撃ちてし止まん 斎藤美奈子
本音のコラム 東京新聞 2021年1月13日
東京オリンピック・パラリンピックをめぐる関係者の談話は,先の戦争末期を連想させる.
「東京大会を開催することにゆるぎない決意を持っている」(山下泰裕JOC会長)
「人類がコロナに打ち勝って東京大会を実現することは組織委員会の使命」(森喜朗組織委会長)
「自民党として開催促進の決議をしてもいいくらいだ」(二階俊博自民党幹事長)
「ウイルスとの戦いに打ち勝つ証しを刻んでいきたい」(小池百合子都知事)
「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京で開催する決意だ」(菅義偉首相)
撃ちてし止まん.ウイルスに打ち勝つ.
精神論が先行するのは負けが込んできた証拠である.
冷静なのはむしろ市民だ.
九日・十日のJNNの世論調査では,東京五輪を開催できると思うかという問いに81%が「できるとは思わない」と答えた.
同日の共同通信の調査でも「中止すべきだ」と「再延期すべきだ」の合計が80.1%だ.
昨年来の停滞ムードを払拭(ふっしょく)すべく,組織委は開催促進の宣伝を四日からはじめたが,気の毒なことに,このキャンペーンに起用されたバドミントンの桃田賢斗選手に陽性反応が出て,日本代表は遠征を断念した.
特攻精神で五輪に突入する気だろうか.
原爆が落ちる前に中止を決断すべきだよ.
東京五輪「やれる」根拠はあるのか
東京新聞 こちら特捜部 見出し
世論は「中止・再延期」8割
それでも---組織委・首相・与党「必ずやる」
開閉開式簡素化・無観客開催・選手にワクチン
対策アイデアも効果は?
医師・看護師は余裕なし
代表選考 間に合うのか
中止の場合 想定が必要