入院勧告に従わない感染者に刑事罰を科す感染症法改正.感染拡大防止に必要だという立法事実が存在するとは思えない.そもそも,感染者が入院できない状況の中で,こんな改正を考える神経を疑う.日本医学連合「倫理的に受け入れがたい」「感染抑止がかえって困難になる」と指摘.休業や時短の命令に従わない事業者に行政罰を科す特措法改正.一日六万円の協力金程度の補償で休業を命令し違反者を罰したら,憲法違反で訴えられるだろう.罰したがる人たち 前川 喜平 東京新聞

本音のコラム

罰したがる人たち  前川 喜平

東京新聞 2021年1月17日

 

 政府の新型コロナ対策法案.

一つの柱は,入院勧告に従わない感染者に刑事罰(一年以下の懲役又は百万円以下の罰金)を科す感染症法改正だ.

 

 居住・移転の自由を制限する根拠となる公共に福祉は,厳密に考えなければならない.

感染拡大防止にこの罰則が必要だという立法事実が存在するとは思えない.

そもそも,感染者が入院できない状況の中で,こんな改正を考える神経を疑う.

 

 百三十六の学会からなる日本医学連合の緊急声明は

「感染者個人に責任を負わせることは,倫理的に受け入れがたい」と述べ,

「罰則を恐れて検査を受けなかったり検査結果を隠したりする恐れがあり,感染抑止がかえって困難になる」と指摘している.

この罰則案は撤回すべきだ.

 

 もう一つの柱は,休業や時短の命令に従わない事業者に行政罰(科料)を科す特措法改正だ.

 

 営業の自由の制限にも十分な根拠が必要だし,制限に見合った補償が必要だ.

現在緊急事態宣言下の知事は,一日六万円の協力金で時短を要請しているが,もしこの程度の補償で休業を命令し違反者を罰したら,憲法違反で訴えられるだろう.

 

 国にも地方にも,罰したがる人たちが多すぎる.

科学的根拠のある方策をとり,それを誠実に説明し,必要は財政支援を行えば,罰則などなくても,人びとはおのずから行動するだろう.

(現代教育行政研究会代表)

 

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