キョウチクトウ科の花たち5
我が家に今育っているキョウチクトウ科の花.
サンパラソル/マンデビラ.
そしてもう1種.
今日,取り上げるチョウジソウ.
ただし---
園芸店ではチョウジソウとして販売されていましたが,
チョウジソウ Amsonia elliptica は,ほとんどの県で絶滅危惧種となっているそうで,
我が家の株はおそらく
ヤナギバチョウジソウ.
ウィキペディア情報によれば,
ヤナギバチョウジソウ Amsonia tabernaemontana: 米国ペンシルベニア州からカンザス州にかけてで自生する種だが,園芸用としてもよく栽培されている.日本には1930年頃に園芸用に持ち込まれ、以降園芸用に栽培され「チョウジソウ」の名で流通している.
チョウジソウは神経毒性を持つ植物で,主な毒性物質としてヨヒンビンが知られています.
北海道薬科大学のサイトによれば,
https://www.hus.ac.jp/info/facility/botanical/summer/
チョウジソウ
高さ80cmくらいで直立する多年生草本である.葉,茎,種子にはヨヒンビンなどを含み有毒植物とされる.
多量に摂取すると瞳孔散大,血圧降下,血管収縮など重症になることもあるので注意する.
ヨヒンビンは,もともとは中央アフリカにあるアカネ科の植物ヨヒンベPausinystalia yohimbeから発見された“アルカロイド”(窒素を含む有機化合物.植物由来である場合が多い).
先にとりあげたインドジャボクにも多く含まれていることが知られています.
ヨヒンビンは,自律神経系のアドレナリン受容体研究で大きな役割を果たした物質で,2つあるアドレナリン受容体の内,”アドレナリン放出を抑制するアドレナリン受容体”(α2受容体)を遮断する機能を持つことが分かっています.
https://m-hub.jp/biology/2768/192
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000016543.pdf
ただし,多量に服用した場合には,もう一つのアドレナリン受容体(α1受容体)も遮断し,上記の「多量に摂取すると瞳孔散大,血圧降下,血管収縮など重症になることもあるので注意する」は,アドレナリンの作用自体を抑えてしまったためと考えられます.
なお,ヨヒンビンには,陰萎改善の作用があるとされ,実際に市販薬が販売されています.ただ,ヨヒンビンの劇薬指定を受け,この市販薬の幾つかは販売中止になっているようです.
「ガラナポーン」製造販売の一時休止について | 大東製薬工業公式BLOG
最近のもう一つの話題は,ヨヒンビンを含む健康食品の販売.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/24/1/24_1/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bopiph/47/0/47_37/_pdf/-char/ja
「精力剤」としてのヨヒンビンに注目したのかと思われますが,「ダイエット効果」を暗示する報告もあるため,添加されたのかもしれません.
劇薬指定となったヨヒンビンが,このような健康食品に含まれることはあってはならないことですね.
チョウジソウから離れて,ヨヒンビンの話題ばかり採り上げてしまいました,
チョウジソウは目立たない中にも気品を感じさせてくれる花.
茶花としても知られています.
我が家のチョウジソウ(ヤナギバチョウジソウ)は,とても強い植物で,あまり手入れしなくとも,毎年花を咲かせてくれる優等生です.