦の花 女郎花 また藤袴朝顔の花 山上憶良  宿りせし人の形見か藤袴忘られがたき香ににほひつつ 紀貫之   蝶二つ激しく翅を開閉す「万葉の園」ふじばかまの花 日野裕子 

秋の七草の一つフジバカマの話題をいくつか. 萩の花 尾花(をばな) 葛花(くずはな) 瞿麦(なでしこ)の(が)花 女郎花(をみなへし) また藤袴(ふぢはかま) 朝顔の(が)花 山上憶良 万葉集 巻八 一五三八 1. 様々なフジバカマ? わが家のフジバカマが開花…

コスモス  普通のコスモスの和名はオオハルシャギク.あまりピンとこない名前ですね.明治期,小学校に栽培法を付記して頒布してから急速に広まり日本の秋を代表する花になったとか.花の名前が「宇宙/秩序」. ながながと折れたるままに先青みわづかに抬(もた)げてコスモス咲けり 若山牧水  たわたわに吹かれ乱るるコスモスは風道の中にあるにやあらむ 宮柊二  四十代この先生きて何がある風に群れ咲くコスモスの花 道浦母都子

フラワーショップの店先に,コスモスが並んでいました. 普通のコスモスCosmos bipinnatuとキバナコスモスCosmos sulphureus. オオハルシャギク - Wikipedia キバナコスモス - Wikipedia どちらにも,沢山の園芸品種が開発されていて楽しめます. https://y…

「秋の雑草・庭の花」3 おなじみのエノコログサ.本当にネコをじゃらして遊んだ方も多いのでは?カナムグラは「葎」というイメージにぴったりの雑草.カラムシとナンバンカラムシがすぐ近くに生えていました.苧麻です.秋の花「紫苑」.平安時代から愛され,古今集にも枕草子にも,その名前が取りあげられています. しをに   読人知らず  ふりはへて  いざふるさとの  花見むと  こしを匂ひぞ  うつろひにける 古今集

台風は,関東地方を直撃することはなく,通り過ぎました.しかし,ここ何日かは雨or曇. 今日は,台風接近以前に撮った写真から. 「秋の雑草・庭の花」3 「秋の雑草・庭の花」1 yachikusakusaki's blog 「秋の雑草・庭の花」2 yachikusakusaki's blog まず…

ヒガンバナ属Lycoris には,ヒガンバナ,シロバナマンジュシャゲの他,13〜20種が属しています.ナツズイセン,キツネノカミソリ----.原風景を形づくる花の一つですが近代に至るまで短歌に詠われることはありませんでした.冬の光さしそふ野ベの曼珠沙華青々としたる一むらの草 斎藤茂吉  彼岸花咲きて閉ぢたる山峡(やまかげ)を婚礼の列,葬(はふり)に似て歩む 斉藤史  子が折りて遊びし花か枕べに灯影吸ひつつ曼珠沙華の花 宮柊二

昨日はシロバナマンジュシャゲ(シロバナヒガンバナ)を中心に,彼岸花についてのいくつかの話題を取りあげました. ヒガンバナ属Lycoris には,ヒガンバナ,シロバナマンジュシャゲの他,13〜20種が属していて,園芸用に開発された品種も数多いとされていま…

鎌倉宝戒寺まで,萩を見に行ってきました. 関東地方では,萩の名所として名前が挙がる寺院です.来週の週末見頃かと思います. 萩むらにすでにこもらふ虫のこゑ朝な夕なを隣りて住めば 北原白秋  青あをとうちなだれつつ繁りたる萩一叢の庭のするどさ 宮柊二  もみじするやさしき季節ひらくごとひそかに零(こぼ)るる山萩の紅(あけ) 川口美根子

昨日の海蔵寺に続いて,今日は,鎌倉宝戒寺まで,萩を見に行ってきました. 関東地方では,萩の名所として名前が挙がる寺院です. 萩の名所 / 関東周辺の萩の名所を紹介 萩の花の名所in関東の鑑賞スポット紹介!おすすめポイントや料金など | 夫婦ふたり旅研…

ソクズは レンプクソウ科 ,ニワトコ属 .ニワトコは,漢字で接骨木.接骨木は生薬名にもなっていて,その時は「セッコクボク」と読むようです.茎は打撲傷やうち身に,花や葉は利尿.セイヨウニワトコ,アメリカニワトコは,熟して黒くなった実を食用に.ニワトコは,古事記・万葉集では「やまたづ」と呼ばれていました. 君が行き日(け)長くなりぬやまたづの迎へを行(ゆ)かむ待つには待たじ 軽太郎女

昨日見かけたソクズ(蒴藋).小さな花が集まっていて,よく見るとなかなか美しい花.実もなかなかかわいらしい. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/08/12/235533 レンプクソウ科 Adoxacea,ニワトコ属 Sambucusの植物で,別名クサニワト…

万葉集のユリを詠んだ歌12種の多くはササユリを,東国の歌ではヤマユリを詠んでいると考えられています.平安〜江戸時代の歌題としてはあまり取り上げられず,近・現代に再び多くうたわれるようになりました. ゆあみする泉の底の小百合花二十の夏をうつくしと見ぬ 与謝野晶子  髪ながき少女(おとめ)とうまれしろ百合に額(ぬか)は伏せつつ君をこそ思へ 山川登美子  さびしさよ甕(かめ)に盛られし百合の向ふに人垣の向ふに君がゐるなり 河野裕子

15種の自生種,8種の固有種がある日本は,「ユリの王国」とも言える国. 第3回 日本はユリの王国 | BloomField - ガーデニングABC - ユリと日本 | ユリ.net https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/06/28/012534 yachikusakusaki.hatenablog.co…

オニユリ おんめ様(鎌倉大巧寺)の小径にオニユリが咲いていました.”古くに中国から「食用として」伝来した”とする説があります.「ゆりね」ですね.百合根としてはオニユリの他,ヤマユリ,コオニユリが食べられているとのことですが.商品として現在出回っているのは,北海道産コオニユリの栽培種.改めて栄養成分を蓮・玉ねぎ・ほうれん草と比べてみました.お確かめください.  鬼ゆりはまことに夏花濃みどりの切れのよき葉も力にみちたり 宇都野研

今日も,おんめ様(鎌倉大巧寺)の花を取りあげます. オニユリです. オレンジ色に黒い斑点.反り返った花びら.遠くからでもよく分かる花姿で,誰もが知る百合. 日本に自生していますが,”古くに中国から「食用として」伝来した”とする説があります. オ…

暑すぎてわが家のムクゲは,すっかり花を落としていますが,街の,そしておんめ様のムクゲ,ハマボウはしっかり花をつけています.ムクゲの属するアオイ亜科の花はいずれも美しのですが,中でもムクゲは,アメリカでも聖書の花の名前「シャロンのばら」と呼ばれ,ブッソウゲ(ハイビスカス)同様,愛されているようです. 花木槿見るものにして母と娘(こ)はいふこともなく只足らひをり 四賀光子

梅雨の戻り?が終わって,再び暑い日がやって来ました. 梅雨明けが早かったせいでしょう.わが家のムクゲは,すっかり花を落としています. 夕方散歩で街に出ると,商店街の一角の白のムクゲが,しっかり花をつけていました.毎年楽しませてもらっています…

ハマユウ2  ヒガンバナ科ハマオモト属に分類されますが,同属の植物のほとんどは熱帯・亜熱帯を原産地とし,浜木綿もおそらくインドネシア原産.ハマオモト属の植物は,百合に似た大きな花をつけるため園芸植物として愛好されています.花の形状,葉の力強さから,古代より日本人の目を引きつけてきた浜木綿は,近・現代でも多くの歌人が取りあげています.  浜木綿の鉢を入れ守り居り午後にしなれば日の光さす 斎藤茂吉

ハマユウ(浜木綿)は,古代より日本人の目を引きつけてきた植物. yachikusakusaki.hatenablog.com その花の形状,葉の力強さ---- 関東南部以西の海岸に自生してきました.原産地を特定した記事は少ないなか,「インドネシア,スマトラ」と特定しているサイ…

ホンカンゾウ(本萱草) 門前に植えられているところを通りかかりました.鮮やかな花です.ノカンゾウ,ヤブカンゾウとともに「わすれぐさ」として知られる植物.中国では「食するとうれいを忘れるという」(字源).山菜のノカンゾウ.もっと人気が出てもよさそうですね. それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ 山川登美子

散歩の途中,一軒のお宅の門の横に植えられた花.一輪は既に萎れていましたが,もう一輪はまだ元気に鮮やかな色彩を保っていました. PictureThisの判定は,ホンカンゾウ(本萱草). ノカンゾウの栽培種ですね. ノカンゾウ,ヤブカンゾウ,そしてこのホン…

ヒオウギとシャガ  シャガの名前の元となった漢字「射干」は,中国では和名のヒオウギ(檜扇)を意味する言葉.一方,「射干玉」は,「ぬばたま」と読み,ヒオウギの黒い実のことです.明治以降でも射干を「ひおうぎ」とルビした歌人もいます.:われを責むるごときしづかさ射干(ひあふぎ)の黒き珠美の熟れつつありて 清原令子  どちらを詠んだのか分からない歌も:射干(ひおうぎ)の花のふふまむ頃となり山ほととぎすいまだ聞こえず 斎藤茂吉

シャガとヒオウギ シャラノキ(沙羅樹 ナツツバキのこと) / サラソウジュ(沙羅双樹)同様, https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/11/234912 漢名と和名が入り交じって,混乱しかねない植物に,シャガとヒオウギがあります. シャガと聞…

沙羅(しゃら)の木  6月に浄妙寺で出会った「ナツツバキ」の別名です.「サラソウジュ(沙羅双樹)の名で利用されることがあり,真正のサラソウジュ(フタバガキ科)と混同されることが多い」(ニッポニカ). 真正の沙羅双樹は「淡黄色の五弁花を円錐状に多数集めてつける」インド原産の植物.名だたる歌人も,「白い花」=ナツツバキを詠って「沙羅双樹」としてきました.  沙羅双樹しろき花ちる夕風に人の子おもふ凡下のこころ 与謝野晶子

散歩で出会った6〜7月の花/植物の短歌を,古今和歌歳時記(鳥居正博編著 教育社)から取りあげてきました. 蕺(どくだみ) https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/06/01/235217 紫陽花(あじさい) https://yachikusakusaki.hatenablog.com/e…

鎌倉(大船)・常楽寺へ行ってきました.北条泰時を開祖とする由緒あるお寺で,泰時の墓もあります.こぢんまりとした良いお寺です.この時期ということもあり,花は少なかったのですが,駐車場に植えられていたキョウチクトウ(セイヨウキョウチクトウ?)は満開.楽しませてもらいました. 片枝のすがれは、まほに あらはに見ゆ。日だまりに照る夾竹桃のはな 釈迢空

鎌倉(大船)・常楽寺へ行ってきました. 旧鎌倉市内からは離れた大船駅に寄り近いお寺のため,出かけたのは初めてです. 北条泰時を開祖とする由緒あるお寺で,泰時の墓も. 常楽寺(じょうらくじ) https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kids/jh/kjh_sa1…