「天気を気にする日本人の気質が,こんなかわいいものを生んでいるんです」“晴雨計人形”と書いて,晴雨計(てりふり)人形.「雨の日は笠かぶった男人形が出てきます. 晴れの日は女人形が」「かわいいし,とても細かく作ってあるわね.仕組みは簡単なように見えたけど,魔法のように動いてすごいわ」「シンプルさは日本的だと思うよ」「日本の文化を表現しているものだと思うよ」NHKBS1 COOL JAPAN 「天気〜Weather〜」2

COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜

「天気〜Weather〜」2

NHKBS1  9月20日(日) 午後0:00~午後0:45

【司会】鴻上尚史リサ・ステッグマイヤー,【ゲスト】石原良純【語り】日高のり子中井和哉

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 https://www.nhk.jp/p/cooljapan/ts/P2RMMPW5JM/list/

 

NHK COOL JAPAN「天気〜Weather〜」1

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/09/23/233924

「天気について日本人と外国人,それぞれ50人に事前アンケートをとりました.天気予報をチェックする頻度.日本人の結果から,半分以上が毎日.外国人;毎日見るは30%,気にしない人の方が多いんですよ.48%」「シンガポールはいつも同じ天気」「南アフリカは雨があまり降らないし,普段は車で移動している」「気にしても仕方ないじゃない」「日本に来てから変わった」「天気予報をチェックする人がなぜ多い?」「天気予報が正確だからだよ」

 

「さて,天気を気にする日本人の気質が,こんなかわいいものを生んでいるんです」

 

国内外から人気の観光地,箱根です.

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登山鉄道の終着駅,強羅駅前の店に,長年愛されてきた箱根土産があります.

 

「これがお天気でうごく“てりふり人形”ですね」

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晴雨計人形 箱根 - Google 検索

“晴雨計人形”と書いて,晴雨計(てりふり)人形.なぜか,全ての人形が横を向いています.どういうことでしょう?

 

店主小野さん「今日は雨なもんですから,男人形がめいっぱい出てますね.雨の日は笠かぶった男人形が出てきます.

晴れの日は女人形が.

降る前から予報して出てくるんですけどね.この出方は相当降りますね.はい」

 

この後すぐ,雨が降り始めました.すごい!

窓際など,風通しのいいところに置いておくと,女人形が前に出てきました.外は晴れています.

今度は男人形が徐々に前に.すると,窓に雨が打ちつけはじめました.

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 https://www.nhk.jp/p/cooljapan/ts/P2RMMPW5JM/list/

天気の移り変わりに合わせるように動きます.

 

店主小野さん「これはもう,国内だけじゃなくて,海外のアメリカとかフランスの方からも,ネットで注文が時々入ります.

気がついたら,お人形が教えてくれている,お天気を予報してくれている.なんともロマンチックっていうか.日本人の情緒にピッタリじゃないかと思ってますね」

 

日本らしいたたずまいから,外国人にも人気のてりふり人形.

どういう仕組みで作られているのでしょうか?その工房を訪ねました.

 

取材者「こんにちは」

近藤満作さん(80).てりふり人形を作る,ただ一人の職人です.この道およそ50年という近藤さん.毎日,5〜6時間,てりふり人形を作っています.

仕組みを聞くと,見せてくれたのは,

近藤さん「これが,てりふり人形の,動くもとでございます」

こちらは,二つの人形が乗る軸の部分.軸が回転できるように上に固定します.

肉眼ではよく見えませんが,この軸の部分に,細い糸状のものが巻きつけてあります.糸状のものが何なのかは企業秘密.

 

その仕組みを棒と紐で教えてもらいました.

近藤さん「こういうふうに巻くんですよね.それで巻いたのが,湿度によって伸び縮みするんです.これが,これ,紐が」

糸は自然のものでできているそうです.

乾燥すると糸が縮み,その糸に引っ張られて軸が回転.女人形が前に出てきます.湿度が上がると湿気を含んだ糸が伸びるため,軸が反対に回転.男人形が出る.という仕組みです.

湿度によって伸び縮みする糸の性質を利用して,天気を知らせる仕組みなんです.

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てりふり人形の仕組み - テレビの達人(初代)

 

近藤さん「昔,雨降っとって,夕焼けがまっ赤になれば,『あした天気,良くなるな』.『カエルが鳴けば雨が降る』とかね」

 

わたしたちは,昔から,こうした身近な自然現象で天気の移り変わりを予測してきました.

これを“観天望気”と言います.

日本各地で,様々に伝えられてきました.

例えば,“ツバメが低く飛ぶと雨”.

雨が降る前,餌となる虫の羽が湿気で重くなり,低く飛ぶようになります.自然とツバメも低空飛行になるんです.

他にも,“茶碗を洗うとき,茶碗の米粒がきれいにとれると雨.くっつくと晴れ”.乾燥すると米粒が固まって,こびりつきやすいからです.

髪をとかすとき,櫛がとおりにくかったら雨.と,常に天気を気にとめて,生活していたのです.

四季の移ろいと共に暮らしてきた日本人は,数え切れないほどの観天望気を作ってきました.

てりふり人形は,そんな知恵と遊び心が結びついたもの.

 

近藤さん「『雨男』とか『雨女』とか,言葉あるでしょう.『晴れとるなあ』『雨降ってるなあ』とかかわるから,それが一番いいんじゃないかなと思って」

あの人は晴れ男とか,雨男だという日本人になじみのある言葉から,男女の人形にしたのだといいます.

かやぶき屋根は,天然のワラを使い,

近藤さん「こうなるわけですよ.ねっ」

人形の顔や着物は,一つ一つ,筆で書きます.

近藤さん「気分が悪いと,美人が描けないです.ふふふふ」

現代は,いつでも,どこの天気でも簡単に調べられる時代ですが,

近藤さん「気長にね,本当に動くか,よき見て頂いて,ゆっくりと落ち着いて,楽しんで頂ければいいんじゃないかなあ.ただ,れだけですね」

天気の移り変わりを楽しめるてりふり人形.いかがでしたか?

 

「う〜ん.なるほど.そんなものがあるんだ.すごいね.

さあ,このてりふり人形.どう思いましたか?」

フランキー(南アフリカ「本当にステキだわ.かわいくて大好き!」

「そうですか.オタク心に引っかかったわけですね」(笑い)

サラ(イタリア)「かわいいし,とても細かく作ってあるわね.仕組みは簡単なように見えたけど,魔法のように動いてすごいわ」

「さあ,男たちは?」

ホルヘ(チリ)「本当に職人技だね!なんだか懐かしい感じがしたよ.手に入れたら,家族で代々大切にしていきたいな」

「あ〜,あんるほど.確かにね.なるほどなるほど」

 

「さあ,皆さん国にも,似たようなものはありますかね?

聞いたことありますか?こういう.リサ,ある?」

リサ(イギリス)「雨が降ると,中に入っている液体が上がってくる仕組みのものがあるの.デザインを工夫しているけど,こんなにかわいいものじゃない」

 

「なるほど.さあ,これ,何で人気なんでしょうね?このてりふり人形」

ジュン(韓国)「美しくて,シンプルだけど実用的だからね.教えてもらうまでは,どんな仕組みか分からなかったけど,そのシンプルさは日本的だと思うよ」

「なるほど,なるほどなるほど」

アバン(シンガポール「日本は,常に自然を形で表現していると思うんだ.季節を象徴する食べ物があるように.これは,そんな日本の文化を表現しているものだと思うよ」

「なるほどね」

 

「さあ,皆さんの国でも『観天望気』という,つまり,ツバメが下の方を飛んだら,明日は雨だよみたいな,そういう何か,天気を読むみたいな何かありますか?」

ネイサン(オーストラリア)「オーストラリアでは,『アリが行列を作ったら翌日は雨,バラバラに歩いていたら晴れ』っていうのがあるよ.雨から卵を守るために安全な場所に運ぶからみたいなんだ」

「こないだそれ見ました.内の近くで.次の日雨降りました」「なるほどなるほど」

ホルヘ(チリ)「祖父母は,雲や風やカモメの様子で天気を読めるんだ.大雨や嵐が来るときには,カモメは陸の方に来るんだ.びっくりするほど良く当たるんだ.当時,天気予報チャンネルはまだなかったんだけどね」

石原「日本には『天気ことわざ事典』っていう辞典が,これぐらいの厚さの辞典があるくらい,いろんなことわざがあるんですよ.

天気にかかわる.見ると面白いですよ.

『春の雨』っていうところで,『カエルと雨』とか『ヘビと雨』とか『猫と雨』とか,『猫と風』とか,全部あるんですよ.四季折々の.もし,興味がある方,ことわざ----『天気ことわざ辞典』って,ちょっと見て見るとね.なかなかいろんなのがありますよ」

「へえ〜」「いろいろあるんですね」