ギリシャ/ローマ神話に数多く登場するるニンフ(Nymph ニムフ,ニュンペー).
山,水,森,木,場所,地方,都市,国などに固有な神的力を擬人化した精霊/マイナーな女神で,若い乙女の形をとって現れます.
様々なタイプがあって,それぞれに名前が付けられています.
例えば,前回とりあげた泉,小川,川,湖のニンフは,ナーイアス/ナーイアデス(英語名ナイアド/ナイアデス Naiad/Naiads)と呼ばれています.
今回は,木や森のニンフ,ドリュアス(ドライアド/ドリアード)をとりあげます.
the Theoi pojectのドリュアスの解説は次の通りです.
DRYADS & OREADS (Dryades & Oreiades) - Tree & Mountain Nymphs of Greek Mythology
(DeepL無料翻訳 一部改変)
ドリュアス Dryas/ ドライアドDryades
樹木,木立,森林,山林のニンフで,オークや松,ポプラやトネリコ,リンゴや月桂樹の精(個別の樹木の精でもあったという意味 yachikusakusaki)でもありました.
ハマドリュアスとして知られるニンフは,かの女の誕生とともに木も生まれ,それが彼女の人生を縛っていました.木が繁栄している間,いつも一緒にいるニンフでしたが,樹木が死んでしまうと,彼女も命を終えました.
特定の木に関連付けられたDryadesにはいくつかのタイプがありました.
(1) メリアイ(Meliae)は,トネリコのニンフでした.ガイアが去勢されたウーラノスの血を孕んで生まれました.かの女は,“銀の時代”の男たちと結婚し,最初の女性が誕生する前の時代に,かの女が生んだ人類が降臨しました.
(2)オレイアデス/オレアド(オリード)は山のコニファーのニンフでした.そのうち,エルダーオレイアデスは,五人のダクティロイ(Daktyloi)と五人のヘカテリデス(Hecaterides)の娘でした.後の世代は,これらのエルダーオレイアデスとその弟のサティロイ(サティルス)の子孫です.
備考 古代ギリシャで森林のほとんどは険しい丘の斜面にあり,山は,低地の森林の大部分が農業のために取り除かれていました.したがって,ギリシア人がドライアデスを山の住人と考えるのは自然なことでした.
(3) ハマドリュアス/ハマドリアデス(Hamadryades)は,カシやポプラの木のニンフでした.彼らは通常,川辺の木や神聖な木立と結びついていました.
(日本語版ウィキペディアではハマドリュアスをドリュアスと同じ意味としていますが,間違いのようです)
(4) マリアデス(Maliades),メリアデス(Meliades)またはエピメリデス(Epimelides)は,リンゴやその他の果樹のニンフであり,羊の保護者でもありました.彼らの名前の由来となったギリシャ語のmelasは,リンゴと羊の両方を意味しています.
(5) ダプネー/ダフネは,月桂樹のニンフ(⇒*)であり,貴重な樹木固有のドリュアスの一クラスでした.
その他には,アイゲイロイ(黒ポプラのニンフ),アンペロイ(ブドウの木のニンフ),バラニス(アイレックスのニンフ),カリアイ(ヘーゼルナッツのニンフ),クラネアイ(桜の木のニンフ),モレアイ(桑の木のニンフ),プテライ(ニレの木のニンフ),サイケイ(イチジクの木のニンフ)がいました.
⇒* 河神の娘なので,ナーイデスであったが,アポローンの恋を拒んで,自ら望んで月桂樹の変身した.
また,ニンフの多くは,より広い領域と結びついています.例えば,オレイアデス(Oreiades)は山のニンフ,聖なる木立(glen)のアルセイデス(Alseides),峡谷(glen)のアウロニデス(Aulonides),谷間(vale)のナパイアイ(Napaiai).
ドリュアスとされているニンフについては,今までも何人か取り上げてきました.
例えば:
エコー
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/19/224809 〜 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/21/234542
ヘリコーン山のオレアドニンフでヘーラーの侍女.呪いをかけられ,他人の言葉をくりかえすことしかできない.
自分に夢中になっているナルキッソスに恋するものの拒絶され,悲しみの中に姿を消した.
エウリュディケー
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/03/09/002400 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/06/18/000000
https://www.metmuseum.org/toah/works-of-art/10.63.2/ Eurydice - Wikipedia
森の木のニンフでオルペウスと結婚したが蛇にかまれて死んでしまい,冥府に落ちる.
オルペウスが冥王ハーデースと冥界の女王ペルセポネーに懇願した結果,地上に戻ることを許されるが,オルペウスが約束に反して後を振り向いたため,冥界に連れ戻された.