“新型コロナウイルスの感染再拡大で,世界の大学が対面授業の全面再開に二の足を踏んでいる.
秋の新学期もオンラインによる遠隔授業が中心になる見通しだ.教育の質が下がると雇用などで不利益を受ける「ロックダウン世代」が生まれ,将来の国の競争力も落ちかねない.
教員の指導力向上や学生支援を通じ,教育の質を高めることが急務だ”
これは,日本経済新聞電子版2020/8/26
“世界の大学「封鎖」解けず 遠隔中心、質低下に懸念”
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63081810W0A820C2MM8000/?n_cid=NMAIL007_20200827_A
の冒頭の文章.
世界の大学が,遠隔授業を続けざるを得ない現状を報告しています.もちろん日本の大学(特に都市部)も例外ではないようです.
例えば,東京大学.
新型コロナウイルス感染症に関連する対応について | 東京大学
レベル0〜4までの「活動制限指針」が示されていますが,通常=レベル0以外,制限下の1〜4では授業は全てオンライン.
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400137691.pdf
ただし,現在は一部制限=レベル0.5.それでも「オンライン講義を中心に」
一方9月14日に,政府の教育再生実行会議ワーキンググループの初会合開催の報道がありました.
コロナ収束後の大学教育 オンラインと対面 授業の在り方議論へ | 教育 | NHKニュース
しかし,これは「新形コロナウイルスの感染が収束したあとの大学教育のあり方を検討する」ためのもので,今後しばらく続くであろう"with corona"時代の大学教育は念頭にないらしい.
高等学校までは,ほぼ通常の授業体制に戻ってきている中,
(例えば神奈川県:
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u5t/coronavirus.html)
大学における授業はオンラインのままでいいのか?
冒頭に引用した日経新聞電子版の記事は次のように締めくくられています.
“大学は学生が友人との交流や課外活動を通じ多様な経験を積み,人脈を築く場でもある.こうした機会が減り教育効果が損なわれれば多様な人材が育たず,将来的な国の経済力の低下につながる可能性がある.
国際労働機関(ILO)はコロナ禍により,若者が雇用などで長期的に不利益を被る「ロックダウン世代」になる恐れがあると指摘する.価値が高い教育を提供できるか,世界の大学は厳しく問われることになる”
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63081810W0A820C2MM8000/?n_cid=NMAIL007_20200827_A
同感です.
ただし,この記事で言う「世界の大学」には中国は含まれていません.
ニューヨークタイムズによれば,ただし,この記事が小・中等教育限定なのか,大学も含まれるものなのかは定かではありませんが,中国では「軍隊的」と例えられる強権的な方法で,授業を再開しているようです.
How China Brought Nearly 200 Million Students Back to School - The New York Times
Your Monday Briefing - The New York Times
(⇒*)
また,これもミューヨークタイムズによれば,アメリカでは,イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校が,検査と最新鋭のプログラムの下,通常の授業体制に戻す試みを実施中.
ただ目下の所,当局が想定していなかったパーティ開催,週1回の検査では少なすぎた---などで,感染者がかなり出てしまっているようですが.
⇒*
Your Monday Briefing
Monday, Sep 14, 2020 | View in browser
Your Monday Briefing - The New York Times
(原文英語.DeepL無料翻訳,一部改変)
中国は権威主義的な方法で学校を再開
世界中の国々が学校を安全に再開しようと奮闘している中、中国は約1億9500万人の学生に対面学習を提供するために、その権威主義的なシステムの力を利用している。
共産党は、他の場所で使用されているのと同様な公衆衛生と距離を置く手法の多くを採用しているが、反対意見を許さない強引な、コマンドアンドコントロールのアプローチでそれらを展開した。
地元の役人や党幹部の大隊を動員して教室を検査し、アプリやその他のテクノロジーを配備して生徒や職員を監視し、彼らの移動を制限している。
"中国の教育を研究してきたカンザス大学の学者であるYong Zhao氏は、「システムは軍隊のように運営されている」「誰がどう思おうと、それに向かっていくだけだ」と語った。