エイレイテュイア1 「いちばん最後に ゼウスは ヘラを 咲き匂う花嫁となさった. 彼女は ヘペ アレス エイレイテュイアを生んだ」「七日七夜というもの,苦しみどおしに苦しんだあげく,もうへとへとに疲れきって,天にむかって両腕をさしのべ,大きな声をあげてルキナ(エイレイテュイア)やニクシ(ローマの妊婦を守る女神)の御名をよびました. ルキナさまは,すぐに来てはくださったけれど----」

出産の女神 エイレイテュイア1

ギリシャ神話を注意深く読んでいかないと,見落としてしまう名前のように思います.ゼウスとヘーラーの娘という血筋に当たるにもかかわらず. 

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EILEITHYIA - Greek Goddess of Childbirth (Roman Lucina)

 

いちばん最後に ゼウスは ヘラ(へーラー)を 咲き匂う花嫁となさった.

彼女は ヘペ アレス エイレイテュイアを生んだ

神々と人間どもの王者と 情愛の契りをなさって.

(ヘーシオドス 神統記 廣川洋一訳)

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the Theoi pojectの紹介文は次の通り(DeepL 翻訳)

EILEITHYIA - Greek Goddess of Childbirth (Roman Lucina)

エイレイチュイアは、出産と陣痛の女神でした。

ある人によると、二人のEileithyiaiai (Eileithyiae)がいたと言われています--一人は出産を促進する人、もう一人は陣痛を長引かせる人です。

彼女の名前は,ギリシャ語のelêluthyiaに由来し,「助けるために来る」または「和らげる」という意味です。ローマ語では、ルシーナ(「光の運び手」)またはナティオ(「誕生」)と呼ばれていました。

---中略

エイレイチュイアは松明を操る女性として描かれており、出産時の燃えるような痛みを表現しています。

彼女は女神ヘラ(結婚/女性の女神)とアルテミス(狩/野生/野生動物の女神であるとともに出産と少女期の女性の守護者)と密接に結びついていました。

 

 

昨日取り上げたアポローンの出産の他に,ヘーラクレースの出産の場面にも登場し,同様にヘーラーの意向を受けて,アルクメーネーの出産を妨げたとされています.

この物語は,ホメーロス/イーリアス,偽アポロドーロス/ビブリオテーケー(ギリシャ神話),そしてオウィディウス/転身物語(変身物語)に描かれています.

 

オウィディウス版を以下に掲載します.今日はその前半部分だけですが.

年老いたアルクメーネー(アルクメネ)が,ヘーラクレース(ヘルクルス)出産の場面を振り返る形で,物語が語られています.語りかける相手は,息子ヒュルスの嫁イオレ.

ヘーラクレース(ヘルクルス)は,妻デーイアネイラの嫉妬からヒュドラの毒の衣を着せられ死に,天の星になった後の物語.

 

オウィディウス/転身物語 人文書院 田中秀央,前田敬作 訳

アルクメネのお産とガランティスの機転

 アルクメナはかの女(イオレ)に次のように語った.

「せめておまえにだけは,神々が恵み深くしてくださいますように.そして,月満ちて,おまえがお産を恐れる妊婦たちを守りたまうイリテュイア(エイレイテュイア,ローマ神話では後の使われる“ルキナ”が相当する女神)さまにおすがりする日に,どうかおまえの陣痛の期間を短くしてくださいますように.

わたしのときは,女神さまもユノ女神(ヘーラー)をはばかってか,たいへんつらくあたられた.

 というのは,やがてたくさんの難行を成就する運命をになったヘルクレスがうまれる日が近づいて,大洋が天の第十宮をかすめようとしていたとき,胎児の重さはお腹をはちきれんばかりにふくらませ,人並みはずれて大きかったものだから,それがユピテルの胤(たね)であることは,だれの目にもあきらかだった.

わたあしは,もうこれ以上苦しさをこらえていることができなかった.その話をしている位までさえ,全身につめたい戦慄がはしるし,思い出すだけでも.あの苦しさがよみがえってくるほどですよ.

 七日七夜というもの,苦しみどおしに苦しんだあげく,もうへとへとに疲れきって,天にむかって両腕をさしのべ,大きな声をあげてルキナ(エイレイテュイア)やニクシ(ローマの妊婦を守る女神)の御名をよびました.

ルキナさまは,すぐに来てはくださったけれど,以前からわたしに悪意を抱いておいでだったものだから,かえってあの意地わるいユノ女神にわたしの命をささげようとされたんだよ.

それで,わたしの呻き声をきくなり,産室の戸口のまえにあった祭壇にあぐらをかいてすわり,指を櫛(くし)のようにくみあわせて,お産の邪魔をなさった.おまけに,ひくい声で呪文をとなえ,その呪文のおかげで分娩が中途でやんでしまうんです」

 

以下続く

 

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