「何が違うの?鮭,サーモン,鱒」
と聞かれて.きちんと応えられる方は少ないのでは?
私は,ほとんど分かりませんでした.
東京新聞「サンデー版 世界と日本 大図解シリーズ」(NO1484,11月22日)では,冒頭の問いをそのまま標題とした特集を組んで解説していました.
何が違う?鮭 サーモン 鱒(No.1484):東京新聞 TOKYO Web
きちんと知りたい方は,何とかこの版を手に入れてお読みになることをおすすめしますが,分かりやすくまとめた清水北大大学院准教授の記事を転載させていただきます.
サーモンと鮭の呼び名について
清水宗敬
東京新聞サンデー版 11月22日(日曜日)
近年,お寿司や刺身で人気の“サーモン”ですが,その呼び名は混乱しています.
以前は,鮭や鱒といった和名で呼ばれていましたが,輸入が増加するにつれ,いつの間にかサーモンとかトラウトの呼び名の方が主流になっている感もあります.
ここでは,サケ,マス,サーモンおよびトラウトの4つの呼び名を整理してみようと思います.
色々と書きますが,サケとサーモンはだいたい同じ,マスとトラウトは対応させない方がよいというのが大まかな結論です.
そもそも鮭とサーモンは異なる種の名前です.
日本語の鮭はシロザケを指し,英語のサーモンはもともと,大西洋にいるアトランティックサーモンという種の名前です.
これらは各地域の主役で.昔は,日本では鮭以外にはマスを付け(ベニマスやサクラマスなど),ヨーロッパではサーモン以外はトラウト(ブラウントラウトなど)を付けていました.
しかし,北米大陸の太平洋側にアトランティックサーモンとよく似た魚たちが見つかり,まとめてパシフィック(太平洋の)サーモンと呼ばれました.日本で鮭やマスと呼ばれていた魚たちです.
漁業が国際的になるにつれて,鮭とマスたちは英語でサーモンと呼ばれるのに合わせて,ベニザケなどと名前が変わりました.
一方,東アジアにしかいないサクラマスは,逆にマスの名前を取ってマスサーモン(チェリーサーモンとも呼ばれる)と名づけられました.
問題はレインボートラウトです.
この種はもともと日本にいなかった種で,移入時に「ニジマス」の名前が付きました.また,その時にトラウト=マスの図式になり,鱒が海に下る鮭やサーモンに対して川魚という認識になってしまいました.
レインボートラウトはかつてはアトランティックサーモンの仲間でしたが,1989年にパシフィックサーモンの仲間に入れられたので話が余計にややこしくなってしまいました.
そのためか,トラウトサーモンという商品名で売られることも最近は多いようです.
他にもイワナ類にもマスやトラウトが付けられている例があり,呼び名の混乱は,英名,和名,学名,商品名,総称などが入り乱れて使用された結果であると考えられます.
(北海道大学大学院水産科学研究科准教授)
何が違う?鮭 サーモン 鱒(No.1484):東京新聞 TOKYO Web
Salmonidae - Wikipedia https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0046662
何が違う?鮭 サーモン 鱒(No.1484):東京新聞 TOKYO Web