キョウチクトウ科の花たち4
キョウチクトウ科といえば,美しい花と,毒性が連想されます.
これは,科を代表する花,キョウチクトウのイメージともいえます.http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/10/24/013824
キョウチクトウとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 キョウチクトウ - Wikipedia
該当しない植物も沢山あります.
サンパラソル/マンデビラは毒性はさほどでもありません.http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/10/23/013139
毒性を持つ植物は確かに多いものの,その毒性は様々.
ニチニチソウは毒性を持っています.
しかし,キョウチクトウの毒性物質(強心配糖体オレアンドリン)が人を死に至らしめる急性毒性が強いのに対し,ニチニチソウのビンカアルカロイド(ビングラスチン)は,細胞分裂を阻害する毒性.この性質を利用して抗がん剤としても用いられています.http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/10/25/011730
今日取り上げるのはインドジャボク(印度蛇木).
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003462.php
この植物は強い神経毒性をもちます.
そして,この植物から単離されたレセルピンは降圧剤,抗精神病薬として利用されてきました.
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003462.php https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno109.html
熱帯性の植物で,インド,ミャンマー,マレー半島,インドネシア,スリランカ,パキスタンなどに分布し,陰湿な森林内に生育.
https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno109.html
日本では,温室,特に薬用植物を集めた植物園の温室でなら,見ることができるかもしれません.
薬用植物と言っても漢方薬ではなく,南アジアで古くからの民間薬.蛇の咬み傷,精神病,高血圧,不眠症,高熱,老化などに用いられていとのこと.
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003462.php https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno109.html
根を水洗いしてから天日で乾燥させたものをラウオルフィア根とよびます.ラウオルフィアはインドジャボクが分類されている属名.
https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno109.html
この植物が世界的に有名になったのは,1952年にこのラウオルフィア根から,レセルピンが単離されて以降.
レセルピンは降圧作用(血圧を下げる),鎮静・静穏作用をもちます.後者の作用は.精神病治療に応用され,クロルプロマジンという薬と共に,レセルピンは精神病の薬物治療の先駆けとなりました.
http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1253.pdf Global Pharma and Local Science: The Untold Tale of Reserpine
鎮静・静穏作用は,アドレナリンの取り込みをレセルピンが阻害し,シナプス小胞のアドレナリンを枯渇させるために引き起こされます.
抗精神病薬として用いられてきましたが,当然,副作用も多々ありこれが毒性に相当すると考えればいいでしょう.
レセルピン薬剤の重篤な副作用は以下の通り.
アポプロン散0.1%の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典
うつ状態 、 自殺 、 悲観気分 、 早朝覚醒 、 食欲不振 、 陰萎 、 抑制 、 思考抑制 、 行動抑制 、 抑うつ症状.
インドジャボクは
リンドウ目 Gentianales,キョウチクトウ科 Apocynaceae,インドジャボク亜科 Rauvolfioideae
(連)Vinceae
インドジャボク属 Rauvolfia,
インドジャボク R. serpentina
インドジャボク属はニチニチソウ属と同じ連に分類されます.