写すだけ万葉集

ムクゲはアオイ科.では,あおい(葵)って? アオイと聞いて何を思い出しますか?と聞かれたら---水戸光圀の印籠/葵祭/葵上;これらはアオイ科ではなく,ウマノスズクサ科カンアオイ属のフタバアオイ.植物の種の名前として「アオイ」は,”俗称”の扱いで,正式な種の名前にはなっていません!▽もし一つの植物をあげるとすれば,現代ならば「タチアオイ」.奈良時代〜平安初期にはフユアオイがアオイ(あふひ)と呼ばれていました. アオイ科の植物1

ムクゲはアオイ科. 昨日の天気予報が外れて,ずっと晴れ間の見える一日. 梅雨時,雨の中でも風情があるムクゲですが,晴れた空を背景にすると一段と映えるように思います. ムクゲは,フヨウ属Hibiscus(ハイビスカス属),アオイ亜科,アオイ科の植物. …

春から初夏の花7 ツツジ:万葉の時代から日本人に最も親しまれている植物の一つ.日本には17種ほどが自生.江戸時代中期に数多くの園芸品種が,江戸末期にはクルメツツジが,そして,明治から大正にかけて多くの品種がつくられています.万葉集/龍田道の岡辺の道に 丹(に)つつじのにほはむ時の桜花 咲きなむ時に山たづの迎へ参ゐ出む 君が来まさば

4月終わりから5月にかけて. 鎌倉のお寺で,公園で,街で一番目につく花の一つはツツジです. 日本人に最も親しまれている植物の一つツツジ. 「日本には花の美しいヤマツツジやキシツツジ,モチツツジ,サツキなど17種ほどが自生」(NHK みんなの趣味の園…

春の花1 サクラ 現在,私たちが目にする桜の多くはソメイヨシノ.オオシマザクラとエドヒガンの交配による雑種ですが,複雑な種間交雑の結果生まれた品種.吉野山を彩るヤマザクラが白い花と琥珀色〜透き通るような赤褐色の若葉で風情があるのに対し,ソメイヨシノの花は葉が開く前に枝という枝に群がって一斉に開花する華やかさが売り物.江戸期に隅田川堤に植えられ始め,明治期,国策とも相まって一気に全国に広まりました.ただし,現在はテング巣病に強いジンダイアケボノという後継品種の植樹が進んできているそうです.

おそらく,大きく育ってから,これほど人間に眺められなかった年はない(?)桜. 今年も同じように春を告げています. 現在,私たちが目にする桜の多くはソメイヨシノ. ベネッセ教育情報サイトによれば (1)幕末頃に江戸染井村(今の巣鴨近辺)の植木屋…

古事記と同時代の万葉集にもカヤが詠まれています.ただし,すすき,尾花,み草,草と表記される場合がほとんど. 明らかにカヤの音で詠まれている歌はあまりみあたりません.岡に寄せ我が刈る萱のさね萱のまことなごやは寝ろとへなかも 万葉集巻14・3499  

カヤ 萱 3 “三浦祐介訳・注釈 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ 古事記では,トヨタマビメの出産の場面で登場する“カヤ(萱/茅)”. yachikusakusaki.hatenablog.com yachikusakusaki.hatenablog.com…

カツラ /古事記2 古事記のカツラはモクセイであるとする説があります.中国ではモクセイ(桂花)やニッケイ(肉桂)を表すときに用いられる「桂」を,“万葉の時代から平安時代にはカツラとあて違え”ていました.しかし,モクセイが日本に渡来したのは15世紀ごろ(湯浅浩史).そうだとすれば,古事記の香木/楓は現在のカツラと考えて間違いないと言ってよいでしょう.また,かつらは,中国伝説で,月の世界に生えているという木.黄葉する時になるらし月人の桂の枝の色づく見れば /万葉集

“三浦祐介訳・注釈 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. 古事記では,二つの場面で登場するカツラ. http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/24/222554 1. アマテラスが「この葦原の中…

柿本人麻呂 あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む(出典拾遺集) 小倉百人一首では柿本人麻呂作.しかし万葉集の原歌は作者未詳.しかも「或本の歌に曰はく」と添えられた歌.なぜ,藤原定家が柿本人麻呂作としてとりあげたのか? 詳細不明ながら,定家自身はこの歌を気に入っていたようです.“恋する人と離れ,独り寝する長い夜のわびしさをうたったもの.地味な内容だが,声に出して詠むとき,音韻の流れによろこびがひろがる(小池昌代)”

小倉百人一首には,万葉集に原歌がある歌が推定を含めて四首あります. いずれも出典は勅撰和歌集で,直接,万葉集から選ばれたわけではありません. http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/01/01/013532 その内の三首について,2017年から毎年…

子どもの頃,正月は松の内まで,と教えられた記憶があるせいか,「正月が 1月のことを指している!」 などとは,つい最近まで思いもつかないことでした.一月が正月の本義で,松の内は後に付け加わった意味でしょう.古今短歌歳時記では,睦月の別表記としてとして,正月,一月をあげ,これらも“むつき”とルビをふっています.正月立つ,春の初めに,かくしつつ,相し笑みてば,時じけめやも 大伴家持 万葉集

元旦は終わり,正月の2日目.古くは仕事始めとされていたようですが---現代は,三が日休日の方の方が多いでしょう. 子どもの頃,「いつまでがお正月?」と聞いたとき.松の内まで,と教えられた. おぼろげながらですが,そんな思い出があります. 楽しいお…

ワカメ2 古事記によれば,燧臼(ひきりうす)がわかめの茎で作られたとのこと.一方万葉集には,「磯の和布(わかめ)」「瀬戸の若海藻(わかめ)」と自然界のワカメが詠み込まれています.古事記や万葉集には,食用としてのワカメは記載されていません. では食べられていなかったのか?というと,もちろんそんなことはありません. 日本人は,縄文の頃からわかめを食べていたと推定でき,奈良時代には租税としても納められていました.

ワカメ 昨日の古事記に続いて,奈良時代のワカメをざっとまとめようと思いましたが,とても退屈な話に終始しそう. 冒頭にワカメの語源を置いて,少し変化をつけてみましたが,退屈なことには変わりない? ワカメの漢字と語源. 海苔,昆布とともに,食用海…

楝(あふち)/ 栴檀せんだん 霊園でも花が少ない夏場.サルスベリやアベリアの花の間に,大きく育ったセンダンの緑がとても美しい霊園の午後でした.センダンの古名はあふち(楝).万葉集にも詠み込まれていることがよく知られています.妹が見し楝の花は散りぬべし我が泣く涙いまだ干なくにも 山上憶良 万葉集 巻五・798(802)

昨日,18日. とても暑い1日でした. 我が家の植物たちは暑さ負けで,オミナエシ・セイヨウフジバカマ(ユーパトリウム)を除くと,花を落としています. ハイビスカスも元気がありません.一旦咲き始めたのに,その後の開花はチラホラ. 昼前,買い物ついで…

小麦と大麦(1) 「麦」は小麦と大麦,二つを区別せずに表しており,どちらも奈良時代には栽培されていたことは確実.しかし,麦の普及は日本では遅れ,万葉集では,馬に食べられています.「柵(くへ)越しに 麦食(は)む駒の はつはつに あひ見し子らし あやにかなしも」. 日本で普及が遅れた主たる理由の一つは,石臼の普及が江戸期までずれ込んだため.エジプトでの石臼の登場は紀元前3,000年頃,回転式石臼は紀元前600年頃の古代オリエント時代と考えられています.

小麦と大麦(1) https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/komemugidaizu/mugi.html http://www.eh.zennoh.or.jp/ehimenosyoku/com/kome02.html https://miso-sommelier.com/category12/entry51.html 日本でも古代より五穀の一つであった「麦」; http://yach…

ツユクサ//月草・鴨頭草(万葉集) 黄色と青のコントラストが鮮やかなツユクサですが,二輪咲きで淡い青色のものに初めて出会いました.ツユクサは,古代,つきくさ(月草・鴨頭草)と呼ばれ,万葉歌人にも好まれた花.多くは「移ろう」という意味で用いられています.月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ  大伴坂上家之大娘 万葉集巻四,五八三

今日は,母親を連れて,配食サービスグループ主催の七夕昼食会. テーブルには,かわいらしくコップに生けた花たち. どちらも私は初めて. 一つは広葉マウンテンミント. ミントの名前はついていますが,ハッカ(メンサ)属ではなく,近縁のピクナンテムム…

ササ / 小竹 アメノウズメが手草(たぐさ/たくさ)として,手に持って踊るササ.篠とも表されるヤダケ・メダケの種類と考えられます.ササを手にもって踊ることがある伝統歌舞が現代にも残っています.神楽です.「御神楽」の「採物(とりもの)」としてササが認められ,また,「里神楽」巫女舞でも同様です.ただし,現在は,ほとんどの場合,榊が用いられているようですが.植物をたどって古事記を読む(12)

古事記,岩戸隠れの物語にある5つの植物を取り上げてきましたが, 最後は ササ 小竹. アメノウズメが手草(たぐさ/たくさ)として,手に持って踊ります. “三浦祐介著 口語訳古事記” アメノウズメが,天の香山(かぐやま)の天のヒカゲを襷(たすき)にして…

ヒカゲノカズラ2 古事記では “神懸かりする”アメノウズメの体を飾っていたヒカゲノカズラ. 現代でも正月飾りに,また,神社の縁起物に用いられ,ヒカゲノカズラを必須アイテムとする祭礼も行われています.しかし,古事記と同時代の万葉集の歌をみると,古代日本では,ヒカゲノカズラは必ずしも神に結びつく植物ではなく,ごく普通に髪飾りなどに用いられていたと思われます.人はよし 思ひ止むとも 玉かづら 影に見えつつ 忘らえぬかも 万葉集 巻二 149  倭姫皇后

万葉集におけるヒカゲノカズラ ヒカゲノカズラ ヒカゲノカズラ - Wikipedia 古事記では “神懸かりする”アメノウズメの体を飾っていたヒカゲノカズラ. 現代でも正月飾りに,また,神社の縁起物に用いられ,ヒカゲノカズラを必須アイテムとする祭礼も行われて…

葦4 葦は.様々な効用があり,ヨシ原を保全・復活させようとする動きが各地で見られます.頭が下がります. ヨシ(アシ)は,イネ科ヨシ属.英語ではREED.若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る (万葉集巻六・九一九) 山部赤人

葦の効用とヨシ原保全 昨日のブログ冒頭で, 「(葦は)日本各地の湖沼や河川の岸および水湿地に大群生」と書きましたが--- 「かつては」とすべきだったようですね. 護岸整備や、砂利採取で河底が下がり、近年ではヨシ原はとても少なくなっているとのこと.…

葦3 アシ/ヨシ  葦/蘆/葭  植物としての標準名はヨシ「アシを悪しいとて縁起を祝いヨシすなわち善しとしたもので本来の名は正しくアシ」/ 豊葦原はトヨアシハラvs葦原はヨシハラ/ 葦 万葉集 葦べ行く鴨の羽交ひに霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ〔万葉集 巻一・六四〕 志貴皇子

アシ・ヨシ,葦/蘆/葭 古事記には5つの場面で登場するアシ. yachikusakusaki.hatenablog.com 日本各地の湖沼や河川の岸および水湿地に大群生し, ヨシ(アシ) - 河川生態ナレッジデータベース 日本書紀にある「豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに…

七草がゆは,江戸時代に「人日の日」の祝いとして定着したとされていますが,若菜の汁やおひたしは,古代から重要な献立でした.万葉集には,菜を摘む歌が,スミレ菜・ヨメナを含めて数多く見られます.古事記でも,后の目をぬすんで恋人を追いかけて吉備まできた仁徳天皇がうたいます.“やまがたに まけるあをなも きびひとと ともにしつめば たのしくもあるか”

1. 七草がゆの起源と副菜としての若菜/青菜 七草がゆの起源については,ネット上でも沢山の情報が得られます. どの記事も概ね同様で,七草がゆは,江戸時代に「人日(じんじつ)の日」(五節句の一つ)の祝いとして定着していったとしています. ごせっく …

天智天皇2 誰もが知る天皇ですね.小学生でも必ず教わり,しかも印象深い.明治以降の天皇を除いて,知ってる天皇名トップかもしれません.大化の改新だけではなく,近江大津京での戸籍制定(庚午年籍),近江令制定は,日本統治の礎になったとされています.和歌もかなりの高評価を受けています.当時の人にとっても,百人一首の巻頭歌は,天智天皇でなくては収まりがつかなかったのでしょう.

昨日から取り上げている天智天皇. 百人一首の巻頭に置かれている天智天皇御歌は,万葉集・巻十-2174の詠み人知らずの歌が原歌とされています. 万葉集の作者不明歌が,後世口づてに伝えられた中で細部が洗練され,理想的為政者が詠むであろう歌の内容から…

百人一首の巻頭歌「秋の田の---」が天智天皇の御歌とされた経緯は定かではありませんが,百人一首の解説書の著者の方々は,様々な推定をされています.万葉集の作者不明歌が,後世口づてに伝えられた中で細部が洗練され,理想的為政者が詠むであろう歌の内容から,天智作として広まったのかもしれません.

小倉百人一首には,万葉集に原歌がある歌が推定を含めて四首あります.いずれも出典は勅撰和歌集で,直接,万葉集から選ばれたわけではありません. 例えば, 一昨年取り上げた山部赤人の歌. yachikusakusaki.hatenablog.com 昨年取り上げた持統天皇の歌. …

ニラ 2 古事記では雑草として,でも万葉集東歌には食用の摘み草として記されたニラ.栄養豊富なことは間違いありません.スタミナ源としての作用の現代的説明には疑問の点が残りますが,古来より薬膳として食べられてきました. 茎韮(くくみら)/万葉集 伎波都久(きはつく)の岡の茎韮(くくみら),我れ摘めど,籠(こ)にも満たなふ,背(せ)なと摘まさね

ニラ 2 ニラが野菜として広く食べられるようになったのは,戦後のこと. 餃子などの中華料理が広まったことで,ニンニクに次ぐスタミナ野菜として人気となったため.とされています. 古くから親しまれてきたニラの歴史 | おいしいねっと ニラ/韮~歴史・栄…

カタクリが咲きました.「水を汲む娘子(をとめ)ら」が似合う花です.このカタクリを含め「春先に花をつけ、夏まで葉をつけると、あとは地下で過ごす一連の草花」を,欧米に倣って,スプリングエフェメラル(Spring ephemerals)と呼ぶようになっています.野の花に及びませんが,わが家の庭の花たちも頑張っています.

カタクリが咲きました. 苗を購入して,2回冬を越した株です. 初めて出会った時に,何とか自分でも育てられたらと--- 購入したのは3回.前2回は翌年まで持たず,3度目の正直です. カタクリは以前このブログでも採り上げました.(写真を取り損ね添付で…

スミレ 春を告げる花.日本では万葉集にも詠まれています.ではギリシャ神話では? かなり見つかりますが,ほとんどが後世付け加えたものらしい.古代ギリシャの話としては,スミレのベットで,蛇にハチミツを食べさせてもらった「イアモスの誕生」の話が見つかりました.

三寒四温の日々ですが,もう確実に春. 春を告げる花は数多く,各人各様に思い浮かべる花は違うかもしれませんが--- スミレを挙げる方がいれば,野山の草花が大好きな方でしょう.私は単純に梅,その後の桜と言ってしまう都会育ちですが. その都会でも,山…

よもぎ(1) 若芽は食用.端午の節句には邪気払い.秋の葉の裏の綿毛は,お灸の材料もぐさ(艾).古来より親しまれ,枕草子でもとりあげられ,万葉集にも歌われています.

もうすぐ,よもぎもちの季節. 待ち遠しい. よもぎもち - Google 検索 わが家の庭にはヨモギは今のところ出てきていませんが--- かっての職場の庭は,ヨモギだらけでした. 一度,一定区画内に,どのような草が生えてくるのか,春から秋まで放っておいたと…

「衣ほすてふ」vs「衣ほしたり」 百人一首と万葉集(3) 「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山  」「春過ぎて 夏きたるらし 白妙の 衣ほしたり 天の香久山」 持統天皇

百人一首で取りあげられた万葉の歌 小倉百人一首には「万葉集」から”選ばれた歌”はありません. しかし万葉集に元歌がある歌が推定を含めて四首あります.(四首は本ブログ最後尾に記載) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q107866…

れんこん(2)とハスの花・ハスの葉 れんこんは古来より食べられていました.しっかり食べれば,エネルギーとビタミンCを摂ることができる食品です. ハスの花は美しいばかりではなく,仏教の世界では,特別な花. そして,万葉人はハスの花よりハスの葉,とりわけ,ハスの葉の上の水玉に歌心をそそられていたようです. はちす(はす)/ 万葉集 ひさかたの,雨も降らぬか,蓮葉(はちすば)に,溜(た)まれる水の,玉に似たる見む 作者不詳 

夏は花. http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/08/08/014403 yachikusakusaki.hatenablog.com そして,根の先のれんこん. 収穫は,岩国では8月〜4月.霞ヶ浦では7月から3月とのこと. 岩国レンコン(12月の旬) | ぶちうま!やまぐち.ne…

ナツメ: 世界で広く栽培され,早くから日本にも.果実はホシナツメにしたり,お菓子の材料に用いられたり.乾燥した大棗 タイソウは有名な生薬.今でも漢方処方に配合されています. なつめ / 万葉集 玉掃(たまばはき),刈(か)り来(こ)鎌麻呂(かままろ),むろの木と,棗(なつめ)が本(もと)と,かき掃(は)かむため 長意吉麻呂(ながのおきまろ) 

なつめ・ドライフルーツを購入. なかなか美味.ただし,この商品はグラニュー糖を添加してあります. 私は恥ずかしいことに見るのが初めて. ドライフルーツは現在最もポピュラーなナツメの食べ方?生でも食べられ(酸っぱいリンゴの味とか),砂糖に漬けた…

真弓と聞いて,字を見て---何を思い浮かべますか?私は,聞いても見ても,まず,人の名前だと思ってしまいます.同音の真由美さんは,一世を風靡した,しかし,1位にはなれなかった悲運の?名前. 真弓は万葉集に実に12首で読まれていますが,「丸木弓」に用いられていたことからの枕詞が多い.音の響きが良い? 真弓 / 万葉集 葛城(かづらき)の,襲津彦(そつびこ)真弓(まゆみ),荒木(あらき)にも,頼めや君が,我が名(な)告(の)りけむ  作者不詳

マユミ(真弓)はニシキギ属の植物の名前. http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/11/10/023825 万葉集にも詠まれている. マユミの写真<2> - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 しかし,マユミと聞いて,また真弓の字を見て---何を思い浮かべ…

菊(3)ノギクと野路菊  日本在来のキクもあります.その代表がノジギク(野路菊).兵庫県花のノギクですね.とはいってもノギクの代表はむしろシオン属のヨメナやノコンギク.ノジギクはキク属ノギクの代表的な種.万葉のももよぐさ百代草はこのノギクのことかもしれません. ももよぐさ / 万葉集 父母が,殿(との)の後方(しりへ)の,ももよ草,百代(ももよ)いでませ,我(わ)が来(きた)るまで 生玉部足國(みむべのたるくに) 

キクの園芸種は,全て「イエギク Chrysanthemum × morifolium」とされ,日本には中国で改良されたものが奈良時代中期に遣唐使などによってもたらされたと言われています. http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/10/26/000807 yachikusakusaki.h…

ナデシコ(2) 万葉集には,ナデシコを詠んだ歌が26首あります.万葉歌人大伴家持はナデシコをこよなく愛していました./ 当時からナデシコは庭で栽培⇒ナデシコは,ガーデニング植物のはしり?/ 女性をナデシコに例える歌もあれば,男性を例える歌も. ナデシコ/万葉集 朝ごとに我が見る宿のなでしこの花にも君はありこせぬかも 笠郎女

秋の七草の一つ,ナデシコ(撫子,瞿麦). カワラナデシコを指しているとされています. 万葉の時代から,今に至るまで愛され続け,清少納言からは最も「めでたし」と賞賛された花. ナデシコ属 Dianthusは,欧米でも高貴な花とされ,人気があります. その…

ナデシコ 秋には余り咲きませんが秋の七草の一つ.そして日本人が古来から最も愛でてきた花の一つ.ただし,「日本の女性」の形容として一般化したのは明治期と思われます. なでしこ/万葉集1 萩(はぎ)の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花(をみなへし)また 藤袴(ふぢばかま) 朝貌(あさがほ)の花  山上憶良

秋の七草の一つナデシコ 撫子/瞿麦: 萩(はぎ)の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花(をみなへし)また 藤袴(ふぢばかま) 朝貌(あさがほ)の花 山上憶良 万葉集 第八巻 1538 私も大好きな花の一つ.種から育てたり,苗を買ったり,もう10年以上…

茜色:「空の澄んだ日に,太陽が光り輝いて見えるような,赤にわずかに黄がさしこんだような色といえるだろう.そのような色をあらわせる色素を含んだ植物が茜である.その根は,赤く,まさにアカネである」 / 茜色の再現に取り組む吉岡幸雄氏.続きの染めは3年後. 目指すは平安の大鎧.あの鮮烈な赤.「良い素材をたっぷり使って,たっぷりと時間をかける」  あかね/万葉集 あかねさす,日は照らせれど,ぬばたまの,夜(よ)渡る月(つき)の,隠(かく)らく惜しも 柿本人麻呂 

日本伝統の色の名前は,とても心地よい響きを持っています. 今日は茜色. よく考えてみると,名前は知っていても,どんな色か実際はよく知らない----. アカネ色の空.アキアカネ.--- 赤系の色ということは確かですね. グーグルで画像を検索してみると---…