昨日まで話題として取り上げてきた日本唯一の野生柑橘類タチバナ.
その系譜をたどっていたところ,科学誌Nature の論文に出会いました.一般に公開された形で発表されている論文で,題名は“Genomics of the origin and evolution of Citrus”「シトラス=ミカン属(以後,かんきつ類と記載します)の起源と進化の遺伝子研究」.
Genomics of the origin and evolution of Citrus | Nature
美しい図表が掲載され,なんとか理解したいと思ったのですが----
植物学も遺伝子も素人の私には,荷が重いことを思い知らされました.昨日今日の夕食後の片手間では難しい.頼みの自動翻訳も,刃が立たない文章が突然現れて立ち往生.
昨日は,図の一部を掲載して終わりとしましたが,今日は,残りの図の一部を掲載して終わらせることにしました.私が理解したところのみ少しだけ解説を加えて.
昨日掲載した図は,
遺伝子研究の結果から推定されたアジアに起源を持つかんきつ類・原種の起源,
及び
系統樹(論文ではクロノグラムという標題名を用いています.特別な意味を持っているのかどうかは私には分かりません)を表した図.
日本へ延びるルートの先にはタチバナが配されていました.
Genomics of the origin and evolution of Citrus | Nature
系統樹では,タチバナはマンダリンの一種で,マンダリンが食用かんきつ類として更に遺伝子を修飾していく前に分枝した種であることがわかります.
Genomics of the origin and evolution of Citrus | Nature
今日新たに論文から借用して載せる図は,昨日のものと異なり,原種ではなく,食用かんきつ類の系譜になります.
現在,食用となっているかんきつ類は,その数が分からないぐらい多様ですが,その原種は意外と少なく,主に次の三種と言われてきました.
▽Citrus maxima– Pomelo(ポメロ:ブンタンが同種)
▽Citrus reticulata – Mandarin(マンダリン)
このNatureの論文では,さらに二つの原種が加えられています.
▽Kamquat– キンカン
▽Micrantha– ビアソング
また,マンダリンは,ポメロ(ブンタン)の遺伝子が加わっている程度に従って,Pure mandarins, Early-admixture mandarins, Late-admixture mandarinsの三つのグループに分けられています.
レモン,ライム,オレンジ,グレープフルーツというなじみ深い食用のかんきつ類が,どのような系譜にあるのか,とくとご覧あれ.
なお,青い矢印は,親となる2つの遺伝子型間の単純な交配を示し,赤色の矢印は複数の個体,世代,逆交配などの複雑な過程を示しています.