今日は,正月の「サケ(鮭,白鮭)」について. 「年越しの食膳」に用意される正月魚(年取り魚)として,サケを用意するのは,東日本の地方では一般的に見られた光景.サケは「年魚」.1000年以上も前からサケは宮中の行事に.江戸時代「新巻き」は将軍に献上され大いに喜ばれ,この風習が庶民にもひろまって,歳暮の贈り物「新巻きジャケ」が定番に.

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しかし,12/30ブログでも取り上げたように---

yachikusakusaki.hatenablog.com

寿司ネタや刺身の「サーモン」は,日本で「サケ」と呼ばれてきた種(標準和名が「サケ」,いわゆる「シロザケ 白鮭」)とは別種.

 

今日は,正月の「サケ(鮭,白鮭)」について少しだけ調べてみました.

やや退屈! (「サーモン」ついては,明日)

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Oncorhynchus Keta - Salmon Wiki

 

お正月にはサケ

(ブリは一昨年取り上げました http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/12/31/021317 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/01/01/010436 )

かつて我が家では,新年を迎えるにあたり必ず塩ジャケ(新巻ジャケ)が用意されていました.

父方が長野県だったので,ブリも候補のはずでしたが,私の記憶では,塩ブリが用意されたのは1回だけだけ.

(その時は,「こんなにおいしい食べ物があったのか!」と感動しましたが)

 

「年越しの食膳」に用意される正月魚(年取り魚)として,サケを用意するのは,東日本の地方では一般的に見られた光景で小池淳一 神々の歳時記 http://www.izbooks.co.jp/kamiB56.html ),お歳暮の定番は新巻ザケでした.

 

サケは,今では余りにも日常的に食べられているので(⇒*),正月魚としてのありがたみはかなり薄れてしまいましたが---

それでも,正月にはサケ,というご家庭も,北海道,東北,新潟などまだまだあります.

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現代の正月|正月と魚 〜ハレの日の家庭の食文化〜|お正月に関するデータベース|紀文のお正月

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現代の正月|正月と魚 〜ハレの日の家庭の食文化〜|お正月に関するデータベース|紀文のお正月

 

なぜ,正月魚を食べるのか

—「かつて食べた」といった方が正確かもしれませんが—

柳田国男によれば,

“イワイの場では,禁戒すなわち精進を終えて自由な祝賀へと移行するうえで,「まなくい(魚食い)」の儀式が必須だった” .

年取り魚の変遷と正月の魚食文化|正月と魚 〜ハレの日の家庭の食文化〜|紀文のお正月 )

 

なぜ,正月魚がサケなのか?

荒俣宏氏によれば,

サーモンミュージアム(鮭のバーチャル博物館)|マルハニチロ株式会社

(私の大好きな荒俣さん.

かつては日露漁業--現在マルハニチロホールディングス--のコンピュータープログラマーだった!もとから妖怪博士だとばかり思っていました)

 

“サケを「年魚」と呼んだ.春に生まれて川を下った仔が秋にまた川に帰ってきて産卵し,死んでしまうので,一年の命を繰りかえす魚と信じられたためだ.古い歳が終り,新しい一年の神をお迎えする供え物としてふさわしかった”

“1000年以上も前からサケは宮中の行事(⇒**)につかわれ,貴族にも禄のかわりに配られていた.秋になると若狭から越後あたりの川に遡上してくるサケの大群を獲って,都に送られた.楚割(そわり)とよばれる塩引きサケにしたものらしい.すると,塩引きにした「塩ジャケ(江戸っ子は塩ザケとは言わなかった?))」が年末ごろに都へ着いた.正月に食べるに都合がいい”

“江戸時代になり,塩ジャケをわらに巻いて新年用に出荷するようになったが,これを「新巻き」(⇒***)と言った”

“江戸では,初ジャケはおおいに喜ばれた.初ガツオよりも人気が高く,年末年始のご馳走となった.当時サケの産地を領内に持っていた蝦夷松前藩や越後の村上藩では,将軍に献上するため塩引きサケを生産して江戸に送り,喜ばれた.この風習が庶民にもひろまって,歳暮の贈り物「新巻きジャケ」が定着したという.”

 

⇒*

日常食べているのは白鮭より輸入物のギンザケの方が多いかもしれません.少なくとも私はギンザケばかり食べています.脂がのっておいしいこともあり

 

⇒**

「宮中の行事」とあるのは,正月の行事かどうか分かりません.新嘗祭のようにも.

( 新嘗祭 - Wikipedia )

平安時代初期には大量のサケが,信濃(現長野県),・越後(現新潟県越中(現富山県)などから献納されたいました(延喜式).

https://www.maruha-nichiro.co.jp/salmon/fishery/01.html

 

⇒***

新巻ジャケが登場するのは桃山時代末期かもしれません.

新巻鮭の祖・大槌孫八郎政貞没後400周年記念事業 「おおつ... - 大槌町行政サイト

 

新巻鮭の語源は「わらで巻いたから」でほぼ決まりのようですが,他にも.

 

新巻鮭とは:

新巻鮭と塩引き鮭の違い | 水産仕入れ|魚仕入れ|ウオス

鮭の内臓を取り除き,腹の内側と表面に塩をすり込み,干したもの.主に北海道で作られています.

語源としては:

塩鮭をわらで巻いて運ぶ途中に傷まない状態にして,将軍にお歳暮として贈るようになりました.

その他にもとれたての新鮮なさけの内臓を取り除き,薄塩に漬け込んで早く食べたからと いう説などが言い残されています.

 

また,新巻鮭と似ている塩処理したサケに「塩引きサケ」があります.違いはあるようですが,よく理解できません.

▽サーモンミュージアムの荒俣さんの記事では,ほぼ同じ物として扱われています.

▽村上の塩引き鮭;荒巻とは違うと大宣伝.

新巻鮭と塩引き鮭の違い | 水産仕入れ|魚仕入れ|ウオス 塩引き鮭(塩引鮭)をお勧めする理由 | サーモンハウスTOP

https://www.murakami-salmon.com/siobiki/

 

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